デタラメ、放射線副読本(平成30年10月改訂)―その20「原発事故は、震災、地震に言い換え」
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2018/12/15(土) 19:52:24 めげ猫「タマ」の日記
先の東日本大震災は天災ですが、福島原発事故は人災です(1)。別物です。今年10月に改定された「放射線副読本」は、
「震災前の平常時 0.04μSv/h)」、「地震いらい、外での運動がせいげんされ」
と記述し(2)「原発事故」を「震災」や「地震」に置き換えています。
出戻る前の安倍総理は「(原発の安全について)御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。」と言っています(3)。でもその後の事故報告書で万全期していない事が明らかになりました(1)(4)。たとえば、国会事故調の報告書には
「1. 2 認識していながら対策を怠った津波リスク
1. 3 国際水準を無視したシビアアクシデント対策」
なんて見出しがあります(1)。今年、行われた福島原発事故をめぐる刑事裁判では、津波対策の先送りが明らかになってきています(5)。福島第一原発は、必要な安全対策が取られていませんでした。それが震災の津波で表面化しました。福島原発事故は安全対策を怠った事が原因で起きた人災(加害事故)です。
一方で東京電力は今もって福島事故は「想定外の津波」によるものとしています。
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の「安全対策」を紹介した漫画では福島事故について
「想定を上回る津波が過酷な事故への引き金となりました」
記載し、ここでも「想定外」を主張しています。
今も「想定外」を主張する東京電力
※(6)を引用
図―1 東京電力の「柏崎刈羽の安全対策」を紹介した漫画
10月に改定された「放射線副読本」は、原発事故と書くべきところを、震災とか地震と記述しています。
13ページ目の図には
「震災前の平常時 0.04μSv/h)」
なんて注意書きがあります(2)。単位の表記が「μSv/h)」で、左側の「(」がありません。これは別にして、この表現では震災によって福島の放射線量が上がったような表現です。福島市の放射線量を見ると(7)、事故後も3号機が爆発する3月14日(8)までは、概ね毎時0.04〜0,05マイクロシーベルトで平常値でした。そして2号機が白煙を上げる3月15日(8)までは、毎時0.10マイクロシーベルト以下に収まっていました。二号機が白煙を出した後に急上昇し3月15日18時40分に毎時24.24マイクロシーベルトを記録しました。震災が起こっても、事故の影響がでるまでは平常時ないしはそれに近い値が継続しました。したがって「震災前の平常時」でなく「原発事故前の平常時」が正しい表現です。
15ページ目には「地震の後、外での運動を禁止されていた」とか「地震いらい、外での運動がせいげんされ」とかの表現が出てきます(2)。これでは、地震で地盤等が脆弱化して危険なので、「外での運動」が制限されたようにも読めます。
2011年4月19日に政府の「原子力災害対策本部」は福島県内の学校を対象に外での運動を制限することを求める文書をだしています。その中に
「福島第一原子力発電所の事故を受け」
との記載があります(9)。運動制限は地震の為でなく、原発事故の為に実施されました。
「地震の後、外での運動を禁止されていた」とか「地震いらい、外での運動がせいげんされ」
でなく
「原発事故の後、外での運動を禁止されていた」とか「原発事故いらい、外での運動がせいげんされ」
が正しい表現です。
「震災後、福島県内における先天異常の発生率等は、全国的な統計や一般的に報告されているデータと差がないことが確認されています」
との表現が14ページになります(2)。「先天異常の発生率等」確認が必要になったのは、「震災」でなく「原発事故」です。ですから「震災後」でなく、「原発事故後」が正しい表現です。なお、原発事故後に懐妊した赤ちゃんが生まれるであろう2012年ないしそれ以降に福島では
・合計特殊出生率が低下した。ただし他の被災県や全国平均は上昇した。
・自然死産率の上昇した。ただし全国平均は上昇していない。
・通常は男の子が多く生まれるに、全域ないしは大部分が計画的避難区域となった飯舘村、葛尾村では女の子が多く生まれるようになった。
などの現象がみられる事は既に記事した通りです(10)。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。改定された副読本(2)は他にもデマでいっぱいです。めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、放射線副読本(平成30年10月改訂)にまとめました(11)。よかったら見て下さい。
福島に関しては不都合な事実は無視され、いい加減な言い換えで誤魔化されます。これでは福島の皆様は不安だと思います。
もうすぐクリスマス。イチゴケーキを楽しみにしている方も多いと思います。福島でもイチゴの収穫が始まりました(12)。福島県福島市は福島県3位のイチゴ産地です(13)。同市産のイチゴは美味しいそうです(14)。福島県は福島産イチゴは「安全」だと主張しています(15)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。
※(16)を引用
図―2 福島産イチゴが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県福島市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2743.html
(1)国会事故調査報告書
(2)放射線副読本(平成30年10月改訂):文部科学省
(3)衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書
(4)政府事故調査報告書
(5)「原発停止回避で先送り」=津波対策、元幹部が説明−東電公判:時事ドットコム
(6)原子力発電所に質問です 柏崎刈羽原子力発電所の安全対策|東京電力ホールディングス株式会社
(7)平成22・23・24年度 県内7方部環境放射能測定結果 - 福島県ホームページ中の「平成23年3月、平成23年5月9日更新」⇒(PDF:87KB)
(8)福島第一原子力発電所事故の経緯 - Wikipedia
(9)福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について:文部科学省
(10)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、放射線副読本(平成30年10月改訂)―その19.福島での先天異常の発生率等は、全国的なデータと差がない。合計特殊出生率等に異常
(11)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、放射線副読本(平成30年10月改訂)
(12)真っ赤な『宝石』収穫最盛期 大きく、甘く、香りいぃイチゴ!:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(13)めげ猫「タマ」の日記 福島でイチゴの出荷始まる。汚染された主要産地の検査結果はありません。
(14)いちご狩り2018 – 一般社団法人福島市観光コンベンション協会公式ページ
(15)イオン福島店 | お買物情報やお得なチラシなど