各国国内回帰も…復活の期待すらできない日本の製造業 ニッポンはもはや先進国じゃない?
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2019/09/01 日刊ゲンダイ
ハイテク・アイランドに生まれ変わるか(台湾・雄市)/(提供写真)
米中貿易摩擦の“恩恵”に浴している国やエリアがある。ベトナム、タイ、ミャンマーは工場用地の需要や投資が急増しているが、最も商機を得たのは台湾かもしれない。中国に進出した台湾企業がこぞって自国回帰しているのだ。
台湾経済部は今年初頭に、大陸に進出した台湾企業を呼び戻す回帰政策を打ち出した。その結果、7月末までに98社がこれに呼応、投資累計金額は4973億台湾ドル(約1兆7300億円)に達した。
回帰した台湾企業が立ち上げるのは、高度に自動化されたスマート工場。描いているのは、“ハイテク・アイランド化”した台湾が中心となって構築する新たなサプライチェーンだ。
日本では、産業立地調査研究機関である「日本立地センター」の専門家が「一部国内に戻す企業があるが、潮流になるほどではない」と言うように、台湾のようなムーブメントは起きていない。
最近は化粧品、医薬品、日用品など輸出向け商材の生産体制が日本国内で強化されつつあるが、「海外シフトを強めたツケで、工場を増設しても技術者が足りない」(大手化粧品メーカーOB)。前出の専門家も「IoTやAIとモノをつなげようとする時代に、日本には肝心な人材がいなくなった」と嘆く。日本の製造業は、対中進出の加速、リーマン・ショック、「3・11」で縮小し、いつの間にか国内から技術者が消えてしまったのだ。
世界では、中国から生産や研究開発を戻す「生産拠点の国内回帰」の動きがある。トランプ米政権はその最たる実践例。米国で今秋「メードイン・アメリカ2019」を掲げた見本市が開かれる。“政治”もあるが、雇用からイノベーションまで深くかかわる「マニュファクチャリング(製造業)」を衰退させてはならないという考え方もあるようだ。
一時は製造業からの脱却を模索した中国も、今では国策に「中国製造2025」を掲げる。米中に共通するのは、「製造業は国の背骨」だとする認識だ。
東京都内の私大でイノベーションを研究する教授は、「製造業とイノベーションは切り離せないが、新たな製造業の在り方が日本では見えてこない」と話している。
(つづく)
姫田小夏 ジャーナリスト
ひめだ・こなつ 上海財経大学公共経済管理学院・行政管理学修士(MPA)。中国ウオッチは25年超、うち約15年を上海で過ごす。中国、アジアを現地取材、日本でも各地を回りインバウンドがもたらす変化を追う。著書に「インバウンドの罠」(時事通信出版局)他。「ダイヤモンド・オンライン」などでコラムを連載中。アジア・ビズ・フォーラム主宰。
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もはや先進国じゃない!?【ヤバイよニッポン】C
— KK (@Trapelus) 2019年8月31日
フリージャーナリスト 姫田小夏
回帰政策の台湾は、自国中心の新サプライチェーンを模索
復活の期待すらできなくなった日本の製造業
日本の製造業は、対中進出の加速、リーマン・ショック、「3・11」で縮小し、いつの間にか...
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