米大統領が日本に求めているのはアメリカの侵略戦争への参加
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2019.06.30 櫻井ジャーナル
ドナルド・トランプ大統領は側近との個人的な会話の中で、アメリカが攻撃された場合に自衛隊が支援することを義務づけるべきだという考えを明らかにしたと報じられている。当然、アメリカが先制攻撃し、反撃された場合も含まれるだろう。アメリカの戦争へ自衛隊も参加する義務を課すべきだということにほかならない。 過去を振り返ってみて、アメリカが先制攻撃を受けたと言えるのは日本軍による真珠湾攻撃くらいだろう。アメリカが攻撃を受けたと主張されているケースはあるが、自作自演の可能性が高いものばかりだ。 例えば1898年にハバナ港で爆沈したアメリカの軍艦メインの場合、南アメリカを侵略するための口実に使われている。アメリカはスペインが実行したと主張、宣戦布告しているのだが、自作自演だったと疑われている。少なくともスペインが実行したことを示す証拠はない。 朝鮮戦争もアメリカが仕掛けていたことは本ブログで繰り返し書いてきた。ベトナム戦争へ本格的に軍事介入する切っ掛けになったトンキン湾事件の場合、1964年7月30日に南ベトナムの哨戒魚雷艇が北ベトナムの島を攻撃、翌日にアメリカの特殊部隊員に率いられた南ベトナムの部隊がハイフォン近くにあるレーダー施設を襲撃、その報復として北ベトナムは8月2日にアメリカ海軍の情報収集船マドックスが攻撃されたのである。真ドックスはアメリカ側の攻撃を知らなかったようだ。 1979年に始まったアフガン戦争の場合、パキスタンのバナジル・ブット首相の特別補佐官を務めていたナシルラー・ババールによると、アメリカは1973年からアフガニスタンの反体制派へ資金援助を開始、1979年4月には国家安全保障補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーの戦略に基づき、CIAはイスラム武装勢力への支援を始めている。(Alfred W. McCoy, “The Politics Of Heroin”, Lawrence Hill Books, 1991) この武装勢力へCIAは武器/兵器を提供、戦闘員を訓練している。その戦闘員を供給したのがサウジアラビア。戦費もサウジアラビアが提供しているが、麻薬取引も資金調達のために使われた。ベトナム戦争の際にケシ(ヘロインの原料)の主要産地は東南アジアだったが、アフガン戦争が始まるとアフガニスタンからパキスタンにかけての山岳地帯へ移動している。 こうしたアメリカの罠にかかったのがソ連。1979年12月にソ連軍の機甲部隊がアフガニスタンへ軍事侵攻してきた。ブレジンスキーはソ連を「ベトナム戦争」へ引きずり込んだだけでなく、サラフ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とするジハード傭兵の仕組みをブレジンスキーは作り上げたのである。その傭兵のリストがアル・カイダにほかならない。後にブレジンスキーはアフガニスタンの「秘密工作はすばらしいアイデアだった」と答えている。(Le Nouvel Observateur, January 15-21, 1998) 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された際、アメリカ政府は詳しい調査をせず、アル・カイダが実行したと断定、そのアル・カイダ系武装集団を人権無視で弾圧していたイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を倒し、国を破壊し、人びとを殺し続けている。攻撃の直前、「大量破壊兵器」が宣伝されたが、これは嘘だった。 本ブログでも繰り返し書いているが、2011年春に始まったシリアやリビアでの戦闘もアメリカなどがジハード傭兵を送り込んで始まった。これらを内戦と呼ぶことは間違っている。侵略戦争にほかならないのだ。 シリアの場合、ロシア軍の介入もあってアメリカなどが送り込んだジハード傭兵は敗走した。その穴をアメリカ軍とその配下のクルドが埋めている。 イランの親イスラエル王制が倒された後、1980年代からネオコンはイラクのフセイン体制を倒し、シリアとイランを制圧するというプランを持っていた。そのプランに従い、イランが攻撃されている。 ネオコンは1992年はじめに世界制覇プランを作成した。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。1991年12月にソ連が消滅、アメリカが唯一の超大国になったという前提で書き上げられたのだが、21世紀に入ってロシアが再独立、ネオコンはロシアの属国化を目指している。 トランプはネオコンとライバル関係にあるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と近いのだが、そのネタニヤフは大イスラエルの実現が目的で、イランの制圧が最優先されている。 いずれにしろ、アメリカが攻撃されるのはアメリカによる侵略の結果だ。日米安保で日本が守られているという主張は戯言にすぎない。 |