安倍首相“幇間”外交大失敗 トランプ手の平返しで円安叩き
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2019/05/30 日刊ゲンダイ 浮かれムードは終了(C)JMPA ゴルフ、大相撲、炉端焼き――。トランプ大統領の滞在中、安倍首相が展開した“幇間”外交は、やっぱり「大失敗」だった。トランプ大統領が帰国した28日、米財務省は「外国為替報告書」を発表。故意に自国通貨安を誘導していないかを注視する「監視対象国」に日本や中国など9カ国を指定したのだ。ポンコツ機F35の押し売りの次は、円安を徹底的に叩くつもりだ。 トランプ大統領は28日、ホワイトハウスに戻ると〈THANK YOU JAPAN!〉とツイートしたが、ちょうどその頃、「為替報告書」が発表された。 「毎年、4月と10月の中旬に発表されるのですが、今回は1カ月以上遅れました。米財務省は対中貿易交渉の影響を理由にしていますが、令和初の日米会談のお祝いムードに配慮して会談後に発表したようです。トランプ大統領訪日を終えて、直後に発表したのは、“浮かれムード”に引きずられず、『円安を問題にしますよ』という米国のメッセージとみられています」(外務省担当記者) 「報告書」は、日本を「為替操作国」にこそ認定しなかったものの、円相場について〈過去5年、実質実効ベースで歴史的な円安水準〉と指摘。日米貿易交渉で、円安誘導策を禁じる「為替条項」を求めるのは必至だ。 ■来年秋までに1ドル=100円割れも 金融ジャーナリストの小林佳樹氏がこう言う。 「〈歴史的な円安水準〉という表現は、現在の水準が安すぎるという意味です。現状維持では、トランプ大統領の目に見える成果にはならない。大統領選の来年秋までに、1ドル=100円割れも十分にあり得ます」 円高が進行すれば円安頼みの輸出企業は大打撃だ。3月の日銀短観によると、今年度の想定為替レートは、大企業製造業で108.87円。現在の円相場は、109円前半から半ばで推移しているから、すでに余裕はない。1円の円高でトヨタは年間400億円、日産やホンダは100億円、キヤノンは50億円の利益が吹っ飛ぶとされる。100円割れの事態になれば、日本経済はガタガタになるだろう。通常は日銀が利下げや金融緩和により、過度な円高にブレーキをかけるのだが、米国がにらみを利かせているから簡単ではない。 「『報告書』の〈過去5年〉という記述は明らかに異次元金融緩和のことです。日銀が追加緩和をしようとしても、米国は『為替操作国』の認定をちらつかせて牽制するでしょう。ただでさえ、米国の利下げ観測や中国の米国債放出懸念など円高要因が多い中、世界経済の不安定が続けば安全資産の円が買われるのは確実。しかし、米国に手足を縛られた日銀は、円高を傍観するしかないのです」(小林佳樹氏) 個人的に親密な関係を築いたとしても、国益となると話は別。まして選挙を抱えたトランプ大統領はなおさらだ。米国が今後、次々と日本に無理難題の要求を突き付けてくるのは間違いない。
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