葛尾村、避難指示解除3年・未来は暗い
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2019/06/14(金) 19:43:10 めげ猫「タマ」の日記
福島原発事故による放射汚染により、避難指示が出ていた葛尾村の避難指示が2016年6月12日に避難指示が解除されてから、今月で3年になります(1)。お祝いしたいのですが
・もどらない住民
・マーケットを失った農業
など、未来は暗そうです。
福島県葛尾村は福島県東部を南北に連なる阿武隈高地に位置する山村です(1)。以下に示します。
事故から8年3ヶ月過ぎ汚染されている福島
※1(2)の数値データを元に(3)に示す手法で6月1日時点に換算
※2 避難区域は(4)による
図−1 福島県葛尾村
図に示す様に全域が国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルト(5)を超えています。事故から8年になりましたが福島県葛尾村は汚染されたままです。
福島事故直後に二種類の避難区域が設定されました。警戒区域と計画的避難区域です。警戒区域は事故直後の2011年3月12日に設定されました。計画的避難区域は事故後にしばらくしてから放射線量が高いことが判明し設定された避難区域で、設定されたのは事故から1ヶ月以上が過ぎた2011年4月22日です(4)。さらには、警戒区域では残された家畜は殺処分となりました(6)。一方で、計画的避難区域では一定の条件下で家畜の持ち出しが認められました(7)。計画的避難区域は家畜の持ち出し等の為になかなか逃げなった村です。葛尾村の大部分は計画的避難区域になりました(4)。事故前に葛尾村では3,448頭の牛と3,863頭の豚が飼育されていした(8)。これは葛尾村の事故前の人口1,531人(1)を超えます。
以下に福島県葛尾村・各年度(4月から翌年3月)の赤ちゃん誕生数を示します。
※(9)を集計
図―2 福島県葛尾村の赤ちゃん誕生数(各年度)
図に示す様に事故後は女の子が男の子より多く生まれるようになりました。2011年度以降に生まれた赤ちゃんの数を合計すると
男の子 30人
女の子 51人
です。このような事が偶然に起こる確率を計算したら統計的に差がるとされる5%を下回る(10)2%でした(11)。なお、2019年4月は子供が生まれていません(9)。
通常は 通常は男の子が多く生まれるので(12)異常な事態です。福島の女性はお隣の宮城や茨城に比べても大変に綺麗です。
福島の綺麗な女性
※(13)をキャプチャー
図―3 福島県の綺麗な女性
でも喜んでばかりはいられないようです。放射線影響研究所は広島や長崎で遺伝的影響がな事の根拠に生まれている赤ちゃんの男女の比率に異常がない事あげています(14)。広島や長崎では起きなかった事が福島県葛尾村では起きています。
それでも安倍出戻り内閣は「安全」だとして、2016年6月に大部分で避難指示を解除しまた(1)(4)。さらには3月末で、村外へ避難してる方への応急仮設住宅や借上住宅の提供が打ち切られました(15)。この結果、応急仮設住宅や借上住宅に住まわれている方は、自ら住宅(災害公営住宅を含む)を手配して村外に定住するか、帰還するを選択することになったと思います。
以下に葛尾村民の居住状況を示します。
帰還が進まない福島県葛尾村
※(16)を集計(過去分も含む)
図―4 葛尾村民の居住形態
4月1日時点の帰還者は
対象 1,318人中326人(帰還率24.7%)
で(17)、避難指示解除から3年が経ちましたが、帰還が進んでいません。他に避難指示解除以降の転入者が91人います。6月1日時点で葛尾村内に住んでいる方は合計で417人です。
図に示す様に自力で村外に自宅を入手された方や村外の災害公営住宅だと、葛尾村村外に安定した住居を入手した方を含むその他が大部分です。葛尾村村民の多くは帰還をあきらめ村外に安定した住居を入手したようです。村に戻る事はありません。
同村では子どもの帰還にも力をいれています。村内に居住する中学生以下の子どもには、月2万円が児童手当とは別に支給されます(18)。昨年の中学校の修学旅行先はシアトルです(19)。村営塾も開校しています(20)。これで子供が戻るか興味があります。
以下に葛尾村の園児、児童、生徒数を示します。
各学年でほぼ一人の葛尾村幼・小・中学校の生徒数
※(21)(22)(23)にて作成
図―5 葛尾村児童・生徒・園児数
合計で19人です。2015年度に生まれた子供は本年度4月1日時点で3歳になります。幼稚園年少組です。2009年度に生まれた子供は9歳です。2009年度から2015年度に葛尾村民として生まれた子供は66人です。今から5年前の2014年4月に葛尾村には5−9歳の子どもが46人いました(9)。今は10から14歳になっています。この二つ合計すると本年度の幼・小・中学校の対象者数が出てきます。112名です。このうち実際に通っているには19名ですから、17%(19÷112×100)です。
図に示す様に中学3年生が多くなっています。葛尾村で学校が村内で再開したのは2017年4月です(23)。中学3年生は避難先で開設されていた村立中学校から移ったかたですが、後は新しく入学した方です。
葛尾村の保護者の皆様は葛尾村の学校を選ばない傾向があります。2010から12年度に生まれた方は15人で、今は小学校低学年です。この間に生まれた方は合計で15名ですが、村立小学校に通っているのは4人(22)で27%(3÷15×100)です。2013から15年年度に生まれた方は幼稚園の対象者ですが、合計で35人です。このうち村立幼稚園に通っているのは5名(23)で、14%(5÷35×100)です。連例が下がるにつれ村に戻る子どもの割合が減っています。
葛尾村の復興計画によれば(24)、徐々に放射線量を低減させ村の魅力を増し、若年層の帰還に結び付ける計画です。
放射線を低減させ若年者を呼び込もうとする葛尾村復興計画
※(25)を引用
図―6 放射線量を低減によって若年層を帰還させるとする葛尾村復興計画
同村でも「除染」が行われました(26)。放射性物質はなにもしなくても時間と共に減っていきます。その減り方は「半減期」で計算できます(27)。以下に葛尾村の放射性物質の量と、半減期で計算される予想量を示します。
半減期でしか減らない福島県葛尾村のセシウム
※元データおよび計算方法は(28)による。
図―7 半減期でしか減らない福島県葛尾村のセシウム
図に示しように自然に減る分でしかセシウムは減っていません。除染はほとんど効果をあげていません。いま残っているセシウムの大部分は半減期30年のセシウム137です。半分になるのに30年係ります(27)。これからは放射線量はあまり下がりません。一方で図―1に示す様に村は汚染されており、さらには図―2の示す様に生まれて来る赤ちゃんの男女比(出生性比)の異常も起こっています。
ある意味、教育環境も良くありません。葛尾村には高校がありません。通学可能な高校は同村からバス路線がある船引高校(29)だけだと思います。ここは偏差値38の福島を代表する底辺校であり(30)、大学進学率は3.6%(対象112人中4人(31))です。これでは、子供を連れて葛尾村に戻る気はしないと思います。
既に述べたように事故前の葛尾村は農業(特に畜産)が盛んでした。同村では昨年10月にブロイラーの飼育が再開しました(32)。でも福島の皆様は福島産鶏肉は嫌いなようです。
他県産はあっても福島産鶏肉が無い福島県福島市のスーパーのチラシ
※(33)を引用
図―8 福島産鶏肉が無い福島県福島市のスーパーのチラシ
基幹産業の農業は販路を失いました。
福島県葛尾村の避難指示解除から3年を迎えました。同村の状況をみると
・汚染は継続しており、今後は放射線量が下がる見込みがない。
・住民、特に子供は戻らない。
・基幹産業の農業は販路を失った
との特徴があり、未来は暗そうです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
福島の復興は避難区域外でも上手く行っていないようです。
福島でサクランボ狩りが始まりました(34)。福島のサクランボは美味しいとのことです(35)。安倍出戻り内閣は福島産は世界一厳しい基準で「安全」だと主張しています(36)。でも、福島県南相馬市の旅行会社が募集するサクランボ狩りツアーの行先は福島ではありません。
福島県外が行先の福島県南相馬市のサクランボ狩りツアー
※(37)を引用
図―9 福島県外のサクランボ狩りツアーを募集する福島県南相馬市の旅行会社
(=^・^=)も福島県南相馬市の皆様を見習い「フクシマ」には行きません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2926.html
(1)葛尾村 - Wikipedia
(2)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成29年9月9日〜11月16日測定) 平成30年02月20日 (KMZ, CSV)」
(3)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(2017年)
(4)避難区域の変遷について−解説− - 福島県ホームページ
(5)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(6)警戒区域内の家畜の安楽死処分の対応に関するQ&A:農林水産省
(7)計画的避難区域及び緊急時避難準備区域における家畜の取扱い等について:農林水産省
(8)わが葛尾村の農業 -022/036page
(9)福島県の推計人口(令和元年5月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(10)有意水準とは - 統計学用語 Weblio辞書
(11)めげ猫「タマ」の日記 避難指示解除の福島県葛尾村、村立幼稚園への入園率は12.5%
(12)出生性比
(13)ローカルTime FNN被災地発...
(14)原爆被爆者の子供における放射線の遺伝的影響 ? 公益財団法人 放射線影響研究所 RERF
(15)東日本大震災に係る応急仮設住宅の供与期間の延長について(平成30年8月27日公表) - 福島県ホームページ
(16)葛尾村からの避難者の状況(6月1日現在) - 葛尾村ホームページ
(17)避難情報 - 葛尾村ホームページ
(18)葛尾村みらい子ども助成金 - 葛尾村ホームページ
(19)お知らせ(平成30年度) - 葛尾村ホームページ
(20)お知らせ - 葛尾村ホームページ
(21)園児数 - 葛尾村ホームページ
(22)学校概要 - 葛尾村ホームページ
(23)学校概要 - 葛尾村ホームページ
(24)「かつらお再生戦略プラン」の修正について - 葛尾村ホームページ
(25)(24)中のかつらお再生戦略プラン(一部修正後) [PDFファイル/13.97MB]
(26)福島県葛尾村の除染進捗情報|除染の状況(除染特別地域)|除染情報サイト:環境省
(27)半減期 - Wikipedia
(28)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、放射線副読本(平成30年10月改訂)―その17「除染で放射線量が下がった。除染の効果は殆どなかった」
(29)<路線バスの運行について - 葛尾村ホームページ/a>
(30)船引高校(福島県)の情報(偏差値・口コミなど) | みんなの高校情報
(31)葛尾に直営鶏舎新設 伊達物産、年間22万羽の生産見込み:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(33)チラシ情報 | スーパーマーケットいちい
(34)サクランボ食べて、果物シーズン開幕 福島・観光農園開園式:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(35)さくらんぼ狩り2019 – 一般社団法人福島市観光コンベンション協会公式ページ
(36)風評に立ち向かう|福島|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁
(37)高速バス旅行 | 東北アクセス株式会社