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10月 01, 2019 日々雑感(My impressions daily)
<なじみの酒屋が、ラーメン屋が……。消費増税を翌日に控えた30日、長い歴史に幕を下ろす家族経営の店がある。常連客に支えられてきた小さな店にとって、軽減税率などへの対応も含め、増税のコストはあまりに重かった。
東京都目黒区で約100年続く酒屋「ますかわや本店」も30日に閉店する。店主の土橋彰さん(66)は4代目。16年前にフランチャイズ傘下に入りながらも、地元の人とのつながりを大切に商売を続けてきた。
年齢的に「あと2、3年」とは思ってはいた。閉店に踏み切ったのは、軽減税率対応のレジの導入に費用がかかり過ぎるからだ。
在庫管理などをするパソコンの交換も必要になる。業者の見積もりでは、設備を一新すると、国の補助があっても300万円ほどかかることが判明した。リースにしても、6年間で約450万円かかる。「仕組みが複雑で、2014年の増税時とは全然違う。あと2、3年なのに……」と妻博子さん(60)は声を落とす。
閉店間際も地域のなじみの家を、1日30軒ほど回り、お酒やお茶を配達した。「今までありがとうございます」とメッセージの添えられた花束も届いた。「常連さんを裏切るような形になってしまって申し訳ない」と話していた彰さんは「たまらないよな。普通は売れ残るけど、完売。愛されていたんだね」としんみりした>(以上「朝日新聞」より引用)
複雑というよりも粗雑な税制の導入により商店主が音を上げるケースが相次いでいる、という。消費増税による8%据え置き税率と10%の新税率との適用区分が面倒だからだ。
会計処理にパソコンを導入していて、簡単にシステムが組める人員がいれば良いが、そうでなければ特別な二通りの税率が打てるレジか、あるいは二台のレジを置くしかない。そして会計帳簿の処理を明確に分ける手間暇が余計にかかる。
そうした事務処理の負担が小さな商店経営者に掛かって来る。だから税制は簡明を以て旨とすべし、と昔からいわれている。それは治世者が心掛けるべき最重要責務だ。
今回の消費増税は増税そのものも経済成長を腰折れさせる悪手だが、その内容はさらにお粗末だ。クレジットカードが持てない者には5ポイント還元が受けられない、という格差税制とは前代未聞だ。しかもすべての店が5ポイント還元が今日から出来るわけではない。全体の3割程度しか「準備」出来なかったという。
こうした税そのものも、その内容も、お粗末極まる悪税をなぜ安倍自公政権は強行するのだろうか。財政規律で片づけられるものではないだろう。何か他に意図があるとしか思えない。
クレジットカードを持たない者には税のポイント還元をしない、という「不公平税制」の強行は法の下の平等原則に反しはしないか。クレジットカードを持たない非正規社員や未成年や高齢者は5ポイント還元の恩恵に浴さなくても良い、という発想は弱者切り捨て社会の容認でしかない。それこそ弱肉強食のグローバル化社会のあり方そのものだ。
クレジットカードを持てない者は「自己責任」だというのだろう。だから5ポイント還元が受けられなくても「仕方ない」と日本国民の多くは容認しているのだろうか。それほど「平等意識」が希薄になってしまっているのだろうか。
働く者が正規と非正規とに分けられ、そこに格差を設けられ、日本は平等社会から格差社会へと変貌を遂げてしまったようだ。それに対してマスメディアも殆ど批判の声を上げない。テレビのコメンテータ達も、その点に関して沈黙したままだ。いよいよ日本社会は暗いものになってしまった。なんとしても「一燈照隅」の政治家を選ぶ必要が高まっている。「国民の生活が第一」の政治の実現が待たれる。