福島産高級ブランド米、売れるの?
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2019/06/11(火) 19:41:49 めげ猫「タマ」の日記
福島県は再来年から、高級ブランド米を売り出すそうです(1)(2)。高級ブランド米は店頭に並ばないと売れません(3)。一方で、福島産米は業務用が中心で(4)、スーパーの店頭に並ぶことは稀です。およそ、売れるとは思えません。
福島は事故によって汚染されました。
事故から8年3ヶ月以上を経て特異的に汚染されている福島
※1(5)のデータを(6)に示す方法で6月1日に換算
※2 避難区域は(7)による
図―1 特異的に汚染されている福島
図に示す様に福島では国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルトを超えた地域(8)が広がっていますが、他は殆どありません。福島は特異的に汚染されています。避難地域が設定されたのは福島県だけです(7)。
事故後、福島産米から毎年の様に放射能が見つかるようになりました。以下に福島産米の詳細検査結果を示します。
※1(9)(10)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
※3 日付けは検査日
図―2 福島産米の詳細検査結果
放射能が入っているかも知れない福島産米を避けたいと考えるのは消費者の当然の心理です。福島産米のブランド力は低迷を続けています。ある調査によれば、お米の選びたい産地としてお隣の新潟県34%、山形県9%、宮城県9%に対し、福島県は4%です(11)。福島産米を消費者は好みません。
一方で、高級ブランド米が次々に市場投入されています(12)。福島隣県では新潟の「新之助」(13)(14)、山形の「つや姫」(15)(16)、宮城の「だて正夢」(17)(18)などがあります。そして、福島県も再来年(2021年)から、高級ブランド米を出すと発表しました(1)(2)(19)。
福島県の2021年・高級米市場に参入を報じる福島県の地方紙・福島民友
※(20)を6月11日に閲覧
図―3 福島県の2021年・高級米市場に参入を報じる福島県の地方紙・福島民友
産地間競争が激しい高価格帯米の市場に参入し、ブランド戦略を通じて原発事故の影響で低迷している県産米のイメージと価格の回復につなげる事を意図しているそうです(2)。福島県県農産物流通課は「『プレミアム米』と呼ばれる2キロ1000円を超える価格帯を狙いたい」と意気込んでいるそうです(19)。でも、上手くは行かないと思います。
たとえば「新之助」ですが、福島県内で5キログラムで2080円で掲載されたチラシを見たことがあります(21)
※(21)を引用
図―4 5キログラムで2080円で掲載されたチラシに掲載された「新之助」
2キログラムに直すと832円です。新潟の読者にきいたら、この程度で売られているようです。
福島県が出す高級米は「粒が大きくて甘みと香りが強く」だそうです(1)。これは先行している「新之助」の特徴と一致します(13)。福島産高級米はすくなくとも先行する「新之助」と競争することになります。勝てる見込みがあるでしょうか?
福島産米は事故後は消費者が避けるようになり、店頭には稀にしか並ばなくなりました。行き場を失った福島産米の多くが「業務用」として使われています(4)。高級ブランド米といえども「フクシマ産」では、店頭に並ぶはずがありません。一方で、高級ブランド米は店頭に並ばないと売れません(3)。
福島県いわき市産を事故後に「Iwaki Laiki」との名称でブランド化して売り出しました(22)。福島県いわき市と南隣の茨城県に店舗を展開するスーパーチェーンがあります(23)。以下に福島県側の当チェーンのチラシを示します。
10kg2880で売られいる福島県いわき市産コシヒカリ
※(24)を引用
図―5 10キロ2880円で売られている「Iwaki Laiki」
図に示す様に「Iwaki Laiki」(コシヒカリ)は、10キログラムで2,880円、5キログラムなら1,440円です。以下に同スーパーチェーンの茨城県側の店舗のチラシを示します。
5kg1880円で売られている茨城県産コシヒカリ
※(25)を引用
図―6 5キロ1880円で売られている茨城産コシヒカリ
図に示す様に福島産より3割以上高い5キログラム当たり1880円で売られています。茨城産米を選びたいと言う方が、福島産米の4%より低い3%です(11)。特段のブランドイメージがあり分けではありません。それでも「Iwaki Laiki」より高く売られています。「Iwaki Laiki」のブランド化は失敗しました。
福島県は産地間競争が激しい高価格帯米の市場に参入し、ブランド戦略を通じて原発事故の影響で低迷している県産米のイメージと価格の回復につなげる事を意図し、2021年より福島産高級ブランド米のと投入を決めました(1)(2)(19)。でも、福島産米には
・消費者に避けられている。
・先行する高級ブランド米と競合する。
・高級ブランド米の販売には「店頭」に並ぶことが必要であるが、福島産米は店頭に並ぶことは稀である。
・福島では、事故後に試みた米のブランド化に失敗した例がある。
との特徴があり、福島県の目論みどおりにはいかないと思います。仕方がない事です。福島は特異的に汚染されています。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
福島の皆さんが、避けているのは福島産米だけではありません。
福島県を代表する野菜にトマトがあります(26)。福島県いわき市は、福島県最大の冬春トマトの産地です(27)。同市では今週末にトマトフェスが開かれるそうです。同市はトマトの季節です。同市産トマトはおいしいそうです(28)。福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(29)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。
他県産はあっても福島産トマトが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
※(30)を引用
図―7 福島産トマトが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県いわき市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2923.html
(1)高級・酒造好適の新米 福島県開発、本格栽培へ | 福島民報
(2)福島県産『高級米品種』決定 高い食味評価「粘り強く軟らか」:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(3)ブランド米の競争激化! “食味ランキング”の影響力はいかほど? - INSIGHT NOW!
(4)堂々と「福島」出したいけれど 県産米、支えは業務用:朝日新聞デジタル
(5)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成29年9月9日〜11月16日測定) 平成30年02月20日 (KMZ, CSV)」
(6)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(2017年)
(7)避難区域の変遷について−解説− - 福島県ホームページ
(8)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(9)報道発表資料 |厚生労働省
(10)全量全袋検査の検査結果 - 福島県ホームページ
(11)お米に関するイメージ調査 | ブランドなんでもランキング | ブランド戦略通信│トライベック・ブランド戦略研究所
(12)高級ブランド米が続々登場、消費者の“コメ離れ”を食い止められるか
(13)新潟米「新之助 しんのすけ」
(14)新之助 (米) - Wikipedia
(15)「つや姫」「雪若丸」 | 山形「つや姫」「雪若丸」ブランド化戦略推進本部
(16)つや姫 - Wikipedia
(17)みやぎ米「だて正夢」公式ホームページ
(18)だて正夢 - Wikipedia
(19)高級ブランド米が続々登場、消費者の“コメ離れ”を食い止められるか
(20)福島民友新聞社 みんゆうNet −福島県のニュース・スポーツ−
(21)めげ猫「タマ」の日記 福島事故から8年、福島を知れば食べれない、行かれない
(22)いわき産コシヒカリのブランド米「Iwaki Laiki-いわきライキ」
(23)マルト (チェーンストア) - Wikipedia
(24)マルト/SC岡小名店のチラシと店舗情報|シュフー Shufoo! チラシ検索
(25)マルト/元吉田店のチラシと店舗情報|シュフー Shufoo! チラシ検索
(26)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(27)福島県[いわき市]の農作物 | 秋冬ねぎ ネギ | 生産/収穫/作付面積 | 福島県と日本の中の順位 | 市町村 | ジャパンクロップス
(28)ワンダーファーム - 福島県いわき市|公式サイト
(29)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(30)イオン いわき店のチラシ・特売情報 | トクバイ