大阪万博と日産の問題
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/53096353.html
2018年11月26日 在野のアナリスト
大阪に万博が決まりましたが、2兆円の経済効果などというのは眉唾です。7年後の経済情勢など誰にも分かりませんし、まず『いのち輝く未来社会のデザイン』というテーマそのものが古くて、興味が湧きません。日進月歩の最新技術を扱う見本市など山ほどあり、逆に公的なイベントでは出展していても時代遅れを感じさせるケースもある。特に長い準備のかかる万博では、顕著に時代遅れとなるか、もしくは達成見込みのないものばかり、となりかねません。テーマからは介護や、多様性に即した展示が増えそうですが、その多様性を否定する傾向のある維新ですから、尚のこと期待薄と感じます。 経産省が増税対策として自動車購入時の税率ゼロをめざしていましたが、それを撤回して恒久減税に舵を切る、といいます。これは当たり前で、キャッシュレス決済だと減税となってしまう現状では、購入時特典はメリットが薄い。そしてもう一つ、EVが一般的になるとガソリン車より部品点数も下がり、車検が楽になる一方で、バッテリーやモーターなど消耗の激しい、基幹部品の交換頻度が高くなる。維持費は上がる一方で、車離れを引き起こしかねません。恒久減税で購買を促進したい、が本音です。 車といえば日産の問題が未だ尾をひきます。しかし恥をかいたのが安倍政権で、世耕経産相が仏国で仏経済・財務相と会談して「政府は口をはさまず」と述べた後、仏政府から「3社連合のトップはルノーから…」との発言があり、早速齟齬をみせました。経産省は会談の共同プレスリリースを「協力関係を維持…強力にサポート」とするので、むしろ政府介入は高まった印象であり、世耕氏のみズレた発言をしていることになります。恐らく自由主義の旗を振る安倍政権が、国家介入を易々とゆるすと都合が悪い、という判断が世耕氏の発言ににじみでており、いつもの嘘で糊塗された印象操作の一環でしょう。実際には仏政府の介入を止められなかった、というのがプレスリリースから明らかです。 ゴーン前会長の捜査では、悪印象を与えて有罪にもちこみ易くする、いつもの検察の手口でもある捜査情報駄々洩れの状況です。120億円とされる有価証券報告書の虚偽記載という話も、実際に支払われたかどうかの実績については、よく分からず、将来の約束分であれば虚偽記載には当たらないはずです。家族の旅行代や各国にある別荘なども企業のガバナンスの問題であって、組織がそれを認めないとすれば私的流用ですが、当時のトップであるゴーン氏が役員会に諮って決定していたら、問題ない行為です。そうした細かい情報がほとんど分からないまま、有罪確定とするのは危険です。 ただこの国の司法は、すでに独立性を失って政治に牛耳られているため、有罪になるかどうかはむしろ外交問題次第でしょう。仏国では日本の陰謀説などが語られ、外交問題との認識も高まっており、外交関係を悪化させたくないと判断するなら、無罪の可能性すらあります。すでにその萌芽は世耕氏の態度や発言に垣間見られ、安倍政権の外交力不足は司法判断さえ歪めてしまう可能性もあります。むしろ自動車社会の未来図を踏まえた判断をとらず、3社連合を自然に瓦解させたいのかもしれません。 すでに海外ではドローンによる配送や、中東ではドローンに人が乗って取り締まりをしたり、タクシー代わりとする、などの活用がみられる。日本ではそうした点でも出遅れている。『いのち輝く未来社会のデザイン』どころか、日本の未来さえ怪しくなり、技術後進国に陥る恐れすらあるのです。むしろ人口も減って、山野が増える方向なら、大阪万博では『猪鹿が行く未来社会のデザイン』とした方が、日本の未来を描いた展示となってしまう、といえるのかもしれませんね。 |