FOMC、資産縮小「修正の用意」 利上げも棚上げ
2019/1/31 4:02日本経済新聞 電子版
【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。声明では「政策金利の調整を様子見する」と言及し、2019年中に2回を見込んでいた利上げシナリオを棚上げする考えを示した。世界的な株安などを受けて、17年秋から続く保有資産の縮小も「修正する用意がある」と明言した。
FOMCは金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った(写真はワシントンのFRB本部)=ロイター
FOMCは金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った(写真はワシントンのFRB本部)=ロイター
30日の会合では、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、投票メンバー10人の全員一致で年2.25〜2.50%のまま据え置いた。
FRBは18年12月の前回会合で年4回目の利上げを決断した。19年中にも2回の追加利上げに踏み切る政策シナリオを公表したが、世界的な株安の一因となり、パウエル議長らは年明け以降の講演で、利上げを棚上げする考えを示していた。
そのため、今回のFOMC後の声明文でも「委員会は先行きの政策金利の調整を様子見する(be patient)だろう」と明記した。前回会合後の声明文に盛り込んだ「若干の段階的な追加利上げが正当化される」との文言も、完全に削除した。先物市場ではFRBが年内は利上げを見送るとの予測が既に7割の確率まで高まっていた。
金融市場はFRBの保有資産の縮小策にも注視していた。FRBは金融危機後の量的緩和で米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を大量に買い入れたが、17年秋から保有量を減らす「量的引き締め」に転じている。金融市場には利上げとともに二重の圧力となって、投資家の不安材料となっていた。
そのためFRBは資産縮小に関連した声明文も別枠で公表して「経済活動や市場動向に応じて、バランスシートの正常化の詳細を修正する用意がある」と明示した。前回12月の記者会見でパウエル議長は「資産縮小は順調で見直す予定はない」と話していたが、方針転換に踏み切った。株安などが再発すれば、資産縮小のペースの減速や一時停止などが視野に入りそうだ。
FRBが利上げ路線の一時停止に傾いたのは、物価上昇率が目標の2%を下回っていることも要因だ。声明文では「インフレ圧力は抑制されている」として、基調判断を引き下げた。ドル高や原油安などで物価の下押し圧力が徐々に強まっており、利上げを急ぐ必要性が薄れている。
景気判断もわずかに下方修正した。米景気について前回声明では「力強い」としていたが、今回は「底堅い」と表現を変えた。声明文では海外経済や金融市場の動向を見極める考えをにじませた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40700210R30C19A1000000/
NY株続伸、434ドル高 FOMC受けリスク選好
2019/1/31 4:41 (2019/1/31 7:57更新)日本経済新聞 電子版
【ニューヨーク=宮本岳則】30日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が続伸し、前日比434ドル90セント(1.76%)高の2万5014ドル86セントで終えた。米国東部時間午後2時に米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が公表となり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ慎重姿勢が改めて確認できた。投資家の間では積極的にリスクをとる動きが広がり、上げ幅は一時500ドルを超えた。
30日のニューヨーク証券取引所=ロイター
30日の米国株相場は朝から買い優勢で始まった。前日に減益決算を発表したアップル株の上昇は投資家心理を明るくしたほか、朝方に好決算を発表したボーイング株も相場をけん引した。午後に入ってFOMCの声明文が公表され、パウエル議長の記者会見が始まると、ダウ平均は一段高となり、昨年12月4日以来の高値で終えた。
今回のFOMC後の声明文では「委員会は先行きの政策金利の調整を様子見する(be patient)だろう」と明記された。米プルデンシャル・ファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏は「声明文はFRBが政策判断で柔軟な姿勢で臨むことを示唆しており、株価を押し上げる要因となった」と指摘していた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40700160R30C19A1000000/
FOMCが「辛抱強い」スタンスを表明、バランスシート縮小柔軟に
Craig Torres
2019年1月31日 4:18 JST
更新日時 2019年1月31日 7:15 JST
パウエル議長:経済データに依存する「常識的な」アプローチ用いる
パウエル議長:バランスシート正常化、従来予測より早く完了へ
パウエル議長
パウエル議長 Photographer: Al Drago/Bloomberg
米連邦公開市場委員会(FOMC)は29−30日に開いた定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25−2.50%のレンジで据え置いた。将来の金利変更の判断においては「辛抱強くなる」と表明。バランスシートの縮小については柔軟に対応する考えを示唆した。
声明全文はこちらの記事をご覧ください
FOMCは声明で、力強い労働市場と2%近辺のインフレ率という結果達成の「支援において今後FF金利誘導目標レンジのどのような調整が適切なのかを判断する上で、委員会は辛抱強くなる」とした。
FOMCは別の声明で、「経済・金融動向を考慮しながら、バランスシート正常化の完了に向けて詳細を調整する用意がある」と発表。FF金利だけで達成し得るよりも緩和的な金融政策を経済が正当化すれば、バランスシートの規模と構成内容を変更する用意があるとも表明した。
FOMCの声明では、金利を「漸進的にさらに幾分か引き上げること」が必要になる公算が大きいという前回の文言が削除された。「世界経済・金融状況と落ち着いたインフレ圧力」を指摘した上で、次の一手が利上げ、利下げのいずれにもなる可能性を開いた。見通しに対するリスクは「おおよそ均衡している」との表現も削除した。
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は記者会見の冒頭で、「米経済は良好で、その維持を支援するために金融政策手段を引き続き使う」と話した。今年の経済成長については、引き続き底堅く推移すると予想しながらも、ペースは2018年から減速するとの見通しも示した。パウエル議長はまた、力強い米経済と国外の不確実性が相反する中で、「視界が一段と良くなる」まで辛抱強く待ち、政策運営では経済データに依存するという「常識的な」アプローチを用いると語った。
パウエル議長はバランスシートについて、従来の予測よりも正常化のプロセスが「早く」完了し、維持される規模も大きくなるとの見通しを示した。
FOMCは潤沢な準備を維持しながら金融政策を運営する方針を示した。その状況下では短期金利の管理は「主に金融当局の政策金利の設定により行われ、準備額の活発な運営は必要とされない」と指摘。バランスシートを金融危機前のアプローチに基づく水準より大きな規模で維持する政策を設定したことを示唆した。
バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏は「米金融当局が市場に対して降参したとしか、読みようがない」と指摘。「利上げ局面は終わり、追加利上げよりもバランスシート縮小を停止する可能性の方が高いと、市場は読むだろう」と述べた。
この日の政策金利維持は賛成10、反対ゼロの全会一致での決定だった。パウエル議長の記者会見はこの日から年8回、全定例会合後に行われる。昨年までは2会合に1回だった。当局者の経済予測は引き続き四半期に1回発表される。
声明はブルームバーグ・ニュースが先週実施したエコノミスト調査の約3分の2の回答に沿う内容だった。「漸進的にさらに幾分か引き上げること」との文言は維持されず、代わりに不透明感の強まりを示唆するか、辛抱強さに言及、あるいは文言全ての削除が予想されていた。
政府機関の一部閉鎖の影響で発表が遅れている経済統計もあるが、FOMCは「家計支出は力強い伸びが続いた一方、企業設備投資の伸びは昨年の早い時期に見られた急速なペースから緩やかになった」と指摘。「経済活動は着実なペースで拡大している」とされ、「労働市場は引き続き力強さを増している」とした。政府機関閉鎖に対する言及はなかった。
毎年1月恒例の長期目標と政策戦略に関する声明も発表された。当局は2%のインフレ目標を再確認し、インフレ率が同水準を継続的に上回り続けるか、下回り続けた場合に懸念されるという対称的な目標であることを強調した。
原題:Fed Adopts Patient Rate Stance and Balance-Sheet Flexibility (2)(抜粋)
(最終6段落を追加し、更新します.)
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日本株反発へ、米金融引き締めペース鈍化で景気期待ー電機や素材高い
河元伸吾
2019年1月31日 7:41 JST
FOMCはFF金利据え置き、声明で漸進的利上げの文言削除
バランスシート縮小に柔軟姿勢、米S&P500種株価指数は1.6%高
31日の東京株式相場は反発する見込み。米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げの一時停止と資産縮小計画に柔軟に対応する考えを示したことから、金融引き締めが景気に与える影響への不安が後退する。電機や機械など輸出関連、素材など景気敏感中心に幅広い業種が買われそう。
FOMCは29、30日の定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利を据え置き、金利変更の判断に「辛抱強くなる」と表明。声明では漸進的利上げの文言が削除された。バランスシートの縮小については柔軟に対応する考えを示唆した。米S&P500種株価指数は前日比1.6%高。
FOMCの声明はこちらの記事をご覧ください
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストはFOMCの決定に関し、「原油安からインフレの心配がなく、中国や欧州経済の減速を考慮して利上げを停止、バランスシートの縮小も市場の想定より早めに終わるとみられる」と指摘。これにより「株安につながる悪材料が当面ないことが確認できた」とした上で、「昨年末の株価急落による逆資産効果で景気が受けていた悪影響もなくなる」とみる。
米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の30日清算値は2万0790円と、大阪取引所の通常取引終値(2万0610円)に比べ180円高
けさのドル・円相場は1ドル=109円00銭近辺と、前日の日本株終値時点の109円27銭からやや円が強含み
前日の海外市況はこちらをご覧ください
30日は反落
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【NY外為】ドルが4カ月ぶり安値−FOMCがハト派寄り姿勢
Robert Fullem
2019年1月31日 5:28 JST
更新日時 2019年1月31日 7:08 JST
30日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。ブルームバーグのドル指数は一時、昨年9月以来の低水準を付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表がハト派寄りだったことを受けた。FOMCは声明で、将来の政策金利調整において「辛抱強くなる」と表明。またバランスシートの縮小については柔軟に対応する考えを示唆した。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.6%低下。ドルは主要10通貨全てに対して値下がりした。一方で高ベータの資源国通貨は上昇した。
ニューヨーク時間午後4時45分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.4%低下。ドルはユーロに対して0.4%安の1ユーロ=1.1479ドル。対円では0.3%下げて1ドル=109円03銭。
FOMCは声明で、「落ち着いた」インフレ圧力を指摘。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で、今年の経済成長について引き続き底堅く推移すると予想しつつも、力強い米経済と国外の不確実性が相反する中で、「視界が一段と良くなる」まで辛抱強く待ち、政策運営では経済データに依存するという「常識的な」アプローチを用いると語った。
欧州時間の取引
欧州時間にはブルームバーグのドル指数が小幅に低下。FOMCの声明発表や米中の貿易協議を控える中、月末特有の資金の流れがドルにマイナスに影響した。
原題:USD Drops to 4-Month Low After FOMC Touts Patience: Inside G-10(抜粋)
Fed Adopts Patient Rate Stance and Balance-Sheet Flexibility (2)
Dollar Edges Lower Before Fed on Month-End Selling: Inside G-10
(情報を追加し、更新します.)
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-30/-108
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/790.html