・はじめに
この投稿は、政治スレッドに、
[政治・選挙・NHK266] 「環境技術研究に30兆円」、国民以外には莫大な金が動く国(まるこ姫の独り言) 赤かぶ
http://www.asyura2.com/19/senkyo266/msg/431.html
という記事が転載されたのをきっかけに、"莫大な金"がどのように使われるかを検証しようとするものです。
そのまえに、最近の阿修羅で見掛けた、いくつかの「金額」をお目に掛けたいと思います。(金額順、いずれも概算、真偽の検証なし)
アベの花見に6千万円
台風19号被害への緊急対策費7億円
イバンカ基金に57億円
クールジャパンに179億円
加計学園に440億円
イージスアショアに6000億円
F35を147機購入、総額1兆5,000億円
その維持費、30年間で4兆5000億円
オリンピックに3兆円
外国の環境研究に1年3兆円、10年間で30兆円(上記の記事)
アベが外遊でばら撒いたのが、6年間で60兆円
ちなみに、
日本学支援機構の貸付額、年に約5000億円
生活保護費の支給総額、年に約4兆円
「防衛費」約5兆円
国の歳入総額、約100兆円(2017年度)
うち所得税18兆円、消費税17兆円、法人税12兆円
・脳の世紀プロジェクトとは
脳の世紀プロジェクトは西暦2000年を記念して行われた事業で、脳の科学的研究に2000年から2002年の3年間に渡って、年1兆円、3年で3兆円が支出されました。
それを一手に受け取ったのが、当時の理化学研究所・脳科学総合研究センター所長であった、伊藤正男氏です。
脳科学総合研究センターは1997年に理化学研究所(埼玉県和光市)内に開設され、伊藤氏はその初代所長として就任しました。
伊藤氏は1989年まで東京大学医学部第一生理学講座教授、医学部長を務め、退職後は、日本神経科学会会長、日本学術会議会長を歴任していました。2004年に理研のセンター長をやめた後は、国際科学技術財団会長に就任しています。
なお伊藤氏は生理学の教科書にも載っている「シナプスの長期抑圧現象 (LTD)を発見」したことで有名で、一時はノーベル賞の候補でした。
脳科学総合研究センターが出来たときの理化学研究所理事長が有馬朗人氏です。
有馬氏は東大理学部物理学講座教授また第24代東大総長を務めたのち、1993年に理化学研究所理事長に就任しました。
1998年5月に突然退任し、自民党から第18回参議院選挙に出馬、比例代表1位で当選しています。
当時のビッグニュースになりましたが、なんと有馬氏は小渕恵三内閣で文部大臣・科学技術庁長官に抜擢されました(1999年10月まで)。
その後、2000年には日本科学技術振興財団会長、2004年に参院議員を1期で引退したあと、2006年には武蔵学園学園長に就任しています。
つまり、伊藤正男氏のセンター所長就任や、脳の世紀プロジェクトへの予算割り当てには、有馬朗人氏が深く関わっていました。
・脳の世紀プロジェクトのオカネの使い方について
3兆円の一部は、脳科学総合研究センターの建物の建設費(それまでは理研の母屋に同居)と、設備備品費に使われています。 これにいくら費やしたか、については資料が見当たりません。(現在は理研の会計はネット上に公開されているが、当時はまだその制度がなかった……種々の不祥事を経て、公開するようになった。)
それで全くの推定になりますが、1000億円から多くて2000億円ではないかと思います。 その根拠の一つは一般的な「公立病院」を建設するのにだいたい100億円から200億円程度掛かることです(小樽市民病院の場合137億円)。 それと加計学園の440億円(これは国の援助だけなのかどうか調べていません)。
医学系の研究所の場合、バイオハザード設備や、放射性同位元素(RI)研究設備のための費用が上乗せになります。
それに、研究用機器の購入費がかなり高額です。 理研の場合「ナンバーワン」を目指していますので、研究用機器も内外の最高規格のものを揃えるでしょう。
例えば核磁気共鳴画像法(MRI)装置は、通常でも数億円しますが、ハイスペックの特注品となると、小生にも価格は見当も付きません。 しかも床・壁・天井、電源などすべて特別なものが必要になります。
しかし……たかが2000億円。 3兆円にはほど遠いわけで、大部分は、日本全国の研究者にばら撒かれました。
小生のごく親しい研究者の一人も、2001年と2002年にそれぞれ1000万円、合計2000万円受け取っています。
いわゆる科研費(科学研究費助成事業)で配分される金額は様々で、一人の研究者が配分されるものはだいたい年間100万円から、最大で1000万円(これは東大の先生でも一生に一度当たるか当たらないか、と言われている)です。
つまりそのかたは、"最高レベル"の研究費を獲得したわけです。
ところが、彼は彼一人で研究する人でした。 つまり"同僚"や大学院生などを持っていませんでした。
また彼の居室兼研究室は2間×4間程度の部屋が一つだけ。
ある日、彼の部屋を覗いてビックリ。 各種研究機器や、試薬・消耗品の段ボール箱が部屋の至る所に天井まで届く高さに詰め込まれていました。(いったいどこで実験するんだよ?!)
おそらく1000万円程度は、そのような"備品類"の購入に使われたはずです。 もし部屋に余裕があれば、もっと買い込んだのかも知れませんが、部屋の広さが買い物の上限だったわけです。
それでは残りの1000万円は何に使ったのか?
それはいわゆる人件費です。(科研費用語では違う表現がありますが省略)
普通に大学院生とか、オーバードクターを雇ったのなら、小生がこの文章を書くことはなかったでしょう。
彼はなんと、自分の奥さんと娘を雇った(ことにした)んです!!
(ウィキの理研の項目に、「不祥事」という節があり、その中に「2010年(平成22年)4月 - 事業仕分けにおいて、理研で「アシスタント」として配偶者を雇用してその配偶者に給与を支払っていることは問題だ、と指摘される」と記されているのですが、断じてそれを盗用しているわけではありません。 ただこれを見たときに『どこにでも同じようなことを考える悪党がいるんだなぁ』とは思いましたが。)
さて、その彼が貰った金額が2000万円。 3兆を少し減らして2兆円にしたとしても、10万人に配らなければなりません。 人によってはその10倍の2億円貰ったかもしれませんが、その場合でも1万人に配る必要があります。
ところが小生が知る範囲では、「脳の世紀」の補助金を貰えたのは、上記の『彼』一人しかいないんです。
2000年当時でも、『我が社』(小生の匿名性の確保のためこのように表現させていただきます)では、"外部資金"を貰った場合には、すべて公開しなければならず、事務の会計を通して管理することになっていましたから、外部資金を貰った人はすぐに分かりましたが、他にはいなかったわけです。 ちなみに『我が社』に脳の専門家は20人くらいはいました(ですから全国なら1000人くらいかと)。 しかも『彼』は神経学者ではありましたが、脳の専門家ではありません。
この補助金配布では「公募」はいっさい行われず、どのように配分決定したか、明らかにされていません。 (研究計画書と研究報告書はあったはずですが、廃棄済みかも。)
というわけで、庶民が『大金』を使うのは大変なことなんですが、それをパッと使ってしまえる方もいらっしゃるわけで、どんな風に使っているのか、小生の想像を超えておりまして、全然”検証”にはなりませんでしたが、考え方の一端を示せていたら幸いです。
最後になりますが、ウィキペディア日本版の
科学研究費助成事業
理化学研究所
伊藤正男
有馬朗人
の項目を参考にしました。 これらは興味がある方には一読をオススメします。
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/252.html