孔子学院の閉鎖を決めた米国の大学(18〜19年)
米国がおびえる孔子学院、次々と閉鎖「中国の支配下に」/朝日デジ
2019年6月8日05時00分
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中国人講師の陳蒙(チェンモン)さん(35)がスライドで中国語の文章を示し、「発音しましょう」と呼びかけると、10人余りの学生が「私は旅券を持って大使館に行きました」と中国語で読み上げた。5月6日、米カリフォルニア大サンタバーバラ校(UCSB)。中国語初級の授業のひとこまだ。
陳さんの授業は孔子学院のプログラムの一環だ。UCSBは2014年、漢弁(ハンパン)が運営する孔子学院本部(北京)と合意し、同校に孔子学院を開設。本部から中国語教科書3千冊と資金15万ドルの提供を受けた。陳さんは山東大(中国山東省)から派遣され、給与は本部が負担する。
UCSBで孔子学院を担当するメイフェア・ヤン教授は「私たちの大学は公立で、財政は限られており、陳さんにとても助けられている」と語る。ヤン教授が所属する東アジア学部の中国語講師は3人。陳さんが年間5〜6クラスを受け持つことで、より多くの学生に中国語の授業を提供できるようになったのだ。
孔子学院のプログラムは中国語の授業だけでなく、中国の歴史や文化をテーマに講演を開いたり、漢弁側が一部費用を負担して山東大への夏季留学プログラムを提供したりしている。孔子学院はUCSBの中国研究の拠点になっている。
米国の孔子学院の数は世界最多だ。05年3月のメリーランド大を皮切りに始まり、一時は約120校に達した。だが、米国では近年、孔子学院の閉鎖が相次ぐ。全米学者協会(NAS)によると、閉鎖を決めたのは14〜16年は3校だったが、17年は3校、18年は8校と急増。19年は6月現在で10校に上る。背景には「中国は米国の知的財産を盗んでいる」という批判が高まり、孔子学院を「国家安全保障の脅威」とみる事情がある。
補助金と引き換え、閉鎖迫る
米上院常設調査小委員会は2月に出した報告書で、中国政府は06年以来、100以上の米国の学校に1億5800万ドル(約173億円)を提供し、孔子学院に派遣される中国人講師は「中国の国益を害する行為に関与すれば契約を打ち切る」とする誓約書に署名していると指摘。「中国政府は米国の孔子学院のほぼ全ての分野を支配下においている」と結論づけた。
昨年8月に成立した国防権限法では、米国防総省が資金を出す中国語講座について孔子学院関連を対象外にした。「補助金継続を望むなら孔子学院を閉鎖せよ」と迫るものだ。この結果、ミネソタ大など少なくとも5校が孔子学院を閉鎖した。
NASディレクターのレイチェル・ピーターソン氏は「政府はプロパガンダや一方的な価値観を押しつける授業に公的資金を出すべきではない」と歓迎し、孔子学院の相次ぐ閉鎖を「大学側はリスクに気づき、孔子学院の維持は良い考えではないと認識し始めた」と語る。
こうした動きに対し、UCSBで孔子学院を担当するメイフェア・ヤン教授は「中国政府から『こう言え、ああ言え』と指示されたことは一度もない。トランプ政権には孔子学院が中国のイデオロギーを広めているという恐怖心があるが、それは誇張されたものだ」と反論した。(サンタバーバラ=園田耕司)
スパイ活動を警戒
「中国のスパイ活動ほど深刻な脅威はない。彼らは情報機関や国営企業、民間企業を始め、大学院生や研究者ら様々な人々を使って情報を盗んでいる」
4月下旬、米ワシントン。連邦…
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