異次元金融緩和を米が“強制終了” 企業と日銀を円急騰が襲う
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2019/04/15 日刊ゲンダイ 本気っぽいゾ!(ムニューシン米財務長官13日、ワシントン)/(C)共同通信社 「確実に盛り込みたい」――。ムニューシン米財務長官は13日、15日からワシントンで始まる日米貿易交渉で、円安誘導策を禁じる「為替条項」を求める姿勢を鮮明にした。第2次安倍政権で6年以上「円安株高」を演出してきた「異次元金融緩和」は、自国で出口戦略が描けない中、米国によって“強制終了”させられることになりそうだ。 民主党政権時代、1ドル=80円台だった為替は、安倍政権発足直後の異次元金融緩和(2013年4月〜)により、100円を大幅に超える円安が進行。輸出企業は恩恵を受け、株価も上昇した。 米国は、異次元緩和は意図的な円安誘導政策で日本車が安く輸入され、米国産農産品が高く輸出される“元凶”だと見ている。ムニューシンは、カナダやメキシコとのNAFTA(北米自由貿易協定)見直しや、中国との貿易協議で、為替条項を盛り込んでいるので、対日交渉でも議題にする考えだ。 ■政府も日銀も打つ手なし 「自ら出口戦略を持って、徐々に異常な金融緩和から抜け出せればよかったのですが、外圧で軌道修正せざるを得なくなった。米国は、日本の国内事情など鑑みず、円高という見える成果が出るまでプレッシャーをかけてくるでしょう。この先、急激な円高が心配されます」(経済評論家・斎藤満氏) 円高が進めば、輸出企業は大きな打撃を受け、株価は下がる。厄介なのが、株の爆買いで株価をカサ上げしてきた日銀だ。日銀は自己資本がわずか8兆円で、日経平均株価が1万8000円を切ると「債務超過」に陥るとされる。株が原因で債務超過になった日銀は、さすがにこれ以上、株を買い支えにくくなるだろう。株価下落に何もできない可能性が高い。 さらに、円高は国債の暴落(金利は上昇)をもたらす。 「国債金利が上昇すれば、公共事業など大胆な財政出動はできなくなります。円高不況が目の前にあっても、政府も日銀も“打つ手”がないのです。6年もの異次元金融緩和のたまりにたまったツケが、いよいよ露呈するということです」(斎藤満氏) 米国に急ブレーキをかけられ、6年以上走り続けた「暴走バス」が崖の下へ……。いよいよその時が近づいてきた。
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