ビジネス2018年10月12日 / 18:57 / 38分前更新
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政府・日銀、株安は「調整」 米中摩擦長期化なら試練も
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[東京 12日 ロイター] - 政府・日銀は、世界同時株安の様相が12日になって後退し、今回の市場変動は「調整」に過ぎなかったと受け止めている。ただ、株急落の背景には、米中貿易戦争の激化を懸念した市場の思惑があり、米中間の経済的緊張が長期化した場合、株価下落の波が日本にも押し寄せると懸念する見方もある。危機に発展しそうな状況になれば、経済成長と財政健全化の両立を目指す安倍晋三政権に試練となりそうだ。
今回の世界同時株安について、ダウ.DJIが10、11日の2日間で1300ドルを超す下落となり、東京市場の関係者は固唾を飲んで12日の東京市場を見守った。
だが、日経平均.N225は前日比103.80円高の2万2694円で引け、市場にはホッとした心理が広がった。こうした市場動向を受け、ある与党関係者は「今回の株価下落は一過性であり、健全な調整」と冷静に受け止めている。
震源となった米国経済の動向に関しても「現時点で本格的な減速トレンドに入ることは予想していない」(与党幹部)とみており、政府内にも新たな政策対応を模索する動きは皆無だ。
日銀も同様の受け止め方が多く、桜井真審議委員は11日の秋田市での記者会見で、日経平均が一時1000円を超える下落となったことについて「ファンダメンタルズは日米ともに健全で、企業収益もかなり好調だ」と述べた。
ただ、全面的に不透明感が消えたとは言えないという見方も、政府・与党内にはある。冒頭の与党関係者は、市場の一部にある早期の米中和解について、その可能性は低いと指摘。そのうえで両国間で展開される貿易戦争が長期化し、今は世界で最も好調な米経済に陰りが出て、市場が動揺するリスクを指摘する。
その与党関係者は、トランプ政権の対中高関税政策の結果、米国の消費者物価の上昇圧力が急速に強まり、米長期金利の上昇を加速させ、株価急落のリスクをさらに高めかねないと指摘。
同時に物価上昇によって、今は堅調な米個人消費が失速するリスクにも言及した。米経済の失速リスクの表面化は2019年にも想定され「日本経済や日本株に大きな打撃になることも予想される」と先行きの不安感に言及した。
仮にこのようなシナリオが現実化した場合、円安・株高による「アベノミクス相場」に支えられてきた安倍首相の政権求心力に悪影響が出るのではないかとの声も、政府・与党内にある。
別の与党幹部は「日経平均が2万2000円を割り込み、その後も回復しない状況が長引けば、『アベノミクス失敗』との声が党内に充満しかねない」とリスクシナリオの台頭に警戒感を示す。
また、世界同時株安をめぐっては、別の思惑もくすぶっている。安倍首相や菅義偉官房長官が「リーマン・ショック級の出来事がない限り、予定通り実施する」と繰り返し発言していることに関連し、世界同時株安が世界的な経済危機に発展した場合、19年10月の消費増税10%への引き上げが先送りされるという可能性だ。
ダウ平均
25052.83
.DJIDOW JONES INDEXES
-545.91(-2.13%)
.DJI
.DJI.N225
複数の与党筋は、消費増税延期とセットで19年夏の参院選が衆参同日選に変更されるシナリオに言及する声が自民党内にあると話す。
政府・与党の「静観発言」を額面どおりに受け止めることができるのかどうか──。今後の世界市場の動向次第では、日本経済の成長と財政健全化を両立できるか否かの正念場を迎えそうだ。
マクロ政策取材チーム 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/japan-stock-12-idJPKCN1MM11U
外為フォーラムコラム2018年10月12日 / 14:42 / 2時間前更新
コラム:
新トランプ貿易協定の先に見える「中国包囲網」
Andres Martinez
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[4日 ロイター] - トランプ米大統領は、再交渉を進めていた北米自由貿易協定(NAFTA)において、ようやくのことでかなり穏当かつ理にかなった改定にこぎつけた。
ただしトランプ氏は、この改定を、おぞましい協定を新たに素晴らしいものと取り替えたかのようにゆがめた形で発表している。
9月30日に決着した新NAFTAはまだ連邦議会の承認を待たなければならないが、「新」と称するのはごまかしである。従来のNAFTAに対する多くの修正点は、すでにオバマ政権が提唱した環太平洋連携協定(TPP)において想定されていたからだ。
この多国間地域貿易協定にはメキシコとカナダも含まれており、電子商取引から知的財産権まで包摂する規定は、先送りされていたNAFTAの改定としても機能していただろう。だがトランプ氏はTPPを放棄し、交渉担当者はNAFTAを救済するためにTPPを換骨奪胎する羽目になった。さらに新NAFTAには、米自動車産業を保護するためにトランプ政権が執着したいくつかの規定が含まれている。
トランプ大統領は今回の新協定について、「NAFTAの改定ではなく」、政権関係者は皆「USMCA(United States-Mexico-Canada Agreement、米国・メキシコ・カナダ協定)」と呼んでいると言うが、事情に通じた人々がこうした主張に概して疑問を投げかけるのは当然である。
個人的には実存主義に敬意を表し、順番を入れ替えて「CAMUS(カミュ)」と呼びたいところだが、現実には(ありがたいことに)、これはNAFTAの改訂延長版に他ならない。憲法も改正するたびに名前を変えるわけではないように。
とはいえ、トランプ大統領が今回のNAFTA改訂を、米国による世界との付き合い方の根本的な変更として、また中心的な選挙公約の実現として、自身の支持基盤に売り込むことができるという点を過小評価してはならない。
実際、「トランプ・リアリティー・ショー」におけるNAFTAの回は、(最初はメキシコに対する、次いでカナダのトルドー首相に対する)度を超えた憎悪に始まり、今般のハッピーエンドに至るまで、「トランプ流」について示唆に富む洞察を与えてくれた。また、今後のエピソード、特に中国に関係するクライマックスにおいてどのような展開が見られるかについても、有力なヒントを与えてくれる。
トランプ氏が見せる決定的な特徴2つが、対中国という重要な地政学的課題においても展開されるとすれば興味深い。
つまり、状況を悪化させておいて、その解決を自身の功績として主張するパターン、そしてロシアのプーチン大統領など外国の政治指導者に対して、離れたところからは好戦的な姿勢を示すのに直接会うときには妙にご機嫌を取り、下手に出るという傾向だ。
相手が中国であれ他の諸国であれ、外交において大胆な勝利を追い求めるという点に関して、トランプ氏には歴代の大統領に比べて有利な点が2つある。
第1に、競合する代替的な複数の物語が共存する時代において一方的に勝利を宣言することは、特にテレビのリアリティー番組で鍛えられた大統領にとっては、以前よりもはるかに容易になっている。
さらに、トランプ氏はいわゆる「マッドマン理論」の恩恵を受けることができるという事実がある。これは、最初はイタリアの政治思想家ニッコロ・マキャベッリによって唱えられ、後にニクソン米大統領のベトナム政策について語られた戦略だ。
その要諦は、何をしでかすか分からない不合理な敵に対しては、人や国家は妥協することに前向きになる、というものだ。もっと砕いて言えば、トランプ氏が戦術と長期的な戦略的利害の違いを理解していないように見えるせいで、彼が特定の問題についてより頑強な態度をとることが可能になっている、ということだ。
だからこそトランプ氏は、カナダや韓国との関係全般を悪化させることがなぜ愚策なのかという幅広い文脈に無頓着なまま、ささいな点に基づいて米韓貿易協定の再交渉を求めることもできたし(これは実現した)、カナダ政府による自国酪農業の保護にこだわることもできたのである。
興味深いことに、トランプ氏は10月1日に「(中国政府と)協議を行うのは時期尚早である。なぜなら向こうにその用意がないからだ」と発言した。だが、両国トップによる首脳会談に向けた用意がないとすれば、それはトランプ政権の側だ。
トランプ氏は引き続き、中国製品に対するさまざまな関税措置と、それに対する中国側の報復関税という形での対立をあおっている。米大統領選挙へのロシア介入を巡るモラー特別検察官の調査が山場を迎えつつあることから、習近平国家主席と顔を合わせての感動的な和解は、中間選挙後に取っておきたいと考えている可能性が高い。
NAFTAを巡る危機は仕組まれたものだったが、米国が中国に対して当然の不満を抱いていることは事実であり、状況がどのように展開するかは必ずしも明確ではない。中国が自国にとって痛手となる複数の選択を行うかどうかは、もっぱら同国の指導部にかかっているからだ。
中国と米国は実質的にグローバル経済における「G2」とも呼ぶべき柱であり、現状を維持する中で既得権を共有するという「ウィンウィン」のパートナー関係にある2つの突出した経済大国であるという、有力な、しかし過小評価されている主張がある。
だが、こうした「G2」体制とは相いれない、長年にわたって染みついた中国流の慣行もある。一部のセクターにおける保護主義、外資誘致に際しての合弁事業契約へのこだわり、知的財産権の軽視などだ。
世界貿易機関(WTO)に対する中国のコミットメントについては言うまでもない。今この問題を追及しているのは気まぐれな米国大統領かもしれないが、中国の指導者としても、自国が既存の秩序に挑戦する「ならず者大国」であり続けるのか、それともその秩序の主要な支援国、共同保証人となるのか、きっぱりと決断すべきときである。その両方であり続けることは不可能なのだ。
このところの緊迫した状況の軸になっているのは、中国が歴史的な妥協に踏みきり、信頼できる米国のパートナーになるのかという問いだ。
最も可能性の高いシナリオを示しておこう。
西側諸国は中国について、動じることなく長期戦を戦う一枚岩の断固たる国家だと考える傾向にあるが、貿易戦争という名の賭け金の高いポーカーにおいて、中国が持っている手札は米国に比べて弱い。今年、米中両国の株式市場が示している対照的なパフォーマンスがその証拠だ。また中国指導部は、別の面での妥協を図り、トランプ氏との和解による利点を模索する可能性が高い。
中国政府とのあいだで新たな和解が実現できず、断絶が明確になるというシナリオは可能性が低いが、その場合でもトランプ氏は、中国を封じ込める経済同盟の再活性化という形で、外交における勇敢な勝利を得ることができるかもしれない。
こうした同盟は、北米を日本、韓国その他のアジアにおける同盟国と結びつけるような貿易協定に基礎を置くことになる可能性が高い。これら諸国はあいかわらず、予測しにくい米国大統領よりも、中国が抱いている意図の方をはるかに強く憂慮しているからだ。
だが、中国の封じ込めを狙ったこのような太平洋地域の貿易協定が実現するとしても、それをTPPと呼ぼうとするべきではない。恐らく(日本と韓国を加えて)「JKCAMUS」と呼ぶことはできるだろうが。
*筆者は米アリゾナ州立大学ジャーナリズム・マスコミュニケーションスクールの教授。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/column-trump-trade-pact-idJPKCN1MM0FL
ワールド2018年10月12日 / 18:47 / 1時間前更新
米中通商協議、為替が議題に含まれるべき=米財務長官
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[ヌサドゥア(インドネシア) 12日 ロイター] - ムニューシン米財務長官は12日、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁に、今後の米中通商協議では為替問題が議題に含まれなければならないと述べ、最近の人民元の下落に懸念を表明したことを明らかにした。ロイターのインタビューで語った。また、両国の通商関係に均衡を取り戻すために、中国は具体的な「行動項目」を明示する必要があるとの認識を示した。
10月12日、ムニューシン米財務長官は、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁に、今後の米中通商協議では為替問題が議題に含まれなければならないと述べ、最近の人民元の下落に懸念を表明したことを明らかにした。ロイターのインタビューで語った。ブエノスアイレスで7月撮影(ロイター/Marcos Brindicci)
ムニューシン長官と易総裁は、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会の合間に為替問題について幅広く協議を行った。
長官は協議について「わたしは人民元の下落について懸念を表明した。今後のいかなる米中通商協議でも為替が議題とならなければならない」と強調した。
https://jp.reuters.com/article/mnuchin-treasury-renminbi-idJPKCN1MM10R