福島原発事故、東電旧経営陣の刑事責任は 19日判決(福島第一原発事故後、9年目以降のニュース)
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参照先 : https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49842600U9A910C1CR8000/
福島第1原子力発電所事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の判決が19日、東京地裁(永渕健一裁判長)で言い渡される。巨大津波を予見し、有効な対策を取ることができたかが争点。禁錮5年の求刑に対し、旧経営陣側は無罪を主張している。未曽有の原発事故の刑事責任が問われた裁判で、どのような判断が下されるのか。
東電旧経営陣の公判の主な争点と主張
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強制起訴されているのは勝俣恒久元会長(79)、武黒一郎元副社長(73)、武藤栄元副社長(69)でいずれも「事故を予見するのは不可能だった」などと主張している。
2017年6月に始まった公判には、東電関係者や専門家ら20人超が証人として出廷した。太平洋側の日本海溝沿いで巨大地震が発生しうるとした政府の地震調査研究推進本部の長期評価(02年公表)や、津波の対策に関する社内での議論の経過について証言した。
公判では長期評価の信頼性や福島第1原発の高さ10メートルの敷地を越える津波の予見可能性などを巡り、検察官役の指定弁護士と旧経営陣側の主張が真っ向から対立した。
指定弁護士は長期評価は科学的知見に基づき、高い信頼性があったと主張。08年6月、長期評価に基づく最大15.7メートルの巨大津波の試算を報告された武藤氏が対策検討を指示したが、その後方針を転換した点を挙げて「対策を先送りした」などと批判している。
指定弁護士は当時会長の勝俣氏らが出席した09年2月の会議でも担当幹部が14メートル程度の津波に言及しており、3人は巨大津波と原発事故を予見できたと指摘。「積極的に情報を集めて的確に対策を実行すれば事故は防げた」などと訴えている。
旧経営陣は「長期評価は信頼性がなく、対策を取る根拠としては不十分だった」などとして、巨大津波は予見できなかったと主張。実際に原発を襲った津波は試算を上回り、試算に基づく対策を取っていても事故は防げなかったとしている。
原発事故を巡り、東京地検は旧経営陣3人を嫌疑不十分で不起訴としたが、検察審査会が14年に「起訴相当」、15年に「起訴すべきだ」と議決し、指定弁護士が16年2月に強制起訴した。検察当局が起訴を見送った事件で有罪を立証するハードルは高いとされ、強制起訴に至った事件での有罪は2件にとどまる。
業務上過失致死傷罪の成否を巡っては、被告個人が危険性をどれだけ具体的に認識したか、厳格な立証が必要だ。様々な要因が複雑に絡み合って発生した事故について当時の経営陣の刑事責任を問えるのか。裁判所の判断が注目される。