高齢者がハマった問題のブログ「余命三年時事日記」の中身 高齢者はなぜネトウヨにはまるのか
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2019/05/10 日刊ゲンダイ 排他主義(C)共同通信社 分別のある高齢者たちが次々とハマった「余命三年時事日記」には、いったいどんなことが書いてあるのだろうか。青林堂から出版された書籍版の表紙にはこうある。 <余命三年を宣告されたブロガーが、韓国や在日、サヨクが知られたくない情報を暴露。今もっとも注目される注目のブログを書籍化!> 同書の記述などによると、2011年に「余命」の前身ブログが「日本人覚醒プロジェクト」として始まった。初代余命は13年12月に死去したことになっているが、ブログ自体はその後もプロジェクトメンバーによって継続されていたという。 <記事には在日がいやがる朝鮮情報が満載である。(略)彼らの蛮行残虐史がすべて網羅されている(略)行動する保守として、余命は(略)在日特権の廃止という具体的な段取りに入っている><余命プロジェクトチームの目標である「日本再生」のためには、国内に巣食う反日売国奴の排除がどうしても必要なのである>(書籍版から) ■「外患誘致罪」という言葉に高揚感 読むだけで頭がクラクラしてくる。そんな中、とりわけ目を引くのが「外患誘致罪」という聞き慣れない言葉だ。 刑法上の罪名だが過去に適用されたことは一度もない。なぜなら、外国と通謀して日本に対して武力行使をさせるという、およそ荒唐無稽な犯罪だからだ。しかも、有罪になると死刑しかないというシロモノだ。 ところが、余命ブログにはこの言葉がやたら頻繁に出てくるのだ。 <日本と韓国は紛争状態にあるので、外患罪(外患誘致罪)の適用条件は満たされている><特定秘密保護法と外患誘致罪><売国奴に外患罪><赤松広隆を含む民主党(当時)幹部たちを外患誘致罪で逮捕し、極刑に処すべきではないか> 在日外国人の地方参政権を掲げていた旧民主党と、その後継の政党は“余命氏”の最大の敵である。「外患罪容疑者リスト」にはその流れをくむ議員の名前がずらりと並んでいる。 現職の議員がそんなことをするはずがないし、今回の弁護士大量懲戒請求の“きっかけ”とされる朝鮮人学校の無償化に関する声明がそんな罪になるはずもない。 しかし余命氏はこのままでは朝鮮人が日本を滅ぼすとあおる。高齢者を中心とするブログ読者は外患誘致罪という言葉に高揚感を覚えて「朝鮮人との闘い」という妄想に取り込まれ、余命氏が指名する弁護士らに懲戒請求してしまった。これは、まぎれもないヘイトクライムなのである。 そして、もうひとつ気になるのが事件の“カルト性”だ。 余命氏の扇動によって多くの人が盲目的に行動を起こした。弁護士からの和解の呼びかけも、余命氏の「応じるな」という指示で和解の動きが鈍っている。 なぜ、正体不明の余命氏の指示がそんなに効くのか。ブログをめぐる「闇」は深そうだ。 三宅雪子 ルポライター 1965年3月5日、米国ワシントン生まれ。玉川学園女子短期大学、共立女子大学を卒業後、民放テレビ局に21年間勤務。元衆議院議員。 父は三宅和助元シンガポール大使、祖父は石田博英元官房長官。著書に「福祉と私 〜『支えあう社会』を国政の場から〜」
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