福島第一汚染水の海洋放出にむけ、動き出した経産省
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2018/09/05(水) 19:38:51 めげ猫「タマ」の日記
東京電力福島第一原発汚染水の処分を巡り、政府の小委員会は30・31日に公聴会を開きました。多くが海洋放出への反対を表明し、タンクでの長期保管を求める声が相次ぎました(1)。これを受け、委員長は取材陣に「タンクでの長期保管の可能性も含めて今後議論する」と述べたそうです(2)(3)。福島県の地方紙・福島民報は「慎重な議論を求める声は強まっている。 」と報じています(4)。これに対し、経済産業省は「意見」の公募期間の延長(1)、福島第二の廃炉の促進(5)等の地元懐柔策を進め、汚染水の海洋放出の動きを強めています。
福島第一では 地下水がタービン建屋に流れ込んだり、海岸の井戸からタービン建屋に送り込んだ地下水で汚染水は増えていきます(6)(7)。放置すれば溢れてしまうので、汚染水を「タンク」に保管しています(6)。以下に汚染の量を示します。
※(8)を集計
図―1 どんどん増える福島第一汚染水
最新の発表(9)を集計すると東京ドーム(体積124万立方メートル(10)の一杯分に近い総量で約115万トンに達します。
東京電力は実質は経済産業省(資源エネルギー庁)が所管する国有企業です(11)。経済産業省は福島第一汚染水を将来的には貯め込まずある程度の浄化し、薄めて海に流すことを内々で決めているようです(12)。でも、直ぐに結論を出すわけにも行かず「小委員会」を立ち上げ(13)検討を進めている格好を取っています。その小委員会の公聴会が8月30・31日に開かれました。多くが海洋放出への反対を表明し、タンクでの長期保管を求める声が相次ぎました(1)。
公聴会中に小委員会の委員の一人からは、原子力規制員会から「タンクにためるのは除いて検討しろと」言われた旨の発言が出ました(14)。
※(14)をキャプチャー
図―2 (原子力規制員会から)「タンクにためるのは除いて検討しろと」いわれた旨を発言する小委員会委員
小委員会の委員長の山本一良・名古屋学芸大副学長は取材陣に「タンクでの長期保管の可能性も含めて今後議論する」と述べたそうです(2)(3)。
※(15)を9月1日に閲覧
図―3 汚染水の「長期保管」の検討を報じる福島県の地方紙・福島民友
さらには福島県知事の発言が微妙に変化しています。この件について8月20日の会見では、
「国と東電は現在の水の状況のデータを含め、環境や風評への影響を丁寧に説明してほしい」
との発言でしたが(16)、公聴会後の9月3日の会見では
「国、東電は声を受け止め、環境や風評への影響について議論と説明を尽くしながら慎重に進めてほしい」
にとの発言になりました(17)。「丁寧に説明」が「慎重に進めて」に変わりました。福島県の地方紙・福島民報は、汚染水の海洋放出について
「慎重な議論を求める声は強まっている。」
と報じ時ています(4)。
※(18)を引用
図―4 汚染水海洋放出について「慎重な議論を求める声は強まっている。」と報じる福島県の地方紙・福島民報
海洋放出が難しくなった感じです。
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は東京電力の経営再建の柱です(19)。ところが原子力規制員会からは実質的に福島第一汚染水の海洋放出の実施を適合性審査(安全審査ではない)の合格の条件にしています。このままでは、柏崎刈羽の審査合格(原発の審査は設置許可、工事計画認可、保安規定認可等があるが、柏崎刈羽が合格しているのは設置許可のみ)できず(20)、再稼働ができません。
経済産業省は汚染水の海洋放出の動きを強めています。まずは意見公募期間の突然の延長です。8月31日までだった意見公募期間を9月7日まで延長しました。
※(1)を引用
図―5 意見公募期間の延長を告知する経済産業省
この件は経済産業省のプレス発表(21)に掲載されておらず、知る人は少ないと思います。この件にかかわる人が、経済産業省の方から直接に聞くぐらいと思います。どのような方が聞く、聞いた方がどう理解するかは明らかだと思います。どのような意見が出るかも想像できます。あとは、全体の意見を取りまとめれば良いだけです。試合に負けそうになったので、突然に時間延長した感じです。
次に地元の懐柔策です。福島第二の廃炉が報じられました(22)。福島第二の廃炉方針について
「有力視される海洋放出に対しては、地元自治体も漁業者も『風評被害が再燃する』と反発している。今回の判断が処分方法決定に向けた『地ならし』との見方は根強い」
と報じられています(23)。
※(24)を転載
図―6 福島第二の廃炉は「トリチウム水(汚染水)の処理」と報じる福島のローカルTV局(FTV)
東京電力の廃炉表明から2ヵ月以上が経過したのですが、経済産業相は8月3日、東京電力が六月に表明した福島第二原発の全基廃炉方針に関し、廃炉の正式決定に向け東電を指導していく考えを示したそうです(5)。廃炉になれば原発が立地することによる交付金がなくかる可能性があります。福島第二が立地する楢葉町町長は従前に福島第1原発の立地町に交付金相当額が継続配分されていることに触れ「同じような形を取ってもらうよう働き掛けていきたい」と話しそうです(25)。当然ながら配慮されると思います。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
福島第一・第二原発が立地する4町(双葉、大熊、富岡、楢葉)の町長が8月3日に経済産業相を訪ねたそうです。そこで
「(福島第一汚染水は)海洋放出ありきではなく地元住民の理解を得て進めるよう要望した。」
そうです(26)。
※(26)をキャプチャー
図―7 「地元住民の理解を得て進めるよう要望」と報じる福島のローカルTV局(FCT)
住民の理解を得るのは無理です。経済産業省は福島産は「安全」であり、避ける行為を「風評被害」と言い続けています(27)。でも、福島の皆様は信用していないようです。
2017年産米の福島県郡山市の全量・全袋検査数は約125万件で、福島県最大です(28)。福島県郡山市は福島県最大のお米の産地です。同市産お米は「あさか舞」と言って美味しいお米だそうです(29)。勿論、「安全」だそうです(30)。でも、福島県郡山市のスーパーのチラシには福島産米はありません。
※(31)を引用
図―8 福島産米が無い福島県郡山市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2639.html
(1)多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会 (METI/経済産業省)
(2)トリチウム水公聴会日程終了 「長期保管も議論」放出反対受け委員長 | 県内ニュース | 福島民報
(3)トリチウム含む処理水「長期保管」加え検討 公聴会の意見受け:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(4)「慎重議論を」強まる声 トリチウム水の処分 | 県内ニュース | 福島民報
(5)廃炉正式決定へ東電指導 経産相、原発立地町に示す | 県内ニュース | 福島民報
(6)原子炉の安定化|東京電力
(7)報道配布資料|東京電力中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(8)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社ちゅの「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(9)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第367報)|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(10)東京ドーム (単位) - Wikipedia
(11)東京電力ホールディングス - Wikipedia
(12)賀茂明「『放射性物質を海に流す』安倍政権の方針は7年前から決まっていた」 (1/6) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
(13)福島第一原子力発電所における汚染水対策 (METI/経済産業省)
(14)ダイジェスト動画|ゴジてれ Chu!|福島中央テレビの「2018年8月31日(金)放送」
(15)福島民友新聞社 みんゆうNet −福島県のニュース・スポーツ−
(16)トリチウム水「丁寧に説明を」福島県知事 :日本経済新聞
(17)<福島第1原発>トリチウム水処分法巡り賛否意見 | 河北新報オンラインニュース
(18)福島民報を9月5日に閲覧
(19)経済インサイド】東電の浮沈握る「柏崎刈羽原発」再稼働 地元・新潟県民の不信感は解消できるのか(1/4ページ) - 産経ニュース
(20)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水公聴会日程終了 「長期保管も議論」へ、窮地に立つ東京電力
(21)ニュースリリース (METI/経済産業省)
(22)第二原発全基廃炉へ 東電社長、知事に表明 | 県内ニュース | 福島民報
(23)<福島第2廃炉>汚染水処分へ地元対策か | 河北新報オンラインニュース
(24)めげ猫「タマ」の日記 福島第二廃炉、狙いは柏崎刈羽の再稼働
(25)<福島第2原発>廃炉方針の工程具体化には時間 東電社長 | 河北新報オンラインニュース
(26)ニュース|福島中央テレビ
(27)風評に立ち向かう|福島復興|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁
(28)ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報
(29)郡山の味自慢「あさか舞」/郡山市
(30)JA郡山市の米「あさか舞」(コシヒカリ・ひとめぼれ)ネット通販サイト
(31)イトーヨーカドー 郡山店
9月6日追記
これについて、日本原子力学会など三十六の学会・協会でつくる福島復興・廃炉推進に貢献する学協会連絡会は9月5日に「住民の不安に応える必要がある」との見解を発表したそうです(A1)。
※(A2)を9月5日に閲覧
図―A1「住民不安に対応必要」と報じる福島県の地方紙・福島民報
いくら「丁寧に説明」しても、住民の不安は解消しません。福島県はずっと、福島産は「安全」、避けるのは「風評被害」と説明してきましたが、図―8に示す様に効果が出ていません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(A1)住民不安に対応必要 トリチウム水 | 県内ニュース | 福島民報
(A2)福島民報
(A3)福島県風評・風化対策強化戦略について - 福島県ホームページ