木星にもっと巨大な何かが衝突したっぽいです、大昔/GIZMODO・msnニュース
山田ちとら
2019/08/20 11:30
http://www.msn.com/ja-jp/news/techandscience/%e6%9c%a8%e6%98%9f%e3%81%ab%e3%82%82%e3%81%a3%e3%81%a8%e5%b7%a8%e5%a4%a7%e3%81%aa%e4%bd%95%e3%81%8b%e3%81%8c%e8%a1%9d%e7%aa%81%e3%81%97%e3%81%9f%e3%81%a3%e3%81%bd%e3%81%84%e3%81%a7%e3%81%99%e3%80%81%e5%a4%a7%e6%98%94/ar-AAG3ihE?ocid=iehp#page=2
ことごとく衝突されやすいようです。
ついこないだも木星が巨大な何かに衝突されたらしいとお伝えしたばかりですが、さらにスケールの大きい衝突の可能性が出てきました。
学術誌『Nature』に8月14日付で発表された論文が、木星がまだ若かった頃、地球の10倍はあるようなものすごく大きな天体と正面衝突したという仮説を打ち立てました。
仮にこれが本当だったとしたら、木星に関する謎がきれいに解けるのだそうです。
木星の謎
太陽系最大の惑星である木星。質量の90%以上が水素とヘリウムでできたガス惑星です。中心核があるとされているものの、どのような物質でどのように構成されているのかはいまだ謎のまま。
NASAの探査機ジュノーは、2016年に木星に到達して以来、木星の周回軌道から木星を観測してきました。そしてジュノーの観測データが明らかにした木星の重力場から推測するに、木星の中心核はいままで想定されていたよりもずっと巨大で希薄、しかも重元素に富んでいる可能性が出てきたのです。
たいがいのガス惑星は固い中心核のまわりを密度の低い環境が取りまいていますが、木星はその逆。でもどうやったらそんな中心核の成り立ちを説明できるのかは謎でした。
シミュレーション結果がドンピシャ
そこで、アメリカ・日本・中国・スイスの研究チームが立てた仮説が大規模な衝突でした。研究に携わったアストロバイオロジーセンターのプレスリリース(PDF)によると、まだ若かった木星と、地球の10倍の質量を持つ天体とが正面衝突する3次元流体数値シミュレーションを実施したところ、ドンピシャな結果だったらしいのです。
衝突した天体は木星の深部まで到達し、木星の中心核と衝突合体することがわかります。衝突に伴う衝撃波と駆動される乱流による擾乱の影響で、木星の中心核の物質は上層部へと輸送され、周囲の水素・ヘリウムと激しく混合します。その結果、密度の低い、大きく広がった巨大な中心核が形成されました
アストロバイオロジーセンターのプレスリリースより抜粋
ちなみに、ただ表面をかすめたり、横から接触したりという程度の生半可な衝突では、木星の中心核を揺るがすほどの衝撃波は生まれなかっただろうとのこと。
昔から衝突され放題な木星
その頃の太陽系では、原始の太陽を取りかこむ円盤状の塵がぶつかり合い、徐々に惑星などの天体を形成しつつありました。木星は短期間で巨大化したために、それだけ強い重力でまわりの天体を引きつけていたと考えられます。いってみれば、原始の木星は衝突されやすかったんですね。だから、その過程でほかの惑星になりかけている天体と正面衝突したと考えてもおかしくはなさそうです。
現に地球の惑星である月だって、原始の地球に衝突してきた天体の名残りだと言われていますし(いわゆるジャイアント・インパクト説)。
サイエンスでも想像力は重要!
今回の研究に直接関わりのなかったカリフォルニア大学サンタクルーズ校の惑星科学者、Jonathan Fortneyさんも、衝突の可能性はありえなくないと語っています。
月ができたのも、水星の地殻が極端に薄いのも、天王星が横倒しになったのも、すべては天体同士の衝突によるものだと前置きしたうえで、「今回の衝突説はそれよりもずっとスケールの大きい話。天王星か海王星が木星に正面衝突するぐらい」だと米Gizmodoに説明してくれています。
ただし、現段階ではあくまで仮説だとも。「木星の謎を解く答えだという確信はまだ得られていないが、おもしろい仮説として今後さらに追及していく必要はあるだろう」とのことです。
オランダのライデン天文台に勤務しているYamila Miguelさんは、木星の謎を解くためには今回のような仮説をどんどん立てていく必要がある、とも言っています。謎解きには想像力も重要なんですね。
天体同士が大胆にドカーーーンと衝突し合っている図を想像するだけで楽しいですけど、今後ほかにどんな仮説が提唱されるのかも楽しみです。
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/764.html