安倍首相の中東訪問:予定どおりの実施を正式発表 !
イランのソレイマニ司令官殺害・軍事的緊張
への識者・野党の見解・詳報は ?
(www3.nhk.or.jp :2020年1月10日 12時06分より抜粋・転載)
安倍総理大臣の中東3か国への訪問について、菅官房長官は、記者会見で、11日から予定どおり実施することを正式に発表し、中東情勢の緊張緩和に向けて、各国と意見交換を行うとともに、自衛隊派遣の目的などを説明し、理解を求めたいという考えを示しました。
◆安倍首相は、3か国を訪問する !
この中で、菅官房長官は、安倍総理大臣が当初の予定どおり、11日から15日までの日程で、サウジアラビアとUAE=アラブ首長国連邦、オマーンの3か国を訪問すると発表しました。
そのうえで、「今回の訪問では中東情勢が緊迫の度を高める中、事態のさらなるエスカレーションを避けるために外交努力の一環として、地域の緊張緩和と情勢の安定化に、重要な役割を果たす、3か国と意見交換を行う。各国との間では、エネルギーの安定供給や、航行の安全確保に向けた協力を、要請する予定だ」と述べました。
◆中東地域への自衛隊派遣について
また、中東地域への自衛隊派遣について「日本関係船舶の航行の安全確保のための情報収集態勢の強化は必要だと考えており、自衛隊活用の方針と目的についても、改めて説明していきたい」と述べました。
◆イランで墜落した ウクライナの旅客機について
一方、菅官房長官は、イランで墜落したウクライナの旅客機をめぐり、イランによって撃墜されたという指摘があることについて、「カナダ政府による発表や、さまざまな報道があることは承知しており、日本としても、関係国と連携しつつ情報収集に努めている。今回の墜落による、すべての犠牲者にお悔やみを申し上げたい」と述べました。
(参考資料)
○トランプ大統領は、ソレイマニ司令官殺害を、指揮した !
(植草一秀の『知られざる真実』」:2020/01/08より抜粋・転載)
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1)2020年は、海外での武力紛争発生の可能性が大きい !
私が執筆している会員制レポート『金利・為替・株価特報』2019年12月30日発行号に、2020年は、海外での武力紛争発生の可能性が、高まることを記述した。
http://uekusa-tri.co.jp/report-guide/
1月2日、米国防総省は、トランプ大統領が指示して、イラン革命防衛隊司令官を、空爆で殺害したことを発表した。米国とイランの緊張関係が、一気に高まっている。
2)2017 年4 月、トランプ米国大統領は、
シリア空軍基地に対して、軍事攻撃を指揮した !
2017年4月、トランプ米国大統領は、シリア空軍基地に対して、トマホークミサイル、59基を打ち込む、軍事攻撃を指揮した。
トランプ大統領は、軍事オプションの活用に対して、慎重な姿勢を示していたが、突然の軍事攻撃に踏み切った。
シリアが、サリンを使った、化学攻撃を行ったことが、理由とされたが、真偽は定かでない。
3)トランプ大統領は、ソレイマニ司令官殺害を、指揮した !
今回、トランプ大統領は、イラン最高指導者・ハメネイ師直属の、イラン革命防衛隊の精鋭部隊である、1月3日の「コッズ部隊」ソレイマニ司令官殺害を、指揮した。
ソレイマニ司令官は、最高指導者ハメネイ師からの信頼が、極めて厚く、イスラム体制を支持する、国民の間で、英雄視されてきた人物である。
ソレイマニ司令官は、最高指導者ハメネイ師からの信頼が、極めて厚く、イスラム体制を支持する、国単に対外工作を担っていただけでなく、イランの外交軍事政策決定に、直接関与する重鎮だった。
4)ソレイマニ司令官は、実質的にイランナンバー2の地位にあった !
5)米国:ソレイマニ司令官と部隊が、「米国や
有志連合の要員数百人の殺害、数千人の負傷に関与した」
米国は、イランの対外工作を担う、精鋭組織のコッズ部隊を、外国テロ組織と見なしてきた。
国防総省は、ソレイマニ司令官と指揮下の部隊が、「米国や有志連合の要員数百人の殺害、数千人の負傷に関与した」としている。
昨年末、12月27日の、有志連合基地への襲撃では、米国人業者とイラクの要員が死亡した。
トランプ米大統領は、1月3日、「合衆国の軍は、世界随一のテロリスト、カセム・ソレイマニを殺害した、空爆を完璧な精度で実行した」、と述べるとともに、「ソレイマニは、アメリカの外交官や軍関係者に対する、邪悪な攻撃を、間もなく実施しようとしていた。
しかし、我々は、現行犯でそれを押さえ、あの男を終了させた」と表明した。
6)国防総省:ソレイマニ司令官は、米国外交官
や米軍要員を襲撃する計画を、進めていた !
この点に関して、アメリカ国防総省は、1月3日の声明で、ソレイマニ司令官が、「イラクや中東全域で、米国外交官や米軍要員を襲撃する計画を、積極的に進めていた」とした。
しかし、米国紙ニューヨーク・タイムズの記者は、ツイッターで、「ソレイマニ空爆後に、諜報内容の説明を受けた、2人の匿名米国政府関係者を含む、消息筋の話」として、「アメリカの標的に対する攻撃が、急迫していた、と示唆する証拠は、『かみそりの刃ほど薄い』ということだ」と伝えている。
○米国は、イランと戦争するな ! 在日米大使館前で市民ら抗議 !
(www.jcp.or.jp:共産党:2020年1月7日より抜粋・転載)
トランプ米政権によるイラン司令官の殺害によって米・イラン間の軍事的緊張が高まっているなか6日夕、東京都港区の米国大使館前で、抗議行動が行われました。武器取引反対ネットワーク(NAJAT)が呼びかけ、市民ら約40人がプラカードを掲げ「米国はイランと戦争するな」と訴えました。
NAJATの杉原浩司代表は、トランプ米大統領がツイッターにイランが米国人や米国の財産に攻撃を仕掛けた場合、米側は報復として「イランの52カ所を標的にする」と投稿したことにふれ「国連憲章に明白に違反した戦争犯罪の実行宣言に他ならない」と批判。軍事的挑発をやめ、イラン核合意への復帰とともに中東政策を全面的に見直すよう訴えました。
夜には首相官邸前で抗議行動を行い、日本政府に対し▽米国による暗殺を非難し米国にイラン核合意への復帰を要求する▽イランに米国への報復を自制するよう求める▽ただちに中東への自衛隊派兵を中止する―よう訴えました。
○「深刻かつ緊迫した事態。米国・イラン両国に
強く自制を求めるべき」定例会見で玉木代表
(www.dpfp.or.jp:国民民主党:2020年1月8日より抜粋・転載)
玉木代表: 玉木雄一郎代表は、1月8日、党本部で定例の記者会見を行った。会見の冒頭、玉木代表はイラクにある米軍の軍事拠点に向けてイランが十数発の弾道ミサイルを撃ち込んだと発表されたことについて触れ、「深刻かつ緊迫した事態という認識だ。エスカレーションを防ぐため、日本はあらゆる外交資源を活用し、両国に自制を強く求めるべきだ」と語った。
玉木代表は「日本は中東の中で長年、独自の役割を果たしてきた。昨年、安倍総理はイランのハメネイ最高指導者、ロウハニ大統領と面会しており、イラン指導部との接点もある。今こそ日本外交をしっかりと機能させるべきだ。米国一辺倒となることなく、緊張緩和のための役割を果たすべきだ」と続けた。
中東地域への海上自衛隊派遣について日本政府が予定通り行う、としていることについても「見直すべきだ。安倍総理ご自身が『(中東に)行かない』としている以上、自衛隊派遣も状況の変化を踏まえて、一旦立ち止まるべき。少なくとも『調査・研究』というような曖昧な目的を根拠にしたまま自衛隊を派遣することについては反対だ」と述べた。
さらに外交安保問題とあわせてIR(統合型リゾート施設)誘致をめぐる汚職事件や「桜を見る会」の問題、さらには日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告の不法出国といった国政に関わる重要なテーマが山積しており、速やかな閉会中審査の実施を求めたい、と述べた。
立憲民主党との政党間協議については、「しっかりとした野党の構えをしなければならない、という認識は両党で共有している」と語った。
○トランプ政権の無法な軍事力行使を非難し、
外交的解決の道に立ち戻ることを求める 志位委員長が声明
(www.jcp.or.jp:共産党:2020年1月7日より抜粋・転載)
日本共産党の志位和夫委員長は、1月6日、国会内で記者会見し、「トランプ政権の無法な軍事力行使を非難し、外交的解決の道に立ち戻ることを求める」と題する声明を発表しました。志位委員長は声明を、米国とイラン、イラクの各国政府に対して伝達するとともに、国連安保理常任理事国のイギリス、フランス、中国、ロシアの各国政府と日本政府に伝達することを表明しました。
声明の全文は以下の通りです。
(1)ソレイマニ司令官を空爆によって殺害した !
1月3日、米国・トランプ大統領の指示により、米軍が、イラクのバグダッド空港で、イラン革命防衛隊・ソレイマニ司令官を空爆によって殺害したことは、中東の緊張を極度に高め、「新たな湾岸戦争」(グテレス国連事務総長)さえ懸念される深刻な事態を引き起こしている。
どんな理由をつけても、主権国家の要人を空爆によって殺害する権利は、世界のどの国にもあたえられていない。それは国連憲章に違反した無法な先制攻撃そのものである。しかも、今回の攻撃は、イラク国内で、標的とされたイラン司令官とともに、イラク民兵組織の幹部らも殺害したという点で、二重、三重に無法なものである。
日本共産党は、トランプ政権による国連憲章と国際法に違反した軍事力行使を、厳しく非難する。
(2)米国は、軍事力行使をエスカレートさせてきた !
トランプ政権は、この間、武装組織による米国側へのロケット弾攻撃などへの「自衛的対応」という口実で、軍事力行使をエスカレートさせてきた。
しかし、米国とイランの緊張激化は、米側がイラン側の動きと主張している最近の出来事が始まりではない。2018年5月、トランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したことがその出発点であることは明瞭である。
2015年7月に、イランと米国など6カ国と欧州連合(EU)が結んだ核合意は、イラン核問題の平和的解決に道筋をつけた画期的な成果だった。トランプ政権の一方的な離脱と、イランへの「最大圧力」路線への転換は、この国際的な外交努力に重大な逆流をもちこんだ。2019年7月、トランプ政権が、対イラン「有志連合」の結成を呼び掛けるなど、軍事的圧力を強めたことは、緊張をさらに深刻なものとした。
イラン核合意からの離脱によって緊張激化の引き金を引き、今回の無法な先制攻撃によって戦争の危険をつくりだしたトランプ政権の責任はきわめて重大である。
―以下省略―