インドネシア津波 「最悪のシナリオ」が現実に
2018/10/02
BBC News
アナ・ジョーンズ、BBCニュース(シンガポール)
インドネシアでは毎日のように地震が起きるが、スラウェシ島中部パルを襲った揺れと津波の規模は地元住民にとっても科学者にとっても想定外だった。
9月28日に発生したマグニチュード(M)7.5の地震と津波による死者は、これまでに少なくとも840人が確認されたが、最終的な人数は数千におよぶ恐れがあると政府は言う。
複数の科学者はBBCに対して、地形やタイミング、事前警報が不十分だったことなどが合わさって、パルの被害は「最悪のシナリオ」とも呼べるものになってしまったと説明した。
危険な位置
地震は地球の地殻変動によって起きる。プレートがこすれ合ったり、互いの下に潜ったりするのが原因だ。この現象は始終起きているが、動きが大きかったり、人口密集地に近かったりすると、甚大な被害をもたらすことがある。
28日を通じてパルでは細かい揺れが続いていたが、午後6時過ぎにパル・コロ断層がいきなりずれた。震源は海岸から近く、深さわずか10キロで、M7.5の規模の揺れを引き起こした。
1995年からパル・コロ断層を研究してきたバンドン工科大学のハムザ・ラティーフ博士によると、パルは厚い土砂の断層の上に位置しており、これが揺れの影響を拡大させたと話す。
地震の際に岩盤は振動するだけだが、土砂層は液体のように大きく動く。もろい造りの建物はひとたまりもない。
「泥を運んで造成した埋立地は、岩盤と比べてもろい。どこでも同じだ」と、インドネシアに詳しい米国の地質学者、ジェス・フィーニックスさんはこう説明する。地震については「それが気にすべき点だ」とフィーニックスさんは言う。
予想外の大波
「少なくとも津波については、パル・コロ断層は通常ならあまり注目されない」と、シンガポール国立大学のフィリップ・リュウ・リファン教授は言う。
なぜなら、通常なら縦ずれ断層の方が津波が発生しやすいが、パル・コロ断層は横にずれているからだ。
「何が実際に起きていたのか、突き止めようとしている」とリュウ教授は話す。
可能性としては、地震によって海底で地滑りが起きて海水を動かしたことも考えられるが、断層の解析が不正確だった可能性もあると教授は言う。「まだよく分かっていない」。
しかし、波がいったん動き始めれば、長さ10キロの狭い入り江の奥に位置するパルは、なす術もなかった。
岸から遠い沖にいる間は津波はさほど危険ではないが、波が陸に近づくと海底の土砂を巻き上げる。
フィーニックスさんはツイッターで、「波は振幅(揺れの上下運動)と周波数(波の間隔)で計る。海洋上の津波は低振幅で低周波だが、時速965キロで移動することもある! 波が岸に近づくと、海底はどんどん浅くなる。それが危険だ」と書いた。
https://twitter.com/jessphoenix2018/status/1046438056654323713
ニュージーランド・オークランド大学の海岸地形学者、マリー・フォード博士は、地震と津波の前後の比較写真を投稿した。
https://twitter.com/mfordNZ/status/1046681290936741888
地震発生から短時間の間に、3つの波がパルに到達した。
フィーニックスさんは、地形と波の到達の速さがあいまって「つまり最悪のシナリオ」になったと話す。
「パルの入り江のようなU字型の地形の中に波が入り込んでくる場合、単に海が浅くなるに伴い波が高くなるというだけでなく、波が周りの海岸線からはねかえってくるすり鉢状態になる」
バンドン工科大学のラティーフ博士によると、パル周辺は以前にも津波被害を受けている。入り江の入り口では高さ3〜4メートルだった波が、パルに到達した時点では8メートルに達していたという1927年の記録が残っているという。
警報システムが役に立たず?
少なくとも約25万人が死亡した2004年のインド洋大津波の後、早期警報システムの確立に巨額の資金が投入された。
周辺一帯に設置された複雑なセンサー・システムを使い、地震が津波発生につながるのか専門家が判断し、住民に高い場所への避難を勧告できるように、仕組みを整えたはずだった。
インドネシア政府の国家災害防災庁によると、国の津波警戒にとって主要な要素だった海底センサーと連結したブイ観測網は、2012年以来、機能していなかった。担当者は、予算不足が原因だと説明した。
リュウ教授は、警戒システムは「機能しているともしていないとも言える」と話す。インドネシア政府の防災対策は主に、2004年に甚大な被害を受けた国の南部に集中してきたのだという。
今回の地震の後、津波警報は発表された。ただし、「警報の内容が正しく実践されたか、住民の耳に届いたかなど」の検証が待たれるとフィーニックスさんは話す。
海水がいきなり海岸から引いていく光景を眺めようと海岸に留まった人が、続いて押し寄せる波の犠牲になることは珍しくない。2004年のインド洋大津波以来、引き波を見たらただちに海とは逆の方向に走るよう、被災地の政府は住民教育に力を入れてきた。
BBCインドネシア編集長のレベッカ・ヘンシュキ記者が取材した男性は、海水が消えるのを目にしたため、家族を高い場所に走らせ、自分は近くにいた子供をつかんで木にしがみついたと話していた。
それでも、パルの海岸の周りには大勢の人が残っていたようだ。お祭りの準備をしていた人も多い。
「あの土地の人たちは、津波の威力をよく知っている。海辺で犠牲者が出たとしても、避難しようとしていたと思いたい」
「しかし高さ10メートルの波は、本当にかなりのものだ。ごく短い時間で全員を避難させるには、避難経路を相当はっきり表示していなくてはならない。インドネシアで調査した自分の経験では、避難ルートはことさらに明示されていなかった。パルそのものがどうだったかは承知していないが、大勢を素早く避難させるのは本当に難しい」
(英語記事 Indonesia tsunami: Palu hit by 'worst case scenario')
提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-45715025
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14112
スラウェシ地震死者1234人に=発生4日、略奪阻止を強化―インドネシア
10/2(火) 16:04配信 時事通信
スラウェシ地震死者1234人に=発生4日、略奪阻止を強化―インドネシア
インドネシア国家災害対策庁は2日、スラウェシ島を襲った大地震と津波に伴う死者数が1234人に達したと発表した。写真は同島パルで、衣料品店から略奪する人々=1日撮影
【パル(インドネシア)時事】インドネシア国家災害対策庁は2日、スラウェシ島を襲った大地震と津波に伴う死者数が1234人に達したと発表した。
1日の時点で同庁が確認していた844人から増大した。
9月28日の発生から4日がたったが、救助や捜索が進んでいない地域もあり、犠牲者数がさらに増える恐れがある。
AFP通信によると、国連人道問題調整事務所(OCHA)は、子供約4万6000人を含む19万人以上に緊急支援が必要だと訴えた。現地では食料や水が不足しているほか、病院も負傷者であふれかえっている。
こうした中、インドネシア警察は一部被災者による略奪行為への取り締まりを強化している。警察は2日、コンピューターや現金を盗んだとして、35人を逮捕したと明らかにした。
支援の遅れから住民のいら立ちは募っているとみられ、政府は1日に外国からの支援受け入れを発表したばかり。住民はAFPに対し「ジョコ大統領が視察に来たが、必要なのは食料と水だ」と不満を漏らした。
【関連記事】
〔写真特集〕インドネシア・スラウェシ島で大地震
教会で生徒34人の遺体発見=インドネシア・スラウェシ地震
「首まで水に漬かった」=70歳、木につかまり生還−インドネシア地震
必需品不足深刻、略奪相次ぐ=住民「危機的状況」−スラウェシ島被災地
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181002-00000076-jij-asia
インドネシア地震で1425人が脱獄 現地当局は1週間の猶予
8
1306
2018年10月1日 21時30分
インドネシア中部で9月28日、マグニチュード7.5の地震と津波があった
現地メディアによると、5カ所の刑務所から受刑者合わせて1425人が脱獄
現地当局は、家族の安否を確認するために1週間の猶予を与えるとしている
インドネシア地震で1400人以上が脱獄 1週間の猶予
2018年10月1日 21時30分 テレ朝news
インドネシア地震で1400人以上が脱獄 1週間の猶予
写真拡大
インドネシア中部で起きた地震で、被災地にある複数の刑務所から受刑者合わせて1400人以上が脱獄し、逃走を続けていることが分かりました。
インドネシア中部のスラウェシ島で先月28日、マグニチュード7.5の地震と津波があり、これまでに844人の死亡が確認されています。現地メディアによりますと、この地震によって5カ所の刑務所で壁が崩れるなどして、受刑者合わせて1425人が脱獄したということです。現地当局は、超法規的措置として家族の安否を確認するために1週間の猶予を与えるとしていますが、それを超えて逃走を続けた場合、逮捕するとしています。受刑者は、殺人や薬物関連の罪などで収監されていました。
テレ朝news
「海外の事件・事故」をもっと詳しく
失踪の中国女優ファン・ビンビンに「習近平氏側近の愛人」疑惑
ミクロネシア連邦で旅客機着水事故 1人の遺体を発見
救援物資届かず、食料求めて略奪も インドネシア地震
http://news.livedoor.com/article/detail/15385505/
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/620.html