本当かな? リーマン危機から10年、膨らみ続ける世界の借金の先に見える崩壊の危機
リーマン危機から10年、膨らみ続ける世界の借金の先に見える崩壊の危機=吉田繁治
https://www.mag2.com/p/money/668681
デリバティブ証券の下落をきっかけに起きたリーマン危機から10年、米国を中心に再び世界の借金が膨らみ続けています。この借金はどこまで許容されるのか。
自社株買いで上げた米国株、上昇できるのは秋までが限界?
主要国の中央銀行による、2,000兆円の増発の経緯と結果
リーマン危機は、米銀の連鎖危機をひきおこし、79年目の「大恐慌」になるスケールのものでした。
<2000年からの米国不動産バブル>
不動産のバブル化(全米平均価格は7年で2倍)を支援する金融政策(利下げ)を実行してきた元FRB議長グリーンスパンも、「100年に一度の危機。資産バブルは崩壊してはじめてわかった(言外:現役中はわからなかった)」といっていたくらいです。
広大な土地がいくらもある米国の住宅は、宅地が狭い日本と違い、90年代まではGDPを上回る価格の上昇はなかったからです。
不動産価格の年率平均7%(大都市の商業地やリゾート地では10%以上)の上昇の陰で、どんどん大きくなっていた証券化商品がAAA格でも40%下がり、BBB格以下は価格がつかなくなって、銀行資産の縮小がチェーンのように連なり、全部の大手銀行の同時破産までが想定されていました。
<2009年1月からの株価の回復>
金融資産の喪失において、もっとも重みがあった株価の底値は、リーマン危機の日から6か月あとでした。
無限信用をもつとされていることから、銀行のシステミックな連鎖の危機を救うミッションを与えられているFRBは、
・95年の歴史ではじめての3度の緊急QE(ドルの増刷)を行い、
・400兆円規模のマネーを投入し、銀行システムを救済しています。
予定されていなかった3度のQE(いわば3度の手術)になったのは、100兆円以上を投入した1回では、銀行のデフォルトの危機をおさめることができなかったからです。
FRBが行った、米国の大手銀行の救済
この金融危機は、不動産ローンの「回収権を証券化」しているMBS(不動産ローン担保証券)、CDO(資産担保証券)、ABS(資産証券)などの、銀行の間の双務契約であるデリバティブ証券の下落から起こったものです。AAA格の証券でも、下落率は40%と大きかった。
それらを、米国の大手銀行が保有していました。ほかに、金額が大きなものとして、債務の回収を補償する保険の機能をもつCDSがありました。
対比すれば、7,500兆円という銀行間デリバティブをもつ、ドイツ銀行の5倍以上のリスクのスケールだったでしょう。
リーマン危機のあとの、米国の負債の大きな増加
他方で、リーマン危機のあとの米国の総負債は、その前の08年の33.8兆ドル(3,780兆円)から、18年には50.1兆ドル(5,510兆円)に増えています。これは、リーマン危機のあとの、銀行が10年間続けて行ってきた、貸付金の増加である信用創造(貸付行動)を示すものです。
米国、日本、欧州の銀行が、米国の政府・企業・世帯に対して貸付金をふやし、社債・国債の購入の合計で、10年間で1,730兆円(1年平均173兆円)の信用創造、つまり貸付金をふやしたのです(米国の部門別負債:BIS)。
FRBのマネー投入(418兆円)に対しては、4.1倍の信用乗数です。FRBが1兆ドルを投入するにつき、銀行の貸付金が4.1兆ドル増えたという意味です。
2018年でのGDP比の政府・企業・世帯の総負債は、危機のあとの10年で2.5倍(246%)に増えています。平均年率では9.4ポイント(%)増加です。借り入れの増加を助けたのは、株価と不動産価格の上昇です。
不動産価格の動きは株価に遅れ、上昇も下落も株価よりはおだやかです。全米20都市の住宅価格指数は06年がピークの206でした(ケース・シラー住宅価格指数)。これがリーマン危機後の09年1月には、141へと約30%下がっています。
株価に3年遅れて2012年から上がり始め、そのあと株価を追って直線的に上げ続けて、2019年の1月には、06年の金融危機前のピーク価格を越える最高の214(基準の00年の2.1倍)に上げています。
住宅価格の上昇は、住宅と商業用の不動産のローンと貸付金の増加と健全化も示しています。不動産の価格という要素だけなら、2018年で完全に回復しました。1992年からの資産バブル崩壊から、日本の不動産が価格で回復していないのは、日米の人口構造の違いがあるあるからです。わが国では不動産需要が減り、米国では、海外からの買いもあり、価格下落のあとも増え続けたからです。
2009年からは、株価と不動産の価格をバブル的に上げてきた時代
・米国の証券化商品の下落が、直接に影響した欧州のECB、
・中国の輸出経済をひっぱる対米・対欧の輸出が、急減した中国の人民銀行、
・そして、適用を間違えたクルーグマンの「流動性の罠」論を採用して、インフレ目標をとったアベノミクスの日銀も、FRBに時間をおきながら合計で18兆ドル(2,000兆円)の通貨をふやしてきました。
世界のGDPの85%を占める主要国の中央銀行の銀行に対する増発マネーが元になって、銀行の貸付金をその約4倍は増やして、リーマン危機のあと半年後からは株価を、2012年からは不動産を上げてきたのです。
【日本】
2015年には、2011年に対して50%の円安になり、円安になるとドル高の為替利益が増える輸出と海外生産が多い東証1部の株価指数(日経平均とTOPIX)は米国並みに3倍に上がっても(2015年)、不動産の価格があがらなかった例外は、年0.4%(50万人)の人口減の日本だけです。
人口減は、必要な住宅の総面積を減らし、人口増が続く東京圏以外では、空き家を大きく増やしているからです。
<負債バブルが、金融的商品の高騰を生んでいる>
2010年ころからの9年間、われわれは世界の総マネー量がバブル的に増えてきた時期のただなかにいます。経済に対して過剰なマネー量が、株価を高い水準に上げています。
21世紀は、通貨、生産コスト、賃金の低い国でのグローバル生産の進展により、
(1)主要国での消費者物価の上昇率が低いため、
(2)主要国の、高くとも3%という低い名目GDPの成長を超える通貨量の過剰(マネー量×流通速度)が、原理的にもたらすインフレが、
(3)消費財から金融的な資産(不動産・株式・国債・債券など)に移ったことが見えにくいだけです。
フィッシャーの交換方程式(M<(マネーサプライの増加)×V(預金の回転率)=P(物価)×T(実質GDP)>は、金融的な資産の領域で働いています。
名目GDPは、消費される商品だけの「生産=需要=所得」です。消費者物価の上昇は、消費財だけを対象にしています。不動産・株式・国債・債券などの多種の金融的資産は、GDPの物価上昇、需要額、所得額には含まれていません。
ところが、2010年代からはとりわけ、これらの金融的な資産にマネーが向かっています。2019年もそのただなかにあります。
「中央銀行+銀行」が借り手に対し増やしたマネーが向かうのは、時代を超え、価格が上がると人々から期待される対象物であることに違いがない。人類の5000年の歴史の普遍原理でしょう。
〔通貨発行の増加→貸し付けの増加→負債の増加→資産価格高騰〕マクロ経済で合成していえば、「中央銀行+銀行」の通貨発行の増加は、借り手の「負債=預金」を増やします。その増えた負債マネーは、「多種の金融的資産」に向かって価格を上げます。価格が上がった金融的資産は、「借り入れの担保になって→借り手の負債能力を増やし→借り入れを増えていき→投資されて→金融的資産の価格を一層上げる」という螺旋階段状の上昇にはいってバブルを作ります。
以上のマネー現象が、金額の大きな順にいえば、
(1)ゼロ金利から2%台の低い金利の、国債価格の上昇(金利は下落)
(2)シラー10年PERが、30倍というバブル株価、
(3)人口減の日本を除く、世界の不動産の高騰です。
これらの価格の上昇は、投資家(金融機関、企業、世帯)の負債の増加によって生じたものです。マネー量増加の根源には、順にいうとFRB、ECB、人民銀行、日銀による合計2,200兆円の通貨量(マネタリーベース)の増加があります。その増加が、銀行の貸しを増やし、投資家の借り入れが増えて、金融的資産への買いを大きくしているのです。
【金融資産=金融負債の原理】
問題は「金融資産=他の人の金融負債」であるため、ゼロから3%以内の低い金利のなかで金融負債が増え続けて、2018年末では250兆ドル(2京7,500兆円:国際金融協会)になっていることです。
負債はいずれの日か臨界点に達し、資産バブルが崩壊して金融危機になる
2000年から18年までの世界の総負債は、250兆ドルに増えています。
世界の総負債は、2000年には80兆ドル付近でした。当時はまだ、穏やかでした。この総負債は、2018年の250兆ドルまで3.1倍に増え、年率の6.5%と世界のGDPの平均増加率より高い増えかたをしてきました。2018年の残高は、世界の8,000兆円のGDPの約3倍に達しています。
【その原因と結果】
世界の負債の増加額は、名目GDPの増加率より数ポイントは高いことが18年、途中でのリーマン危機という金融危機を挟みながら続いて、この負債の増加こそが世界の「金融的な資産のバブル価格」を生んできたのです。
返済と利払いが必要な負債が、1年プラス6.5%で負債が増え続ければ、必ず達する臨界点にきた前後には、金融的資産のバブルは崩壊する宿命にあることです。
(1)1990年は、日本5年で5倍になった資産バブル崩壊でした。
(2)10年後の2000年は、米国の11年間で13倍になったドットコムの株価バブル崩壊、
(3)8年後の2008年は、米国の10年で2倍に上がった住宅の下落からの、サブプライムローンの下落がデリバティブの証券化商品の全面的な崩壊に波及したことからの金融危機(リーマン危機)でした。
そのリーマン危機から10年目の2018年は、世界で250兆ドル(2京7,500兆円)というイマジネーションを超える金額の負債が世界の金融的な資産の高騰を生んでいます。
このバブルが崩壊すると、貸し手の中央銀行と銀行の不良債権になり、今度は全世界的な金融危機にも至るでしょう。
〔「時期」だけの問題〕
その年度、時期がいつかというだけです。負債の増加と金融的商品の価格上昇が続くと、価格が上がり過ぎたという原因から、金融危機に至ることは確定しています。〔早ければ2020年、遅くとも2022年〕
米国のこれからの懸念は、対外負債と株価のバブル
<増え続けている対外負債の問題>
米国についていえば、まず、2017年に36兆ドル(3,960兆円:日本の政府負債の3倍)を超えた対外負債です。これは、2017年からのトランプ減税、2019年度予算で500億ドル増える予定の軍事費(8,500億ドル)、増え続ける社会保障費(公的年金+公的保険の医療費)から、毎年、過去より大きな傾向で増えます。
米国の対外資産が26兆ドルなので、対外純負債は10兆ドルです。しかし、これは2018年の米国の利上げによる金利上昇で、海外からの債権引き揚げがおこっています。
2018年度、19年から米国の対外純債務は、年1兆ドルを超える増加になるでしょう。以下のサイトに、正確な、米国の対外資産と債務の総体の数字があります。他は、タックスヘイブンから負債(米国債と株式投資)が入っていません。
この対外債務が問題なのは、増える一方であることです。米国債と米国株を買って、米国に貸す第一は日本です。
日銀の異次元管緩和による円国債買いの代金は、金融機関の現金になり円国債を売った4大メガ銀行、GPIF(公的年金の運用:151兆円:18年12月末)、郵貯(資金量約180兆円)、かんぽ保険(同80兆円)は、その円をドルに換えて米国債、米国株を買い増して運用しています。問題は、これをいつまで「前年比で増やして」続けることができるかです。
日本からのドル買い、ドル国債買い、ドル株の買いが減ると、ドル安になり、金利は上がって、米国の株価は下がります。
中国は3.4兆ドルの米国債を外貨準備として持っていましたが、すでに2018年の輸出が大きく減ったことからのドル売りによって、これを3.1兆ドルに減らしています。
大きなドル買いができるのは日本と中国ですが、これが危うくなっています。これが、米国を対外デフォルトに向かわせる要素になってきたのです。(2020年から2022年)
米国は過去、
・1871年の金・ドル交換停止による、FRBの金の引き渡しのデフォルト(金兌換のドルは、金を渡すという約束手形です)
・1985年のプラザ合意による、ドルの1/2への切り下げという形をとった、ドイツと日本への1/2デフォルトを経験しています。ドルの切り下げは、ドイツと日本のドル資産を、1/2に減らすというデフォルトです。
2020年から2022年も、米国の対外デフォルトの可能性が、日本と中国のドル買いの減少から起こる可能性が高くなっています。
米国は新興国のような、対外負債超過の国です。対外負債が超過している国は、
・海外からのその国の、通貨の買いの、前年比での減少、
・または、海外がもつドル資産の売りの超過で、あれ?と思うくらい簡単にデフォルトになります。
トランプの方法は、借金で買った不動産で3回行った借金の踏み倒しです。不動産はもったまま、債務を返さず、利払いもしないという方法です。
借金の金額が数千億円を超えると、トランプが破産すれば貸した銀行も連鎖で破産するので、やむなく追い貸し(追加の貸し出し)をして、銀行が毎年、資産を失っていくのです。
自社株買いによって、上げてきた米国株の問題
内部では、時価総額が3,000兆円の株価資産の崩壊です。3,000兆円は企業の金融資産、株主の金融資産、金融機関の金融資産になっています。2018年秋(10月から12月)のように20%下がると、600兆円が失われます。FRBのパウエルは、この株価下落を見て不安になり、2019年に予定していた3回の利上げと、国債の売りを停止しました。この2つとも、株価を下げた要素になっていたからです。
ところが、重要なことをいえば、18年秋の20%下落は18年の自社株買い1.2兆ドル(130兆円)にもかかわらず起こったことでした。高所恐怖症にかかっていた投資家の売りが大きかったからです。
幸い、FRBの3回の利上げと国債の売りの停止を好材料として、3回の利上げと国債の売りを織り込んでいた株価は20%戻しています。
社債の発行(借金)で行うものが多い自社株買いは、「借金の自社株買いで、買った以上に株価を上げる」ことがないと行えません。株価が上がらないと、社債の借金を増やしただけになり自己資本比率は下がって、CEOは株主から首をきられるでしょう。従業員と同じファイアです。
金融資産の60%以上が株価である社会の米国では、株価を下げるCEOは、存在が難しくなります。日本で言えば、個人の預金を減らした銀行と同じだからです。米国世帯の60%は株をもち、個人金融資産の60%が株だからです。
問題は、2019年に前年並みの1.2兆ドル(130兆円)の自社株買いが行えるかどうかです。最大限でも、1兆ドルをこえることは無理でしょう。株価が思うように上がらず、0.8兆ドルに減る可能性も高い。
2018年までの8年間、主導因が自社株買いだった米国の株価の下落の可能性は、今年の秋からでしょうか。もちろんこれも確率的な可能性です。
次回の、世界的になることが必然の金融危機でのもっとも大きな問題は、10年でふくらみきったB/Sをかかえしまった米・日・欧・中の4大中央銀行が、下がった債券や株を買い上げて、マネーを銀行に供給する「信用の余力」が乏しいことです。
このため、仮にこの金融危機が起こったとき、その先がどうなるか、いまは不明瞭。奈落か、あるいは4大中央銀行がペーパーマネーを1,000兆円増発しても、通貨を下落させない方法はあるのか。淡路の夕日を眺めながら、夢想したことでした。
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投資家ジム・ロジャーズ「日本は世界でいちばん好きな国のひとつ。だが…」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190422-00010000-voice-bus_all
PHP Online 衆知(Voice) 4/22(月) 11:58配信
親日家を自負するジム・ロジャーズ氏だが、日本の先行きを憂慮している。
<<著書『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(PHP新書)が15万部を突破したジム・ロジャーズ氏。
「大の親日家」を自認するロジャーズ氏が世界経済の先行きを見据えながら日本がもう一度世界経済でプレゼンスを高めるうえで、「日本の強み」を日本人自身が思い出すべきだと、月刊誌『Voice』上にて語っている。本稿ではその一部を紹介する。(聞き手:大野和基)>>
※本稿は月刊誌『Voice』(2019年3月号)に掲載されたジム・ロジャーズ氏のインタビュー「品質、勤勉、貯蓄こそ強みであることを忘れるな」より一部抜粋・編集したものです。
「歴史を振り返れば、貿易戦争がプラスに働くことなどない」
――(大野)2018年夏、米中両国は互いの製品の輸入関税を引き上げ、以来、熾烈な貿易戦争を繰り広げています。その影響をどう考えますか。
【ロジャーズ】じつに愚かな措置です。貿易戦争から、勝者は生まれません。どの国にとってもマイナスになるのです。貿易戦争をしている当事者はもちろん、他の国まで苦しむことになる。日本も巻き込まれ、悪影響を受けるでしょう。
トランプ大統領はアメリカが貿易戦争に勝つと思い込んでいるようですが、それは間違っています。彼は、自分は歴史より賢いと思っているのだろうか。
歴史を振り返れば、貿易戦争がプラスに働くことなどないとわかるはずなのですが……。
――日本には「米中の仲介役を果たせ」という意見もありますが、貿易戦争の悪影響を軽視してきた面があります。
【ロジャーズ】経済危機というのは、1日や2日で起きるものではないのです。経済に実際に影響が与えられるまでには、時間がかかるということです。下げ相場は、たいていそのようにして起きます。
2008年は、リーマン・ショックで世界中がひどい下げ相場になった年でした。2007年4月、サブプライムローン業界2位のニュー・センチュリー・ファイナンシャルが破綻。
さらに同じ年の7月、格付け機関が住宅ローン担保証券を一気に格下げ。10月には、投資銀行大手のメリルリンチで、CEOが経営悪化の責任を取り辞任しました。
それから半年後の2008年5月、アメリカの大手投資会社ベアー・スターンズが破綻し、人びとは何かがおかしいとざわつき始めたのです。
そしてその4カ月後、2008年9月にあのリーマン・ブラザーズが破綻し、それでようやく誰もが気付いたのだ。「大変だ!何か大きな問題が世界で起きている」と。
危機というのは、いつもこのようにして起きます。誰も気付かないようなところで初動が起き、それが雪だるま式に大きくなっていくのです。そしてテレビで報道されたときに初めて、「何か大変なことが起きている!」と多くの人が知ることになります。
――経済の先行きを悲観的にみているわけですね。
【ロジャーズ】歴史的にみると、どの下げ相場も誰もが知らないところで始まり、最終的に多くの国が破綻しています。
ここ数年で起きた出来事はすべて、もうすぐ甚大な経済問題が起きることを意味しています。リーマン・ショックから約10年が経ったいま、いつ何が起きてもおかしくありません。
アメリカの株式市場は、2009年3月に底を打って以降、10年近く上昇を続けている。これは史上2番目の長さです。歴史を学んでいれば、現在のアメリカの上昇相場がいつか必ず止まるということは、誰にでも予想できるでしょう。
アメリカの中央銀行(連邦準備制度理事会)の前議長ジャネット・イエレン氏は、「経済問題は2度と起きない」と断言した。
もし彼女の言うことを信じるのなら、私の言葉を聞く必要はありません。しかし、いつか彼女が愚か者に見えるときが来るでしょう。
次に起こる経済危機は、われわれの人生で最悪のものになるでしょう。その危機から脱出できる人は、そう多くはない。それほど深刻で破壊的な危機が、いま目の前に迫っているのです。
大英帝国も価格競争によって敗れた
――日本についてはどうでしょうか。あなたは大の親日家として知られていますね。
【ロジャーズ】実際、日本は私が世界でいちばん好きな国の一つです。これまで数え切れないほどの多くの国を訪れましたが、東京ほど食文化が発達している都市をほかに知りません。
京都など、歴史をよく保存している都市も多い。これほど日本を愛している私ですが、日本に住もうとは思いません。(膨らみ続ける)借金と少子化、この2つがそのシンプルな理由です。
――残念ながら日本で、少子化の深刻さが強調されるようになったのは、ようやくここ数年のことです。人口が減少しても、生産性が上がれば経済成長は可能だという識者はいるものの、その方法は見つかっていません。
【ロジャーズ】どんな国も間違いを犯します。間違いを犯していない国などありません。間違いから学ぶ国も多々あります。中国がそうです。中国はかつて3、4回衰退しているが、世界の頂点にも同じく3、4回立っています。
日本にも、再生の余地は十分にある。私が考える日本の強みは、主に3つあります。
まず一つ目は、日本の最大の強みであるクオリティ(品質)です。日本人は何をしても世界最高のクオリティを求めます。その情熱は間違いなく世界一であり、2番目の国が思い付かないほど群を抜いています。
ドイツ人、それにオランダ人やオーストリア人といったドイツ系もクオリティに関しては非常に厳格ですが、日本に匹敵するレベルではありません。日本ほどクオリティに対して「抑えがたい欲望」をもっている国は他に思い付かないのです。その姿勢こそが、日本を偉大な国にしたといえるでしょう。
――なぜ、そこまで日本人は品質を求めるようになったとお考えですか。
【ロジャーズ】第2次世界大戦で、日本は世界のいかなる国よりも破壊されました。アメリカが不当に原爆を落としたからです。私は個人的には、アメリカの判断は間違っていたと思います。落とす必要はなかったのです。それも2回も……。
ともかくどの国より壊滅的な打撃を受けた日本は、そこから立ち直らなければなりませんでした。いままで外圧にさらされたことがあまりない、孤立した国にとって、それは想像を絶する事態だったでしょう。
世界と戦う力を付けるために、日本はクオリティを高めるしかなかった。価格で競争することで国が助けられることもあるが、長期的に見ればそれはうまくいかないことが多いのです。
そして日本は見事な経済成長を遂げました。日本は、最高のクオリティのものであれば世界と戦うことができ、大成功できるということを理解したでしょう。いま、世界で最も優れているものは何でも日本にあります。
日本が自らの強みを捨てるような愚策を行ってはいけない
――たしかに日本の戦後復興を可能としたのは、モノづくりの分野です。
【ロジャーズ】日本人はどういう理由であるにせよ、高品質について学び、価格競争についても学び、それによってアメリカの産業をいくつも破壊しました。アルミ、鉄鋼、オートバイ、自動車――ありとあらゆる産業を。
いま日本には、品質を犠牲にして生産性を高めたほうがいいと主張する人もいると聞きます。たしかに日本は、労働力人口が減少しているし、国の借金も増えつつある。品質を維持する体力が落ちてきているのです。
しかし、世界一の品質を自ら捨てるような愚策は、絶対に取るべきではありません。
低価格にして長続きした会社は、歴史的に見て存在しません。消費者は、概して高品質の製品をほしがるものです。家計が苦しいときは低価格の商品に走ることもあるが、それは一時的なものなのです。
――その意味で、ここ20年のデフレは、日本企業の思考様式を変えてしまったともいえます。とにかく安くつくろうと、コストを下げることばかりを考え、品質という本来の日本の強みを忘れてしまったようです。
【ロジャーズ】かの大英帝国も、価格競争によって敗れました。価格競争が最終的に破滅へとつながることは、歴史が物語っています。
1830年代、大英帝国は前代未聞の驚くべき経済成長を経験しました。ミッドランド(イギリス中部地方)のある地域に、世界の機械の半分以上が集中している時期があったくらいです。
それから20〜30年後、イギリスの王座を颯爽と奪っていったのがアメリカです。アメリカはイギリスよりもはるかに安い価格ですべての商品を売った。すると、靴メーカーも衣料メーカーも、皆アメリカの北部に移るようになったのです。
そのあとアメリカ南部のサウスカロライナ州が、われわれのほうがもっと安くモノづくりをできると声を上げ、すべての工場は北部から南部に移転しました。その後、日本に移り、中国に移り、いまはベトナムかカンボジアに移っているところでしょうか。
歴史は、つねにこのように動きます。どこかが安くつくると、必ずそれよりも安くつくるところが出てくるものです。中国もベトナムもカンボジアも、皆同じ経験をしています。
一方で、高級ジュエリーブランドのカルティエは1847年の創業以来、世界中に展開しています。1926年創業のメルセデス・ベンツもそうです。品質を落とさないから、ビジネスが続いている。日本も、世界一の品質に対するプライドをもう一度取り戻すべきでしょう。
ジム・ロジャーズ(訳大野和基)
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S&P500のエリオット波動 宮田直彦 2018 年12月14日
現在は
supercycle X波, cycleT波, primary (5)波
(S&P500 は primary(4)波を既に終了か ⇒ primary (5)波は最高値を更新へ)
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2019 年 1月 9日 宮田直彦 《当面の底値に達した米国株》
現在は
supercycle (X)波, cycleT波, primary (5)波
(S&P500 は primary(4)波を既に終了か ⇒ primary (5)波は最高値を更新へ)
S&P500 は今後2-3 ヵ月で底値を固め、新たな強気トレンド入りを見込む
S&P500 は 2018 年1 月高値を起点とする primary 第(4)波の調整にあり、パターンは「拡大フラット」(A-B-C)とみられる。
12 月に付けた安値は、A 波とC 波が下げ幅において黄金比(1:1.618)をほぼ反映しており、これも底入れ見通しをサポートしている。
このように、水準面で S&P500 は底入れした可能性がある。しかし波動構成上、C 波すべてが終わったとはいえない。その理由は 2018 年 9 月から12 月までの下落が 3波構成にとどまっていることにある。
拡大フラットにおける C 波 は 5 波構成になる。
おそらく今後 2-3 ヵ月の間はリバウンドと下落を交えながら、徐々に底値を固める展開ではないか。しかし早ければ春先から、S&P500 は primary 第(5)波の上昇トレンドに入る可能性がある。
また今年は、フィラデルフィア半導体株指数(SOX 指数)の第 5 波上昇入りが想定さ
れる。投資家の期待が著しく低下した半導体セクターだが、その復活にも注目して
みたい。
マーケットは韻を踏む
「歴史は同じようには繰り返さないが、韻を踏む」というのはマーク・トウェインの
言葉だが、それはマーケット動向にも当てはまる。1960 年代後半から80 年代前半にかけての supercycle 第(V)波 cycle 第W波「拡大三角形」の後には、ダイナミックかつ長期にわたる強気相場が続いた。
また 2000 年から09 年にかけての supercycle 第(W)波「拡大フラット」は、その後の強気相場に先行するものだった。
それぞれの時代背景・調整の規模は異なるが、S&P500 が拡大型の調整パターンの後に上昇したという点では同じだった。今回の「拡大フラット」も「韻を踏む」動きとなるかを注目している。
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2019 年4 月19 日 宮田直彦 エリオット波動マーケット分析
【ダウ工業株平均・S&P500】
(S&P500 はプライマリー第(5)波の上昇が進行中)
S&P500 は09 年安値(666)以来、サイクル第T波の上昇局面にあるとみている。
第T波はプライマリー級の5波構成─(1)-(2)-(3)-(4)-(5)─であり、18 年1 月高値(2872)からの調整はプライマリー第(4)波に位置づけられる。
この第(4)波のパターンは拡大フラット(A-B-C)とみられ、18 年12 月26 日安値(2346)─それは200 週MA 上で付けた─を以て終了し、以来プライマリー第(5)波が進行中とみている。そうであれば、S&P500 は今年から来年に3000 に上昇してもおかしくない。
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宮田直彦さんの三菱UFJモルガン・スタンレー証券エリオット波動マーケット分析レポートは
ネット証券会社【カブドットコム】
https://kabu.com/default.html
に口座を作れば無料で読む事ができますが、宮田直彦さんのカウントが当たった事は過去一度も無いと言われているので、ご注意下さい。
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NYダウ (NYダウ) 【0800】 株価 チャート
https://kabutan.jp/stock/chart?code=0800
NASDAQ (NASDAQ) 【0802】 株価 チャート
https://kabutan.jp/stock/chart?code=0802
エリオット波動については
エリオット波動
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/591.html
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/368.html