キルギスタンでの危機:もう一つのカラー革命か、内戦か?
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2019年8月16日 マスコミに載らない海外記事
アンドリュー・コリプコ
Global Research
2019年8月9日
前大統領が降伏要求に従うのを拒絶した後、収賄容疑での逮捕令状を執行すべく緊急派遣された特殊部隊に、前大統領と彼の支持者が発砲した最近の紛争が、最悪の場合、カラー革命や内戦にさえ陥りかねない状態で、歴史的に不安定な中央アジアの国キルギスタンを突然もう一つの危機に陥れた。
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ロシアの集団安全保障条約機構CSTOの相互防衛同盟国で、ユーラシア経済連合加盟国のキルギスタンは、今週早々、現大統領と前大統領間の長年くすぶり続けていた権力闘争が、とうとう暴力的になり、突然もう一つの危機に陥った。前大統領アタンバエフは、彼のかつての子分、現職大統領ジェーンベコフによって、この夏早々、免責特権を剥奪され、汚職で告訴されたが、彼は降伏するという要求に従うのを拒否した。従って、当局が、彼の逮捕令状を執行するため特殊部隊を緊急派遣したが、彼らは首都郊外のアタンバエフ邸宅構内で銃撃に出くわした。最初の作戦は完全な失敗に終わったが、彼は最終的に、翌日出頭することに同意した。前大統領は自分は政治的抑圧の被害者だと主張したが、現大統領は、前大統領は、彼の犯罪だとされていることの中でも、前大統領が彼を逮捕すべく派遣された部隊を銃撃し、逮捕に抵抗したことが、明らかに憲法に違反したと主張している。これに対し、アタンバエフは支持者に、ビシュケクで抗議をするよう呼びかけ、近年の不安定な中央アジアの国キルギスタンの不穏な歴史を考えると、最近の紛争は、カラー革命、あるいは最悪の場合、内戦にさえ陥るかもしれない恐怖を引き起こした。
現在の問題の核心は、アタンバエフが、ジェーンベコフを支配して、国家に対し、間接的な影響力を無期限に行使し続けることが可能だと想定したが、後継者は別の計画を持っており、自分のかつての後援者を法律違反とされるものの責任を問うことで、自分の独立を主張すると決めたことであるように思われる。現職大統領は、本物の反汚職活動の一環としてそうしたのかもしれないが、彼は前任者が確立した「国家内国家」として機能していた可能性がある影のネットワークを排除するという政治的動機を持っているのかも知れない。結局、以前の憲法改訂で、キルギス大統領は、6年の在職期間を一期しか勤められないようになっており、アタンバエフは、種々の代理人、つまり、ジェーンベコフのような公職にある人物や、最初の襲撃の試み失敗した際、彼の邸宅内に集まっていた武装支持者のような非公式な代理人の双方を利用して、事実上の国家指導者の役割を果たし続けることを望んでいた可能性はあり得る。任期を終えた後でさえ、アタンバエフは大きな影響力を持っていたので、彼はプーチンとの結びつきを維持しており、不可避のこう着状態を避ける窮余の策として、ロシアによる調停の試みで、先月末モスクワに彼を訪問さえした。
スーダン:カオス放出される。 カラー革命
事情にうとい人々は気が付いていないかもしれないが、キルギスの政治文化は、依然かなりの程度、氏族に基づいており、ここ15年のうちに、2005年と2010年、不満な氏族の連中が抗議で街頭に繰り出して、二つのカラー革命が既に起きているので、最近の状況が極めて爆発的なものになる可能性があるのだ。伝統的なカラー革命モデルに従って、警察はその際、種々の挑発に対応し、状況は急激にエスカレートし、現職大統領が最終的に大統領の座から追放されるに至ったのだが、フェルガーナ渓谷におけるキルギス人とウズベク人の民族的衝突後におきた最近の政権交代は、特に血まみれのものだった。前国家指導者が究極的に降伏した後、木曜日夜に失敗したものの、彼の支持者に、首都で結集するようにというアタンバエフの呼びかけが、こうした二つの前回シナリオの繰り返しを引き起こしかねないがゆえに、極めて煽動的だったのだ。来る週末に、そういうことになるのか否かはまだわからないが、もしキルギスタンを最近の歴史のような不穏状態に戻す積極的な取り組みがなされれば、治安機関は、もう一つのカラー革命の企みに対処する用意を整えているように思われる。
将来を考えると、唯一の持続可能な解決策は、キルギスタンで、一族中心の影のネットワークが「国の民主主義」の上で果たす影響を減らし、究極的には無くすことであり、振り返って考えれば、前大統領に対する今週の劇的な作戦は、キルギスタンの長期的な安定のためには遅かれ早かれ起きるしかなかったのだ。キルギスタンの治安機関や他の機関に、既にそうしたネットワークの連中が潜入している可能性があるので、国自身が、適切に対処する用意ができていないかもしれず、苦しい戦いになる可能性が非常に高い。そのため、キルギスタンにとって、これからの課題は、「闇の国家」(永久の官僚制)を「浄化し」同時に(時に「闇の国家」勢力の傘下である)組織犯罪を厳しく取り締まらなければならないと単純化して表現可能だろうが、これは問題がどれほど強固なのか次第で、重大な社会混乱をもたらすかもしれない。これまでの大統領たちや影響力を持った連中が、既成体制を改革して利己的な特権を失う危険を冒すより、自分たちの利益のために、既に存在している体制を利用するのを好んだ可能性が高い。そういうわけで、キルギスタンは、おそらく、これから多少厳しい時期になるだろうから、注目し続けるべきだ。
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アンドリュー・コリプコは、モスクワを本拠とするアメリカ人政治評論家。アフリカ-ユーラシアのアメリカ戦略と、一帯一路グローバル構想という中国新シルクロードの接続性とハイブリッド戦争の関係が専門。彼はGlobal Researchの常連寄稿者。
この記事の初出はGlobal Research 著作権 アンドリューKorybko、Global Research、2019
記事原文のurl:https://www.globalresearch.ca/will-kyrgz-crisis-lead-another-color-revolution-even-civil-war/5685994
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