政府の景気判断:再び下方修正 ! =輸出や生産の弱さ指摘
−「緩やかに回復」は維持・月例報告
自民党政権・自公政権の政治の深層・真相は ?
(www.jiji.com:2019年05月24日19時23分より抜粋・転載)
時事ドットコム: 政府は、5月24日、5月の月例経済報告を発表した。
景気全体の判断について「輸出や生産の弱さが続いている」として、3月に次いで下方修正した。
ただ、個人消費の持ち直し継続や企業収益の水準の高さなどを背景に、景気が「緩やかに回復している」との判断は、維持した。
◆日本経済を取り巻く環境は、 厳しさを増している !
政府は、2012年12月に始まった、景気拡大が続いているとの見方を崩していないが、中国経済減速の影響が長引く中、日本経済を取り巻く環境は、厳しさを増している。
4月の月例報告の判断は、「輸出や生産の一部に弱さも見られる」だった。
米中貿易摩擦の激化のあおりを受け、中国に、スマートフォンの部品や工作機械を輸出してきた、国内メーカーへの影響が、深刻化してきた。
旺盛だった設備投資についても、先送りする会社が出始め、5月の報告では、2年8カ月ぶりに判断を下方修正した。
◆消費税の増税:10月に実施できるか どうか、さらに不透明になる !
経済の先行きに関しては、収束の兆しが見えない、米中摩擦を念頭に、「通商問題の動向が、世界経済に与える影響に、一層注意する」と、警戒感を強めた。
景気認識をめぐっては、内閣府も、今月13日、3月の景気動向指数速報で、基調判断を約6年ぶりに「悪化」へ引き下げた。景気が一段と悪化すれば、家計や企業の負担が増す、消費税率引き上げが、予定通り10月に実施できるかどうか、さらに不透明になる。
◆茂木大臣:生産活動の弱さが表れた !
茂木敏充経済財政担当相は、24日の記者会見で、「政府として、現時点で景気回復が途切れたとは考えていない」と強調した。「悪化」となった、景気動向指数の基調判断に関しては、「製造業を中心とする生産活動の弱さが表れた」と改めて指摘した。月例報告では、「さまざまな経済指標の動向や、企業の景況感などを、総合して判断している」と説明した。
(参考資料)
消費税導入・増税の平成の30 年間は、日本経済が停滞を続けた !
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2019/04/30より抜粋・転載)
────────────────────────────────────
◆民主主義社会で、元号の改定を、ことさらに
大きく報じることは、適正でない !
元号が変わるが時間空間が天皇制によって支配されることは戦後の日本民主化の精神にふさわしくはない。元号の改定を、ことさらに大きく報じることも適正でないと感じられる。
辛うじて、歴史の時代区分上の便法として元号を用いることが好都合な場合があるというに過ぎない。
西暦との換算に伴う各種事務コストも無視できない。
◆消費税導入・増税・平成の30 年間は、日本経済が停滞を続けた !
平成の30年間は日本が停滞を続けた期間に重なる。この30年は消費税導入の期間とも完全に重なる。消費税を導入した直後から日本経済の超停滞が始動したと言って過言でない。
消費税が導入されたのは、1989年4月であった。1989年は、「改元・消費税・参院選・内閣総辞職」の年だった。奇しくも、2019年と重なる部分が多い。
◆1989 年と類似するが、2019 年も
「改元・消費税・参院選」が、重なる予定だ !
2019年も「改元・消費税・参院選」が、重なる予定にある。
「内閣総辞職」まで重なれば、時代の転換に、うまく符合することにもなる。
日本のバブル崩壊が始動したのは、1990年の年明けだ。
1989年5月と10月に、バブル崩壊の予兆があった。
日銀が、公定歩合引き上げに動いたのである。
◆1989 年末は、日経平均株価の史上最高値・38915 円になった !
しかし、株価は、1989年の年末まで上昇を続け、1989年末が、日経平均株価の史上最高値になった。日経平均株価の水準は、38915円だった。
このバブルピークから、30年の時間が経過するが、現在の日経平均株価の水準は、22000円である。
30年の時間が経過して、日経平均株価は、半分強の水準なのだ。
「失われた10年」は「失われた20年」になり、「失われた30年」になった。
◆消費税が導入・増税された、平成の30年間
は、日本経済超停滞の時代だった !
消費税が導入された、1989年からの平成の30年間は、日本経済超停滞の時代だった。
「失われた10年」の表現は、拙著『日本の総決算』(講談社)で、「失われた90年代」と帯に記したのが、初出である。
バブル崩壊もバブル崩壊不況も、日本の「経済政策失敗」が、大きな原因だった。
政策失敗は、国際政策協議という名の「経済外交」の分野で、日本外交が、対応能力を保持していなかったことによって発生した。巨大バブルは、日本の内的要因によって発生したものではない。
◆円安進行とともに、日本金利が上昇し、 日本のバブル崩壊が発生した !
円安進行とともに、日本金利が上昇し、日本のバブル崩壊が、もたらされた。
対米隷属・自民党政権下、米国の経済政策によって、天国に強制連行された日本経済は、同じ米国の戦術によって、地獄に叩き落されたのだ。
経済外交能力を持たない、政府の下に置かれる国民は、政府の能力の欠如によって、深刻な不幸を背負わされることになる。
平成入り後の日本の経済政策は、失策の上に失策を重ねるものだった。
バブル生成期の日銀の対応が遅れた。1987年に利上げを敢行するべきだった。
◆米国の経済政策変化に日本は翻弄され、未曽有の混乱に巻き込まれた !
米国の経済政策変化に日本は翻弄され、日本経済は未曽有の混乱に巻き込まれた。
為政者が十分な洞察力、判断力、そして行動力を持たないと国民経済を守ることができないのだ。
私は、『中央公論』1991年11月号に、「バブル崩壊後日本経済のゆくえ」と、題する論文を発表した。
バブルの生成と崩壊のメカニズムを、解き明かしたものだった。
1981年に発足した、米国のレーガン政権が、新しい経済政策を実行した。
これが「レーガノミクス」だ。レーガノミクスにより、米国金利上昇=ドル上昇が生じる一方、米国の財政赤字と経常収支赤字が急膨張した。米国で、保護主義圧力が高まり、レーガン政権は、人為的なドル切り下げ政策を発動した。
1985年9月のプラザ合意だ。
◆自民党政権下、バブル崩壊に対する、日本の政策対応は、拙劣を極めた !
対米隷属・大資本従属・自民党政権下、バブル崩壊に対する、日本の政策対応は、拙劣を極めた。
日銀は、バブル崩壊が始動すると、ブレーキ全開の方向に政策を転換した。
本来は、バブル生成の過程でブレーキを踏み、バブル崩壊が始動したらブレーキを緩めるのが正しい。
ところが、日銀は、その真逆の対応を示し、バブル生成とバブル崩壊を、いずれも過大に膨張させた。
財務省は、1990年代初頭に、事態の深刻さを踏まえて、予防的な早期政策転換を、実行するべきだった。
◆財務省は、バブル崩壊が深刻化する中で、
緊縮財政政策転換を拒否、不況を深刻化させた !
ところが、財務省は、バブル崩壊が深刻化する中で、緊縮財政政策を転換することを拒み、バブル崩壊不況を深刻化させた。
財務省は、同時に、バブル崩壊が始動したのちに、不動産関連融資の総量規制に、踏み切った。
財務省は、バブル崩壊が始動してから、ブレーキを最大に踏み込むという、日銀と同様の大失策を演じたのである。財務省は、同時に不良債権問題への対応が、致命的に遅れた。
◆財務省の悪い・三原則は「場当たり、隠ぺい、先送り」だ !
財務省の悪い・三原則は「場当たり、隠ぺい、先送り」である。
不良債権問題の処理には、20年の時間を要することとなり、日本経済の長期低迷がもたらされた。
さらに財務省は、消費税増税によって、二度の深刻な不況をもたらした。
財務省は、このことに対する反省が、まったく持たれぬまま、2019年に、三たび消費税増税に突き進もうとしている。財務省の体質・考え方が改められない限り、元号が変わっても、日本経済の本格改善は、期待し難いと言わざるを得ない。