日本株の暴落
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2018年12月25日 在野のアナリスト
日経平均が1000円を超す大幅な下げで、一気に20000円を割れてきました。しかも先物は15時以降の取引で19000円を割れており、配当権利落ちもあって、明朝は19000円すら維持できるかどうか? 微妙なところです。一般に米国の政治不安や、欧州の景気後退、米中貿易戦争などの要因が語られますが、日本独自の要因もあります。まず今日の下げは、先物の取引だけをみると、PKOで先物買いをすすめていた国内勢が一斉に投げを打った形が鮮明です。むしろクリスマス休暇中のはずの外国勢は、先物を買っているのです。 国内勢が買いを積み増してまでPKOに走ったのは、景気見通しに自信をもっていたこともあったでしょう。それが今日、連休明けで米株がその間に1000$以上も下げ、2万円を割れて返ってきた。それでも朝方はPKOなのか、板には大きな枚数の買い注文が入ったものの、みるみる削られて消えてしまった。それをみて売り圧力の強さに失望も広がり、国内勢も耐えきれなくなり、投げ売り状態になったのでしょう。 米国ではムニューシン財務長官が米6大金融機関に流動性確保を確認した、と報じられますが、むしろ逆効果です。金融に悪影響がでるのは第二、第三段階。実際に景気が悪化してからであり、それが起きつつあるのは欧州、米国はまだです。米国はバタバタしない方がよいのにトランプ大統領を始め、FRBを悪者にしたり、中国に責任を転嫁したりするので市場をさらに動揺させる。オイルマネーが逃避し始めたのでは? とも語られ、原油安がそれを促したものですが、それもトランプ氏が求めたことだったはず。つまりトランプ政権の人災は、ここに来て株式市場に深刻な問題を引き起こしているのは、間違いありません。 ただ日本の問題も深刻です。株価は半年先を映しますが、10月の消費税再増税も今回は期限付き、条件付き減税となるため、7-9月期は買い控えが起きることが想定できる。7月参院選で与党大敗も見えてくる。景気が悪化したタイミングで大量の外国人労働者を受け入れようとする愚。金融緩和に拡大の余地がなく、それでも低成長でプラスとマイナスを行ったり来たり。円高が襲えばすぐに景気後退が見えてきます。これまでも「未来を壊して現在を充足させる」が安倍政権の態度だと指摘してきましたが、現在が壊れてしまうと、未来はさらに悪くなる想像しかできない。それが安倍ノリスクとして意識されてしまうのです。 こうなるとテクニカル分析やPER、PBRなどの株価水準を計る試みも、一切通用しないと思った方がいい。株価下落が、逆に株価水準を調整して下落を正当化してしまう可能性があるためです。以前から指摘しているように、今は需給をみるべきです。オイルマネーはまだしばらく売る可能性が高い。国内勢もまだまだ買いポジションが重い。ヘッジファンドなどの一部には、Sellにベットするところがでてきたとの観測もある。需給はまだしばらく悪い状態がつづくのであり、反転の兆しは中々みえないのでしょう。 株安の震源とされる米株はダウ5000$の下げ、日本株も5000円の下げ、でも同じではありません。27000$近くから下がる米株と比べ、24000円強から下げる日本株の方が下げがきついのです。今日はケリー前日産取締役が保釈されましたが、こうしたことも日本株を売る材料にされているのでしょう。異常な国・日本。そんな認識が世界に広がりつつあり、これも需給を悪化させる要因となり得るのでしょう。クリスマス・ドロップ。このプレゼント、蓋を開けたら中から煙がでてきて、日本が何十年も老けこんだ姿をみせるのかもしれません。未来を壊して現在を充足させる、それは竜宮城にいた浦島太郎の体験したことと同じ、その代償を日銀を始め、払っていくことになるのかもしれませんね。 |