日本全国の港で労働者がスト 産別最低賃金引上げ求め
http://tanakaryusaku.jp/2019/04/00020012
2019年4月21日 19:36 田中龍作ジャーナル スト決行中の横断幕に港湾労働者たちの決意がこもっていた。=21日、横浜港本牧Cふ頭入り口 撮影:田中龍作= 全国の港湾労働者たちで作る「全国港湾労働組合連合会(全国港湾:1万6千人)」と「全日本港湾運輸労働組合同盟(港運同盟:1千200人)」は、きょう21日午前8時から24時間ストに突入した。 全国港湾と港運同盟は経営側(日本港湾協会)に対して産業別最低賃金の引上げを求めてきたが、経営側が統一回答を拒否してきたためストに踏み切った。全国港湾と港運同盟は14〜15日にも22年ぶりの平日ストを決行している。 組合側(全国港湾と港運同盟)が求めている産業別最低賃金の引き上げは、現在の月額16万8,920円から、1万5,580円アップして18万4,500円(日額8,022円)。 1万5千円という額面に驚いてはいけない。元が低過ぎるのだ。 月16万円台で どうやって生活して行け というのか。家賃と光熱費を払って、それで食っていけるだろうか。満額の18万円台を得たところで事態はほとんど一緒だ。焼石に水である。 経営側は独占禁止法(独禁法)に抵触する恐れがあるとして統一回答を拒否しているが、中央労働委員会は「独禁法にはあたらない」として「交渉に応じるよう」あっせん案を提示した。去る2月15日のことだ。 中央労働委員会が提示した斡旋案。「交渉のテーブルにつくよう」促しているのだが、経営側はあっせん案を無視したままだ。 21日、横浜港を取材した。横浜港のコンテナターミナルは1月1日を除く1年364日、稼働する。日祝といえども貨物が行き交うのだ。だが、労働組合がストに突入した21日は、ひっそりと鎮まり返っていた。クレーンは空に向かって真っすぐ立ったまま。コンテナはピクリとも動かない。 横浜港の貨物取扱量は、コンテナにして年300万本。うち5%は冷凍コンテナだ。 コンテナの荷物は大概、業者から業者の間を動く。一般の消費者への影響は今の処ほとんどないが、もしストが長引いた場合、冷凍食品などが腐る可能性も出てくる。 連合の登場(1987年)と時をほぼ同じくして、日本の労働組合はストをしなくなった。「ストのやり方を知らない労働組合」とまで指摘される始末だ。 公務員や大企業の社員でさえ職場を奪われる労働者派遣法の歴史的改悪(2015年)の際、日本最大の労組である連合がストを打たなかったのが不思議でならない。 最近、公共交通機関で過酷な勤務が原因とみられる事故やトラブルが多発している。労働組合がしっかりあって、ストを打てれば労働強化はなかった。 ダイナミックに動いていたコンテナとクレーンは止まったままだった。=21日、横浜港本牧Cふ頭 撮影:田中龍作= 〜終わり〜
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