福島・災害ゴミ、広域処理は無理!
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2019/10/24(木) 19:40:44 めげ猫「タマ」の日記
台風19号の豪雨により発生した災害ゴミ(1)について、福島民報は広域処理を求める社説を掲載していました(2)。でも、福島の災害ゴミは放射能汚染の懸念があり(3)、広域処理となれば受け入れ先で反対運動が起こります。福島・災害ゴミの広域処理は現実的ではありません。
阿武隈川(あぶくまがわ)は、福島県中央部を北から南に流れ、宮城県を経て太平洋にそそぐ川です。水系としての流路延長239kmは、東北地方で北上川に次ぐ長さの川です(4)。先の台風19号では、阿武隈水系を始め、福島県各所で河川が氾濫し、福島県各地で洪水が発生しました(5)。以下に阿武隈水系の氾濫箇所を示します。
福島の汚染地帯を流れる阿武隈川
※1(6)のデータを(7)に示す手法で10月1日に換算
※2 旧避難地域は(8)による。
※3 阿武隈川は(4)による。
※4 氾濫箇所は(9)による。
図―1 阿武隈水系と氾濫箇所
この水害によって大量の災害ゴミがでました(1)。
大量の災害廃棄物の発生を報じる福島県の地方紙・福島民報
※(10)を10月19日に閲覧
図―2 大量の災害廃棄物発生を報じる福島県の地方紙・福島民報
これについて、福島県の地方紙・福島民報は「【台風の災害ごみ】国を挙げて処理進めよ(10月24日)」との社説で
「台風19号は大量の『災害ごみ』を発生させた。処理が追い付かず、道端や仮置き場に積まれたままの光景が被災地で見られる。復旧の妨げになるばかりでなく、悪臭や腐敗など衛生面の悪化や火災発生が懸念される。<中略>県や市町村の枠を超えた広域対応が不可欠だ。国は都道府県の調整を進め、処理の加速に全力を挙げてほしい。<中略>環境省は全国で出た災害ごみの量が、昨年の西日本豪雨時を上回る数百万トンとみており、全国規模の対応が必要なのは明らかだ。<中略>本県だけで処理しきれる量ではない。<中略>小泉進次郎環境相は広域的に調整する考えを示す。国は、総量を早急に把握するとともに、どこの災害ごみを、どこに運び、どう処理するのかを立案するべきだ。<中略>スピード感を持った対策が肝要だ。」
と論じていました(1)。今回の豪雨で出た災害ゴミの福島県外での処理を主張しています。
こうした広域処理は東日本大震災の災害ゴミでも行われました。ただし、対象は岩手県と宮城県で、福島県は外されました(11)。だだし、岩手・宮城両県が福島第一事故の放射能汚染と無縁とは言い切れませんでした。宮城県の東北電力女川原子力発電所では事故直後の2011年3月13日に毎時21マイクロシーベルトの放射線を検出しています(12)。こんな訳でしょうか?宮城・岩手両県の災害ゴミ受け入れに対しても反対運動が起こりました(13)。
また、2013年4月には災害公営住宅の建設を予定する福島県会津若松市の工場跡地で鉛を含む汚染土壌が見つかり、旧所有者が山形県米沢市の処分場に搬入しようとしたところ、同県が処分場に対し「福島県の土壌は放射性物質の有無にかかわらず、搬入は認められない」と指導し、山形県は受け入れが拒否しました(14)(15)。山形県の対応はいろいろと批判があったようですが、(=^・^=)は当時の状況を考えると適切な対応だだったと考えています(16)。
当該社説は
「よそから受け入れるには、施設のある市町村と住民の協力が欠かせない。」
とも論じています(2)。すなわち、受け入れ先自治体の理解が必要だとの主張です。理解を得るには以下の2点が必要だいと思います。
@福島の災害ゴミの放射能汚染の心配はない。
A多くの方が、福島は「安全」と考えている。
です。
図―1に示しように示す様に阿武隈水系流域は国が除染が必要とする毎時0.23マイクロシーベルト(17)を超えた地域が広がっています。阿武隈水系は福島の放射能汚染帯を流れています。
川底や川べりもセシウムに汚染されています(18)。
川底や川べりが汚染されている阿武隈川
※(18)を引用
図―3 高濃度のセシウムが見つかった阿武隈川川底や川べり
福島ではため池の底からも高濃度のセシウムが見つかっています(19)。本宮市の明戸石池では1キログラム当たり25万ベクレルのセシウム137が見つかっています(20)。以下に福島のため池のセシウム濃度の分布を示します。
阿武隈川流域に分布する汚染ため池
※1(21)にて作成
※2 阿武隈川は(4)による
図―4 福島のため池のセシウム
図に示す様に阿武隈川流域で、高濃度のセシウムに汚染されたため池が分布しています。
川底やため池の底にはセシウムあることは図―3、図ー4に示す通りです。今回のような洪水があれば流れ出します。事故後にため池の底に高濃度でセシウムが溜まっていることが明らかになりました(19)。でも、除染は殆ど行われていません。福島県郡山市には282にのため池があります(22)。そのうち除染が完了したのは5つです(23)。安倍出戻り内閣はため池のセシウム汚染を放置しています。
この洪水では水と共に泥が流れ出したました。
洪水で流れだした泥
※(24)を転載
図―5 洪水で流れ出た泥(本宮市)
泥と共に当然ながら放射能も流出しました。以下に災害ゴミをしめします。
泥が付着した福島の災害廃棄物
※(25)をキャプチャー
図―6 泥が付着した福島の災害廃棄物
災害廃棄物は水にぬれ泥が付着しています。同じように流れ出たセシウム等の放射能も付着しているはずです。
福島の災害ゴミの放射能汚染が懸念されます。
福島を代表する果物にモモがあります(26)。モモの生産量は山梨が1位で福島は2位です(27)。以下に月平均の出荷量を示します。
7,8月に出荷が重なる福島産と山梨産のモモ
※1(28)を集計
※2 2008年から19年の平均、ただし10月以降は18年まで
図―7 福島産モモの出荷量(東京中央卸売市場)
図に示しように福島産と山梨産のモモは7・8月に競合します。以下に7.8月のモモ価格を示します。
事故後、山梨産比べ大幅に安くなったままの福島のモモ
※(28)を集計
図―8 山梨・福島のモモ価格
図に示す様に事故後に福島産モモは山梨産に比べ大幅に安くなりました。価格差を見ると
事故前(2010年) 62円安
昨年(2018年) 189円安
今年(2019年) 218円安
で、価格差が元に戻りません。それどころか昨年に比べ価格差が拡大しています。事故9年目ですが、今も多くの方が福島産を避けています。
福島県の地方紙・福島民報は社説で、台風19号に伴う洪水で出た福島の災害ゴミの広域処理を論じていました(2)。でも
・福島災害ゴミの放射能汚染のリスクが払拭できない。
・事故9年目も福島は避けられている。
との事実があり、およそ受けれ先の理解が得られるとは思えません。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
福島・災害ゴミの広域処理を実施すれば、東日本大震災時の広域処理で起こった反対運動(29)と同様またはそれ以上の反対運動が起こるはずです。仕方がない事です。福島の皆様も福島を避けています。
福島の野菜にブロッコリーがあります。10月も下旬になり福島はブロッコリーの季節です。南相馬市などが主要な産地です(30)。福島のブロッコリーは美味しいとの事です(31)。福島県は福島産ブロッコリーは「安全」だと主張しています(32)。でも、福島県南相馬市のスーパーのチラシには福島産ブロッコリーはありません。
県外産はあっても福島産ブロッコリーが無い福島県南相馬市のスーパーのチラシ
※(33)を引用
図―9 福島産ブロッコリーが無い福島県南相馬市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県南相馬市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-3060.html
(1)災害廃棄物、復旧の妨げ 台風19号から1週間 | 福島民報
(2)【台風の災害ごみ】国を挙げて処理進めよ(10月24日) | 福島民報
(3)めげ猫「タマ」の日記 福島・災害ゴミの放射能
(4)阿武隈川 - Wikipedia
(5)阿武隈川流域「水位」全地点最高を更新 24時間雨量200ミリ超:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(6)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成29年9月9日〜11月16日測定) 平成30年02月20日 (KMZ, CSV)」
(7)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(2017年)
(8)避難区域の変遷について−解説− - 福島県ホームページ
(9)福島県内「決壊」応急対策30日完了へ 台風19号影響の河川堤防:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(10)福島民報社
(11)環境省_災害廃棄物対策情報サイト_災害廃棄物の広域処理について
(12)女川原子力発電所 - Wikipedia
(13)震災がれきはどこへ行く · Global Voices 日本語
(14)山形県が 会津若松の鉛汚染土の搬入拒否 「福島県の土壌は ...rief-jp.org › ...
(15)福島県の土壌受入れについて — 山形県ホームページ
(16)めげ猫「タマ」の日記 福島市の放射線量激減―測定器をいじっただけ―
(17)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(18)移動する放射性物質 - 二本松市
(19)平成25年度福島県内のため池等における放射性物質の調査結果について - 福島県ホームページ
(20)(19)⇒ 県北地区 [PDFファイル/131KB]⇒N248
(21)(19)⇒ 県内底質濃度分布図(PDF 606KB)
(22)(19)⇒ 県中地区 [PDFファイル/183KB]
(23)ため池除染及び放射性物質対策/郡山市公式ウェブサイト
(24)めげ猫「タマ」の日記 福島・阿武隈川氾濫、流れ出た泥には放射能
(25)めげ猫「タマ」の日記 福島・災害ゴミの放射能
(26)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(27)もも(モモ・桃)の都道府県別生産量(収穫量)/グラフ/地図/一覧表|統
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(30)ふくしまの農林水産物パンフレット中の6 ふくしまの農林水産物カレンダー@ (1,056KB)
(31)ほっこり美味しい!ブロッコリーのフライ by 福島県 【クックパッド】 簡単おいしいみんなのレシピが317万品
(32)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ⇒やさい編 [PDFファイル/211KB]
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