設備管理部長から、津波の報告を受けたと東電元副社長、当該部長は来ないと証言
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2689.html
2018/10/20(土) 19:43:46 めげ猫「タマ」の日記
2007年から10まで、東京原発の津波対策を担当した当時の設備管理部長は(1)、政府事故調の聴取に対し
「「日本の地震学者、津波学者のだれがあそこにマグニチュード9がくるということを事前に言っていたんですか。」
と証言しています(2)。一方で、福島事故の刑事裁判で武黒元副社長は10月19日の公判で部下だった当時の原子力設備管理部長(故人)から津波について09年4〜5月ごろ報告を受けた旨を証言したそうです(3)。
先の震災で4つの原発が津波に襲われした。北から東北電力女川(4)、東京電力福島第一(5)、東京電力福島第二(6)、日本原電東海第二(7)です。このうち原子力緊急事態宣言が発令され(8)、周囲に避難指示が出されたのは東京電力の福島第一、第二だけです(9)。東北電力と日本原電の原子力発電所の周囲では避難指示が出ることなく乗り切れました。(=^・^=)はなぜ「東京電力」だけが?と思ってしまいます。
避難地域は東電原発周囲のみ
※(9)を引用
図―1 福島第一、第二周辺にだけ設定された「避難区域」
この疑問に対する東京電力の説明は「想定外」です。
2012年4月には
「今回の津波は、それまでの知見では想定できない大規模なものでした」
とのプレス文を発表しています(10)。(=^・^=)が東京電力の発表を調べる限りでは、このプレス分を訂正する発表を知りません。さらには、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の「安全対策」を紹介した漫画では福島事故について
「想定を上回る津波が過酷な事故への引き金となりました」
記載し、ここでも「想定外」を主張しています(11)(12)。
今も「想定外」を主張する東京電力
※(11)を引用
図―2 東京電力の「柏崎刈羽の安全対策」を紹介した漫画
でも、事故前に福島第一を襲った津波は想定されていました(14)。
※(13)を抜粋・加筆
図―3 2002年の津波想定(福島第一原発付近)
なぜか、福島第一原発付近の想定が消えていますが、周囲の溯上高で15mが想定されています。
貞観地震(じょうがんじしん)は、869年7月9日に、日本の陸奥国東方沖(日本海溝付近)の海底を震源域として発生したと推定されている巨大地震であで、地震の規模は少なくともマグニチュード8.3以上であったとされています。地震に伴って発生した津波による被害も甚大であったそうです(14)。 東北電力は貞観津波を想定し、女川原子力発電所の津波想定を海抜9.1m想定し,標高14.8mの場所に女川原発を作ることをきめたようです(12)(13)。
※(15)を抜粋・加筆
図−4 東北電力の津波想定
図で見てわかる通り「貞観津波」の波源は福島第一と女川の中間の位置ですので、同じ影響が福島第一にも起こることも十分に予想できると思います。
2007年の中越沖地震で東京電力柏崎刈羽がトラぶった(事故った)ことを受けて始まった再度のチェック(16)の為と思いますが、東海第二では2009年から防潮堤のかさ上げ工事を行い、このかさ上げの効果で先の震災で襲来した津波をなんとかしのぐことがでいました(7)。しかるに東京電力は福島第一の津波想定を約3mとしています(17)。
東北電力や日本原電は津波対策を実施し、大事故を免れたのに、東京電力は津波対策をとらず大事故を引き起こしました。
これについて、2007年から10まで、東京原発の津波対策を担当した当時の設備管理部長は(1)、政府事故調の聴取に対し
「日本の地震学者、津波学者のだれがあそこにマグニチュード9がくるということを事前に言っていたんですか。」
と証言しています(2)。津波が襲来する可能性を全く知らないような言い方です。ところが10月19日の福島事故をめぐる裁判で上司だった東京電力・武黒一郎元副社長は部下だった当時の原子力設備管理部長(故人)から津波について09年4〜5月ごろ報告を受けた旨を証言したそうです(3)。
福島第一原発吉田元所長(個人)の報告を報じる福島民報
※(18)を10月20日に閲覧
図−5 当時の原子力設備管理部長(故人)から津波について報告を受けた旨を証言を報じる福島民報
また、10月17日の公判では、別の部下の武藤栄元副社長が「2008年8月上旬に長期評価の内容とその取り扱い方、15.7メートルの想定を武黒元副社長に伝えた」との証言しています(3)(19)。
「最大15.7メートルの津波想定を武黒元副社長に伝えた」との証言を報じるFCT
※(20)をキャプチャー
図―6 「最大15.7メートルの津波想定を武黒元副社長に伝えた」との証言を報じるFCT
これについは「記憶にない」と武黒一郎元副社長と証言しているそうです(3)(20)。
武黒一郎元副社長の「記憶にない」との証言を報じるFCT
※(20)キャプチャー
図―7 武黒一郎元副社長の「記憶にない」との証言を報じるFCT
関係者の証言が食い違い、お互いに責任のなすりあいをやっているようです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。東京電力のもう一つの原子力である柏崎刈羽原子力発電所も2007年の中越沖地震で、「想定外」の揺れに襲われ、火災(21)や放射能漏れ事故(22)をお越し、新潟県の海水浴客が半減する等(23)の被害を出しました。
2007年の柏崎刈羽原発火災映像を放送したBSN
※(24)を転載
図−8 煙もくもく柏崎刈羽原子力発電所
東京電力はよほど「想定外」が好きなようです。裁判のやり取りを見ていると、少なくとも事故前は東京電力にとって「想定外」とは、科学的・技術的にみて想定できなかった事ではなく、諸般の事情で想定しなかったことに見えます。そして、最後は責任のなすりあいです。今、福島第一原発の3号機の核燃料搬出装置がトラぶっています。これについて福島県は東京電力に対し
「責任の所在を曖昧にしないように」
とくぎを刺したそうです(25)。東京電力の体質は事故で変わることはなかったのかもしれません。これでは福島の皆様は不安だと思います。
福島県福島市では、今、リンゴが食べごろです(26)。福島市産福島のリンゴは甘味が強く、果汁豊富で非常にジューシーです(27)。福島県は福島産リンゴは「安全」だと主張しています(28)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産リンゴはありません。
他県産はあっても福島産リンゴが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
※(29)を引用
図―9 福島産リンゴが無い福島県のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2689.html
(1)吉田昌郎 - Wikipedia
(2)政府事故調査委員会ヒアリング記録 : 原子力防災 - 内閣府)中の「吉田 昌郎 東京電力福島第一原子力発電所長 ⇒事故時の状況とその対応について 3 ⇒吉田 昌郎-5(PDF形式:845KB)
(3)武黒元副社長、危険性報告「覚えていない」 東電強制起訴公判:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(4)原子力発電所の安全対策 東日本大震災と女川原子力発電所 | 東北電力 ホームページ
(5)福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia
(6)福島第二原子力発電所 - Wikipedia
(7)東海第二原発は本当に危険な瀬戸際だった
(8)原子力災害対策特別措置法 - Wikipedia
(9)避難区域見直し等について - 福島県ホームページ
(10)今回の津波は、それまでの知見では想定できない大規模なものでした|東京電力
(11)原子力発電所に質問です 柏崎刈羽原子力発電所の安全対策|東京電力ホールディングス株式会社
(12)めげ猫「タマ」の日記 福島事故は「想定外」を主張し続ける東京電力、想定外がまた起きて柏崎刈羽も事故りそう
(13)予測された日本海溝津波地震 想定されなかった津波被害
(14)貞観地震 - Wikipedia
(15)めげ猫「タマ」の日記 福島原発事故は吉田所長の自作自演?
(16)3.3.2 原子力の安全の確保と安心の醸成 │ 資源エネルギー庁
(17)【120620】福島原子力事故調査報告書の公表について|TEPCOニュース|東京電力
(18)福島民報
(19)ローカルTime FNN被災地発...
(20)ニュース|福島中央テレビ
(21)柏崎刈羽原子力発電所 - Wikipedia
(22)柏崎刈羽原子力発電所6号機の放射性物質の漏えいについて|TEPCOニュース|東京電力
(23)[PDF]PDF形式 858 キロバイト - 新潟県
(24)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい東電原発(3月1週)―柏崎刈羽・安全審査の申請書を再提出―
(25)<福島第1>3号機・燃料搬出機器不具合 県、東電に再発防止要請 | 河北新報オンラインニュース
(26)旬のくだもの情報 – くだもの消費拡大委員会
(27)リンゴ – くだもの消費拡大委員会
(28)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(29)イオン福島店 | お買物情報やお得なチラシなど