閣僚や議員や軍隊や有力メディアの要求に従い、米大統領はシリア占領継続を表明
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201903060000/
2019.03.07 櫻井ジャーナル
アメリカのドナルド・トランプ大統領は何人かの議員に対し、アメリカ軍部隊をシリアへ残留させることに100%同意すると伝えたという。昨年12月20日、トランプ大統領がシリアから2000名のアメリカ軍地上部隊を撤退させるように命令したと報道され、国防長官だったジェームズ・マティスは撤退の命令書に署名したのだが、その決定を翻すものだと言える。 大統領が軍隊の撤退命令の署名するという情報が流れると議会や有力メディアから批判が噴出、政権の内部でもマイク・ペンス副大統領、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官、マイク・ポンペオ国務長官が造反、マティス長官は2019年2月一杯で辞任すると表明した。 しかも現地のアメリカ軍はシリアで軍備を増強、撤退するようには見えなかった。本ブログでも書いたように、命令が出た直後にアメリカ軍はイラクからシリアにある同軍の平坦拠点へ軍事車両や軍備品を150両近いトラックで運び込んでいると伝えられている。 これもすでに書いたことだが、イラクの治安を担っているハシド・アル・シャービ(人民動員軍)の東部地区を担当している司令官によると、アメリカ軍はシリア東部にいるダーイッシュへ軍事情報を渡している。アメリカ軍はシリア東部に建設した軍事基地を増強するために物資を運び込み、シリアとの国境に接したイラクの西部地域を軍事的な拠点にしつつあるとも語っている。 つまり、今回のトランプ発言は自分の命令に閣僚も軍も従わないため、それを追認しただけのことだろう。善意に解釈すると、トランプは大統領としての権限を持っていない。もし権限を持っているなら、大嘘つきということになる。 撤兵に反対している人びとはダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の脅威が去っていないと主張しているのだが、ダーイッシュにしろアル・カイダ系武装集団にしろ、サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とする傭兵にすぎない。 2001年6月から04年6月までイギリスの外務大臣を務めたロビン・クックが05年7月に指摘していたように、アル・カイダとはCIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リスト。つまりアル・カイダという武装集団は存在しない。 シリア政府の要請を受けたロシア軍が2015年9月30日に介入してアメリカなどが送り込んだ傭兵部隊が壊滅状態になるとアメリカ軍はヘリコプターなどで戦闘員の救出を繰り返してきた。助け出されたのは幹部クラスや外国人だろう。侵略国の軍人や情報機関員も侵略作戦に参加していたと言われているので、そうした人びとも含まれていた可能性がある。 こうした傭兵部隊が敗走を始めるとアメリカなど侵略国はクルドを手先として使い始めたのだが、侵略勢力の中からトルコやカタールが離脱、クルドを敵視するトルコとアメリカとの関係が悪化、それにともなってアメリカとクルドの関係は微妙になっている。 アメリカの有力メディアや議員がダーイッシュの脅威を主張しているということは、アメリカの支配層は新たな傭兵を集めて軍事侵略を再度試みようとしていることを暗示している。 |