ワンチームじゃなく“自分ファースト”/政界地獄耳
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911020000108.html
2019年11月2日8時12分 日刊スポーツ
★IOCと都知事・小池百合子の「バトル」とメディアはもてはやすが、自民党都議会関係者は言う。「また緑のタヌキの猿芝居にだまされた」。小池にはIOCなどにいじめられている印象が強いが、自分だけ蚊帳の外だったことに反発しただけ。だが大会組織委員会会長・森喜朗らも案じて「(小池に)伝えたら大騒ぎするはず。外堀埋めてから伝えた方がいい」と判断。小池に怒らせガス抜きさせた。 ★小池は都民の税金を札幌で使わせないというが「実態は都の予備費を運用せざるを得ないと心配したのだろう。予備費は都議会の承認が必要。自民党と議会に頭を下げたくないので、あたかも都民に札幌移転のために増税があるかのような印象操作をしたのでは」(自民党関係者)。そこには無論、来年の都知事選再選構想がちらついていたのは言うまでもない。それが「苦渋の選択、合意なき決定」という言葉遣いにつながる。東京開催を言い続けてIOCと組織委員会にコケにされた悲劇のヒロインの演出も結局カネだったかと思われないように矛を収めた。 ★一方、IOCは別の事情があった。ドーハの暑さはきっかけだった。実は東京オリンピック(五輪)の次、パリ五輪の心配をしたのだ。今年のパリは異常気象。フランス気象庁は7月25日、パリで午後4時半すぎ、気温42・6度を記録したと発表した。猛暑は東京の比ではない。IOCは7月8月にやることがおかしいと世界から言われることを恐れ、おじけづくパリが辞退しないように、分散開催の前例を東京で作りたかった。そこに気づいた小池が高飛車に詰め寄り、都民を背中に何やら財源すら分からないセレブレーションマラソンなるイベントという“あんこ”を勝ち取った結果だろう。ただ、札幌市や北海道に敬意も協力の一言も言わない小池に「ワンチーム」などといわれる筋合いはない。来年の都知事選のため、小池のおかげどころか自分ファーストを見せつけられた。(K)※敬称略 |