所得伸び悩みに危機感、米国のアッパーミドルクラス
Alex Tanzi
2019年4月15日 14:10 JST
• 家計債務を構成する主要項目はコストが高めの借り入れにシフト
• 米個人資産全体に占めるアッパーミドルクラスの存在感は著しく低下
米国では所得上位10%の層を除き、「取り残された」感じが国民全体に広がっていることが、連邦準備制度の個人資産データで示された。
アッパーミドルクラスも所得の伸び悩みに危機感を抱いている。この「中の上」の所得の伸び率は、社会経済的地位で上と下にランクされるクラスに後れを取っている。
乗用車や教育といったアッパーミドルクラスが購入する多くの製品やサービスのコストは、全体のインフレを上回るペースで上昇し、割高な借り入れ形態を利用する世帯も増えている。
家計債務を構成する主要項目は、過去10年で住宅ローンから調達コストが高めの借り入れにおおむねシフトした。
Change in Debt Composition
Households shift to generally higher interest rate consumer debt categories
Source: New York Fed Consumer Credit Panel/Equifax
Note: Recession ended in June 2009
プライムレート(最優遇貸出金利)が比較的低いにもかかわらず、クレジットカードの金利は数十年ぶりの高水準に達し、2つの金利の差は約10年ぶり大きさに拡大した。
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ATTOMデータ・ソリューションズが8700万を超える米一戸建て住宅世帯を分析したところによれば、2018年に不動産税は年平均4%増加。アトランタ連銀によると、今年2月時点で上位25%層の所得のみが年間ベースで4%を上回る伸びとなった。
Lackluster Gains
Median 12-month wage growth for those in the 2nd tier flat-lines
Source: Atlanta Federal Reserve
株式保有に占めるアッパーミドルクラスの割合も低下した。純資産が50−90パーセンタイルに位置する層の保有割合が縮小する中で、上位1%の人々が企業の株式の過半数を保有している。
Equity Shrinkage
Distribution of U.S. household upper middle class equity wealth falling
Source: Federal Reserve
Note: Share of U.S. household wealth among 50th to 90th percentiles
18年末までの1世代で、米国の個人資産全体に占めるアッパーミドルクラスの存在感は著しく低下した。50−90パーセンタイルの世帯が持つ資産の割合は全体の35.2%から29.1%に落ち込み、アッパーミドルクラスが手放した資産の大部分が上位1%の層に流れた。
Smaller Slice of the Pie
Americans among the upper middle class see shrinking share of total U.S. net wealth
Source: Federal Reserve
Note: Figures are for Q4. Percentages may not total 100 due to rounding
原題:America’s Upper Middle Class Feeling the Pinch Too(抜粋)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-04-13/america-s-upper-middle-class-feeling-the-pinch-too
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-15/PPZEQX6JTSE901?srnd=cojp-v2
債券市場に潜むリスク、2兆ドルの損失がトレーダー襲う可能性も
Liz Capo McCormick、Katherine Greifeld
2019年4月15日 13:48 JST
• 超低利回り債券の残高の大きさと流動性枯渇懸念がリスク
• リスクは現実のもので、用心するのが極めて妥当
世界の債券相場上昇の影に、大きなリスクが潜んでいる。長年市場を見守ってきたベテランらの何人かがこのように警告する。
米連邦準備制度や他の中央銀行によるハト派コメントを受けて投資家は債券市場に戻ってきたが、こうした投資家をひどい損失のリスクにさらす2つの要素があると市場ウォッチャーらは言う。1つは超低利回り債券の残高の大きさだ。債券相場が下落した場合のバッファーが、投資家にほとんど残されていないことを意味する。 第2に、一斉売りの際に流動性が突然枯渇し、債券保有者が迅速にポジションを解消できなくなる懸念がある。
もちろん、債券市場で状況が悪化する時期を予想している人はいないし、過去の事例は悲観論者にくみしない。それでも、リスクは現実のもので、用心するのが極めて妥当だとウォッチャーらは言う。あるデータによれば、投資適格社債の残高は金融危機以降に倍増し52兆ドル(約5820兆円)に上っている。利回りは同期間に平均で1.8%下がり、2007年の水準の半分未満に落ち込んでいる。わずか0.5ポイント上昇しても投資家は約2兆ドルを失い得る。
アルハンブラ・インベストメンツの世界調査責任者、ジェニファー・スナイダー氏は「これは評価されていない隠れたレバレッジの要素だ」とし、 「最終的にショックを受けることになるだろう」と話した。
隠れたリスク
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ユーリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)は債務残高の大きさを指摘する。「世界の債務残高はあまりにも大きいので今や、歴史的には通常の規模の利上げにももはや耐えられない」と同氏は述べた。
今のところは勝者
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ルーミス・セイレスのマネーマネジャー、エレーン・ストークス氏は投資家が一斉にポジションを解消しようとした時に取り残されるリスクを心配する。「マーケットメーカーの数はかつてに比べ少ないのに、投資適格債とソブリン債の残高は大きい」とし、米国債のような流動性の高い市場ですら、価格を動かさずに売買するのは難しくなったと指摘した。
原題:Hidden Bond Market Dangers Expose Traders to $2 Trillion Wipeout(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-15/PPZF2O6K50XS01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/hasan132/msg/182.html