自民党が日本国家の改革よりも55年体制の利権構造の温存を優先した結果の腐敗が頂点にある安倍政権で平成が終わる<平野貞夫氏>
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2019.01.22 月刊日本 ハーバー・ビジネス・オンライン
Takasa / PIXTA(ピクスタ)
間もなく平成が終わり、次の時代が始まる。1月22日発売の『月刊日本』2月号では、第三特集で「平成の光と影」として、その何反して決して「平らかに成る」とはならなかった30年を振り返っている。
冷戦終結と55年体制の崩壊で混乱・混迷・迷走した政治は、安倍政権のもとで議会政治の劣化、対米従属強化が決定的となった。
経済はバブル崩壊後に、「失われた30年」に突入し、新自由主義政策によって格差が拡大した。
少子高齢化が進む中で、阪神淡路大震災、東日本大震災など多くの自然災害に見舞われるとともに、オウム事件に象徴されるテロに遭遇するなど、社会も不安定化の一途を辿った。
これらの平成の問題について、次の時代に解決すべく、「平成という時代」を問い直すという意図をもって企画された本特集から、まずは政治評論家の平野貞夫氏による「消費税」を巡る論考について転載・紹介しよう。
消費税を弄ぶ安倍政権は国を滅ぼす
―― 平成30年の政治をどう総括していますか。
平野貞夫氏(以下、平野): 日本政治にとって平成は「呪いの時代」だったと思います。ポスト冷戦、ポスト昭和の新しい政治を実現しようとする挑戦がことごとく潰されたからです。これらの平成に解決できなかった諸問題は、次の時代に先送りされることになります。いま平成政治を振り返り、新時代の政治を展望するためには、まず「平成の呪い」、つまり平成の負の遺産を直視する必要があります。
第一は「政治改革の呪い」です。国際社会では平成元年に冷戦が終結、平成3年に湾岸戦争が勃発、同年ソ連が崩壊しました。一方、日本国内では平成3年のバブル崩壊の前後にリクルート事件(昭和63年)と佐川急便事件(平成4年)など汚職事件が相次ぎ、政治腐敗と政治不信が一気に噴出しました。
このように国内外の政治状況が大転換する中で、冷戦後の国際情勢に対応すると同時に、政治腐敗、政治不信を一掃する政治が求められたのです。そこから、冷戦構造と対応した55年体制を終わらせ、新しい政治体制を構築する「政治改革」が最重要改題になりました。
その結果、平成6年に細川護熙内閣は政治改革関連法を成立させ、小選挙区比例代表並立制が導入されました。平成4年当時、宮澤喜一内閣で副総理を務めていた後藤田正晴は、イギリスのサッチャー首相が議会政治にいちばん大事なことは「健全なる野党」と「政権交代」だと答えたことを強調していましたが、日本は小選挙区制の導入によって健全なる野党と政権交代を導入しようとしたということです。
しかし、政治改革の理念も裏切られた。確かに日本は国民の意志によって平成21年に本格的な政権交代を実現しました。しかし、自民党政権は政権交代を阻止するために、陸山会事件で民主党の小沢一郎代表を狙い撃ち、民主党内でも“小沢潰し”の内ゲバが始まりました。日本は健全な野党と政権交代が成立する制度を整えましたが、実際にその理念を実現することはできなかった。健全な議会民主政治に未熟な国民性が原因です。
―― 政治改革と同時に税制改革が行われていました。
平野:第二は「消費税の呪い」です。平成政治は戦後の税制を抜本的に見直すために、消費税の導入を中心とする税制改革に取り組みましたが、失敗に終わりました。
もともと戦後日本の税制は占領時代に作られたもので、シャープ勧告に基づいて直接中心の税体系になっていました。しかし、これは高度経済成長を経て、豊かな中間層が生まれて少子高齢化を迎えるにつれ、時代にそぐわない不公平かつ不十分なものになっていった。
そのため、昭和末期に税制改革が最重要の政治課題になったわけです。その骨子は、消費税を中心に所得税や法人税、住民税などの各税を調整して、国民にとって公平公正な税制を作り出そうというものでした。
その後、竹下登内閣は「消費税は主として福祉に使う」「消費税の導入後も国民のために税制改革を行う」と約束して、昭和63年12月に消費税法を成立させ、平成元年4月から施行しました。ところが、その後の自民党は各税の調整に移らず、本格的な税制改革に着手しなかったのです。しかも、自民党は消費税の使い道を勝手に変えて、福祉に使わないで公共事業や財政赤字の穴埋めに使いました。安倍政権に至っては法人税を下げるために消費税を上げる始末です。
こうして税制改革の理念は裏切られました。その結果、格差の是正・税制の公平化のために導入された消費税が、逆に格差の拡大・税制の不公平化に拍車をかけることになってしまったのです。
かつて税制の神様と呼ばれた前尾繁三郎は「税制は公平公正簡素が原点で、国家運営の骨格だ。国民を欺き弄ぶ税対策は税制の威信を一気に崩し、国家の信頼を失い、国を滅ぼす」と警鐘を鳴らしましたが、消費税や法人税を弄ぶ安倍政権は国を滅ぼしつつあるのです。
新自由主義の始まりはバブル崩壊だった
平野:それは第三の「バブル崩壊の呪い」から来るものです。冷戦崩壊後、世界経済の中心は金融に移っていきました。日本ではバブル崩壊後、住専(住宅金融専門会社)を始めとする不良債権問題が起きました。
平成8年、橋本龍太郎内閣の時に自民党と新進党は、世界恐慌後に大改革をやった米国のペコラ委員会に倣って、日本版ペコラ委員会を作ることで合意しました。金融にシフトしている世界経済に対応するとともに、不良債権問題を法的に処理して戦後日本経済の負の遺産を清算するための財政・金融改革でした。ところが、住専に関する疑惑を抱えていた自民党の加藤紘一幹事長が、料亭の美人女将への不正融資疑惑で橋本総理を脅して、この構想を潰してしまったのです。
その結果、日本は自分の手で不良債権問題を処理できず、その代わりに米国のファンドが乗り込んできたのです。長銀がリップルウッドやゴールドマンサックスの食い物にされたのがいい例です。この財政・金融改革が潰されたせいで米国の金融資本に付け入る隙を与え、新自由主義が日本を食い荒らす道が開かれたということです。この時、日本版ペコラ委員会がバブル崩壊の処理をしっかりやっていれば、日本における新自由主義の弊害は避けられていたはずです。
―― 日本は軍事的にも対米従属を深めていきます。
平野:それが第四の「対米従属の呪い」です。平成2年のクウェート侵攻、平成3年の湾岸戦争において、国連は国際秩序を守るために一定の役割を果たしたため、日本も国連主義を前提とする日本国憲法の理念に照らし、平成4年に宮澤内閣はPKO協力法を成立させました。
ところが、その後の自民党政権は国連を中心とする国際協調から、対米従属一辺倒になっていきました。平成15年、小泉純一郎政権は国連を無視した米国のイラク戦争を支持し、イラク特措法を成立させて自衛隊を派遣しました。さらに第二次安倍政権は平成28年に集団的自衛権の行使容認を閣議決定後、平和安全法制という名の戦争法制を強行採決し、米国の戦争に参戦できる体制を築きました。これらは憲法9条を破壊するクーデターで、内乱予備罪に当たります。
「また地獄に落ちるよ」
―― 「平成の呪い」は、日本が自滅した結果のようです。
平野:平成の日本は政治改革、税制改革、財政・金融改革、対米自立に失敗した結果、議会政治の劣化、格差拡大、新自由主義、対米従属に陥っています。私は政治家としてこれらの問題を何とかしようとしてきましたが、全て潰されたのです。
―― 平野さんはなぜ負けてしまったのですか。
平野:それはいい質問ですね(苦笑)。敗因の一つは、日本に民主主義が根付いていないことです。小選挙区制の問題が指摘されて久しいですが、これは制度の問題ではなく、それを運用する政治家の資質の問題だと思います。政治家が民主主義の理念を弁えていないからこそ、健全なる野党と政権交代が成立する制度にしても、それらを実現することができなかったのです。
国民もそうです。政治不信は窮まりつつありますが、国民は主権者として権力に抵抗しようとしないじゃないですか。わが国は100年以上の憲政史を有しますが、未だに日本の議会政治には、古代から培った弱きを助ける「共生」という大和魂が入っていない。その意味では、明治維新は未完なのだと思います。
しかし、最大の敗因は自民党が日本国家の改革よりも55年体制の利権構造の温存を優先したことです。その結果、政治腐敗は安倍政権の下で窮まりつつある。危機的情況ですよ。このままでは、日本の議会政治は平成で終わりかねない。
私は平成5年、副総理の後藤田正晴に日本の政治腐敗、政治不信の行く末について国会で質問したことがあります。後藤田は昭和初期に政治不信が軍部の台頭を招いたことを念頭に、「いちばん心配しているのは、国会自身が自浄作用を失った時に、それなら俺が代わってやるという動きが出てくることだ」「政治改革ができなきゃ、また地獄に落ちるよ」と答えました。我々日本人が自らの手で「平成の呪い」に決着をつけない限り、平成以後の時代に「また地獄に落ちる」ことは避けられないと危惧しています。
<聞き手・構成 杉原悠人> ひらのさだお●1935年高知県生まれ。政治家秘書を経て92年、参議院議員初当選。自由民主党、新生党、新進党、自由党などを経て2003年民主党に合流。議会運営と立法過程に精通する政治家として評価される。04年、政界引退
自民党が日本国家の改革よりも55年体制の利権構造の温存を優先した結果の腐敗が頂点にある安倍政権で平成が終わる<平野貞夫氏> #新自由主義 #格差社会 https://t.co/Y8THFteYpe
— ハーバー・ビジネス・オンライン (@hboljp) 2019年1月21日
自民党が日本国家の改革よりも55年体制の利権構造の温存を優先した結果の腐敗が頂点にある安倍政権で平成が終わる<平野貞夫氏> https://t.co/ksLT806XBq. 税金をとることばかり考えている日本政府ですね。どうやったら、国民生産力が出来るか?考えていないです、今までは。自民党政府はだめですね。
— 小熊 篤 (@jh038nsj24) 2019年1月22日
自民党が日本国家の改革よりも55年体制の利権構造の温存を優先した結果の腐敗が頂点にある安倍政権で平成が終わる<平野貞夫氏> https://t.co/ksLT806XBq. 国民も馬鹿だと思いました。こんな政治家を育てていたことですね。大学卒業したからといってほとんどが、中身のない人間でしょ、それも。
— 小熊 篤 (@jh038nsj24) 2019年1月22日
いずれにせよ、選挙制度を『国会議員が』決めてる限り、有権者が望むような制度にはならないと思います。
— 🐾🌈a-tamami -f🌈🐾 (@a_tamami_f) 2019年1月22日
自民が自分たちに有利になるようにしか作らないから。
理想を掲げて変えても、その通りにしようとしない。
長い間特定の政党に政権を任せた弊害。https://t.co/zcVyPQbBIo
上級から下級まで須く国民の社会意識が低すぎるってことなんでないの。フランスの黄色ベスト運動とか、韓国の朴槿恵降ろしとか、ああいうムーブメントが国民に生じないからジャップはダメなんだよ。https://t.co/MAvZCHXILF
— antares (@scorpio_alacran) 2019年1月22日
自民党が日本国家の改革よりも55年体制の利権構造の温存を優先した結果の腐敗が頂点にある安倍政権で平成が終わる<平野貞夫氏>
— 木原 満雄 (@MitsuoKihara) 2019年1月22日
あの頃、民主党を辛抱強く育てたかった。今の彼らを見ても、自民党二回生達よりは遥かにマシだと思う。国民は民主主義を育てる意識をもっと。 https://t.co/HiDhRlIeaI
自民党が日本国家の改革よりも55年体制の利権構造の温存を優先した結果の腐敗が頂点にある安倍政権で平成が終わる<平野貞夫氏> #SmartNews その通り。苦しいのにそれを強いる政権を変えようとしない馬鹿国民のせいです。 https://t.co/1HOZ7z3VHW
— まっくん (@mareeze) 2019年1月22日