福島第一汚染水公聴会日程終了 「長期保管も議論」へ、窮地に立つ東京電力
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2018/09/01(土) 19:52:46 めげ猫「タマ」の日記
東京電力福島第一原発汚染水の処分を巡り、政府の小委員会は30・31日に公聴会を開きました。多くが海洋放出への反対を表明しまし、タンクでの長期保管を求める声が相次ぎました(1)。これを受け、委員長は取材陣に「タンクでの長期保管の可能性も含めて今後議論する」と述べたそうです(2)(3)。原子力規制は福島第汚染水の海洋放出を実質的に東京電力柏崎刈羽原発の適合性審査(安全審査ではない)の合格の条件にしています(4)。このままでは柏崎刈羽原発の再稼働ができなります。東京電力は窮地に立たされました。
福島第一では地下水が山から流れて来て、原子炉やタービン建屋に流入しています。あるいは海までに達しています。汚染されれば海に流せないので、これを汲みあげ浄化装置を通した後で海に流しています。ただし全ての放射性物質が浄化できる訳ではありません。東京電力はトリチウムは浄化できないとしています(5)。浄化しても排水基準(6)を満たさない汚染地下水は、タービン建屋に送っています(8)。
地下水がタービン建屋に流れ込んだり、海岸の井戸からタービン建屋に送り込んだ地下水で汚染水は増えていきます。
※(9)を集計
図―1 どんどん増える福島第一汚染水
最新の発表(10)を集計すると東京ドーム(体積124万立方メートル(11))の一杯分に近い総量で約115万トンに達します。汚染水は処理装置で中に含まれる放射能を低減していますが、すくなくともトリチウムは取り切れません(12)。以下に濃度を示します。
※(13)を集計
図―2 福島第一汚染水のトリチウム濃度
こちらいったんは下がったのですが、再び上昇し1リットル当たり200万ベクレルを超えてしまいました。法定限度は1リットル当たり6万ベクレルですので(14)、30〜40倍の高濃度です。これに対する原子力規制委の考えは「海洋放出」です(3)。
このままでは海には流せないので、汚染水タンクを作り続け保管しています(16)。そのうちに汚染水タンクの増設が困難になる日が来そうです。
柏崎刈羽原子力発電所は柏崎刈羽原発は新潟県にある東京電力の原子力発電所です(17)。ただし、東京電力は新潟に電気を供給しておらず(18)、福島事故も起こしました(19)。2007年の中越沖地震では、火災(17)や放射能漏れ事故(20)をお越し、新潟県の海水浴客が半減する等(21)の被害を出しました。
※(22)を転載
図−3 煙もくもく柏崎刈羽原子力発電所
東京電力は再稼働を目指し、原子力規制委に適合性審査(安全審査ではない)を申請しています(23)。適合性審査は「設置許可」「工事計画認可」「保安規定認可」等の段階があります(24)。昨年(2017年)12月27日に「設置許可」に合格しました(25)。ただし、それ以降は審査会合が開かれておらず(23)、「工事計画認可」「保安規定認可」はまだです。
昨年7月10日の第22回原子力規制委員会 臨時会議に東京電力社長が呼ばれ、
「福島第一原子力発電所の廃炉を主体的に取り組み、やりきる覚悟と実績を示すこと」
を求められました。当時の委員長は東京電力社長に対し
「福島第一原子力発電所の廃炉を主体的に取り組んで、きちっとやるという覚悟と実績を示していただくということです。これについて、私どもがこれまで1F(福島第一原子力発電所)の廃止検討会、更田委員を中心として随分議論して進めているわけですけれども、汚染水のトリチウムの問題、トリチウム処理水の排水の問題」
と発言しいるので(26)、「福島第一原子力発電所の廃炉を主体的に取り組み」には福島第一汚染水の海洋放出が含まれます。そして昨年9月20日の第38回原子力規制委員会で、ことことを柏崎刈羽原発の保安規定に盛り込むことが、安全審査合格の条件になりました。汚染水の海洋放出を実質に規定に記載する以上は「海洋放出」が柏崎刈羽原発の適合性審査の条件になりました。
適合性審査は6,7号機でなされていますが(23)、 6,7号機は合計で271.2万kWの出力があり(17)、稼働率を75%と見込むと(28)、年間178.2億kWh(271.2万×365×24×0.75)の発電が可能です。ガスタービン発電の燃料費は1kWh当たり13円だそうです(29)。東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働で年間2,316億円(178.2億×13)の燃料費が節約できます。東京電力からみれば柏崎刈羽原発は打ち出の小槌です。汚染水の海洋放出は東京電力の悲願です。
福島第二の廃炉が報じられました(30)。福島第二の廃炉方針について
「有力視される海洋放出に対しては、地元自治体も漁業者も『風評被害が再燃する』と反発している。今回の判断が処分方法決定に向けた『地ならし』との見方は根強い」
と報じられています(31)。
※(32)を転載
図―4 福島第二の廃炉は「トリチウム水(汚染水)の処理」と報じる福島のローカルTV局FTV
東京電力は実質的に経済産業省(資源エネルギー庁)が所管する国有企業です(18)。経済産業省は「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」を立ち上げ、福島第一原発の汚染水の「処分」方法を検討してきました(33)。その公聴会が8月30・31日に開かれました(1)。
ヨウ素129は植物、土壌、乳汁、動物組織などの生物圏に組み込まれます(34)。東京電力は「浄化装置」(多核種除去設備)で取り除けると主張しています(35)。ところが排水の法令基準(1リットル当たり9ベクレル)を超えるヨウ素129が度々、見つかっていると8月23日に報じられました(36)。そして開かれた公聴会では参加者の多くが反対を表明し、タンクでの長期保管を求める声が相次いつぎました(1)。これを受け、委員長の山本一良・名古屋学芸大副学長は取材陣に「タンクでの長期保管の可能性も含めて今後議論する」と述べたそうです(2)(3)。
※(37)を9月1日に閲覧
図―5 汚染水の「長期保管」の検討を報じる福島県の地方紙・福島民友
さらには小委員会は、原子力規制員会から「タンクにためるのは除いて検討しろと」言われたそうです(38)。
※(38)をキャプチャー
図―6 (原子力規制員会から)「タンクにためるのは除いて検討しろと」いわれた旨を発言する小委員会委員
さらに言えば、福島第一原発内の敷地はいっぱいかもしれませんが。これに隣接して中間貯蔵施設があります。用地買収はそこそこ進んでいるようですが、工事はこれからが大部分のようで(39)、今のところは更地が多いはずです。福島第一原発は大熊町と双葉町にまたがっていますが(40)、汚染水タンクはGoogle Map等で見ると大熊町側にあります。福島県と大熊町の了解がえられれば、中間貯蔵施設用地に汚染水タンクを作ることも可能です。もし(=^・^=)が福島県民なら、あるいは大熊町民でも汚染水の海洋放出よりは中間貯蔵施設内にタンクを作り保管を継続する方が「マシ」です。
福島第一汚染水の海洋放出は遠のいた感じがします。東京電力は原子力委の「海洋放出」の条件が満たせず、柏崎刈羽原発の適合性審査はなかなか「合格」しないかもしれません。せっかく知事が交代したの(41)。東京電力は窮地にたたされました。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
トリチウムは放射性水素です。福島第一のトリチウムは概ね「水」として存在します(42)。ただし、環境中に放出すれば光合成(43)を経て福島産に取り込まれます。福島産を食べればトリチウムを食べることになります。東京電力は飲んでも大丈夫と言っていますが、食べて大丈夫とは言っていません(42)。(=^・^=)なりに調べると、色々と議論はあるようですが「安全」と言い切るのは無理な気がします。ただし、汚染水タンクの増設工事は福島第一で働く下請けさんに「無理」がかかっているようです。過去には汚染水タンク増設工事で下請けさんが亡くなられています(44)。汚染か下請けんさんの危険か、どちらか「マシ」な方を選ぶしかありません。福島第一の「廃炉」はノンリスクではできません。リスクが小さくなる方を選択するしか「道」はありません。
汚染水海洋放出の議論を見ていると、まったく議論されていない事があります。(=^・^=)も記事にしていません。放出先です。放出先は「福島」で決まりです。ひどい話です。福島事故は国策の失敗です。汚染負担は福島の皆様に押し付けるのでなく、可能なら全国で平等に負担すべきです。汚染水の排水だって全国各地で実施するのが倫理的には正しいと思います。での、(=^・^=)の住む街の「海」捨てるのは絶対に反対です。なんとなく沖縄の基地移設問題(45)に構図が似ている気がします。そして沖縄に基地問題と同様に、福島の汚染は可能な限り福島に負担させ、全国には広げないのが安倍出戻り総理の姿勢だと思います。こんな総理では福島の皆様は不安だと思います。
9月に入り福島はそろそろ実りの「秋」です。福島県福島市ではブドウ(巨峰)の収穫が始まりました(46)。同市産のブドウはしっかりとした甘さが楽しめるそうです(47)。福島県は福島産はブドウ「安全」だと主張しています(48)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産ブドウはありません。
※(49)を引用
図―7 福島産ブドウが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2636.html
(1)多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会 (METI/経済産業省)
(2)トリチウム水公聴会日程終了 「長期保管も議論」放出反対受け委員長 | 県内ニュース | 福島民報
(3)トリチウム含む処理水「長期保管」加え検討 公聴会の意見受け:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(4)めげ猫「タマ」の日記 東電社長が新潟県知事に面会、動き出した柏崎刈羽再稼働
(5)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(6)サンプリングによる監視|東京電力
(7)報道配布資料|東京電力
(8)(7)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(9)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社ちゅの「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(10)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第367報)|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(11)東京ドーム (単位) - Wikipedia
(12)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(13)(7)中の「水処理設備の放射能濃度測定結果」
(14)サンプリングによる監視|東京電力
(15)第56回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(16)(15)中の「資料6:フランジ型タンクに関するリスク低減策の進捗[東京電力]【PDF:2MB】」
(17)柏崎刈羽原子力発電所 - Wikipedia
(18)東京電力ホールディングス - Wikipedia
(19)福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia
(20)柏崎刈羽原子力発電所6号機の放射性物質の漏えいについて|TEPCOニュース|東京電力
(21)[PDF]PDF形式 858 キロバイト - 新潟県
(22)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい東電原発(3月1週)―柏崎刈羽・安全審査の申請書を再提出―
(23)東京電力ホールディングス株式会社 柏崎刈羽原子力発電所(6・7号炉)審査状況 | 原子力規制委員会
(24)設計・建設段階の安全規制 | 原子力規制委員会
(25)第57回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会
(26)第22回原子力規制委員会 臨時会議 | 原子力規制委員会
(27)第38回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会中の資料1 申請者の原子炉設置者としての適格性についての確認結果(案)
(28)原子力発電所の設備利用率|発電所等データ|資料室(発電所運転データ他)|原子力情報センター(KNIC)|公開情報|原子力発電について|エネルギー|エネルギー・安定供給|関西電力
(29)化石燃料に依存する日本の電力事情(1):電力の88%を火力で作る
(30)第二原発全基廃炉へ 東電社長、知事に表明 | 県内ニュース | 福島民報
(31)<福島第2廃炉>汚染水処分へ地元対策か | 河北新報オンラインニュース
(32)めげ猫「タマ」の日記 福島第二廃炉、狙いは柏崎刈羽の再稼働
(33)福島第一原子力発電所における汚染水対策 (METI/経済産業省)
(34)ヨウ素の同位体 - Wikipedia
(35)汚染水の浄化処理|東京電力中の多核種除去設備による除去効果が見込まれる核種(PDF 20.4KB)
(36)<福島第1原発>処理水の放射性物質残留 ヨウ素129基準超え60回 17年度 | 河北新報オンラインニュース
(37)福島民友新聞社 みんゆうNet −福島県のニュース・スポーツ−
(38)ダイジェスト動画|ゴジてれ Chu!|福島中央テレビの「2018年8月31日(金)放送」
(39)中間貯蔵施設の概要|中間貯蔵施設情報サイト:環境省
(40)福島第一原子力発電所 - Wikipedia
(41)めげ猫「タマ」の日記 東電社長が新潟県知事に面会、動き出した柏崎刈羽再稼働
(42)2013年2月28日福島第一原子力発電所でのトリチウムについて(PDF 475KB)
(43)光合成 - Wikipedia
(44)めげ猫「タマ」の日記 福島第一汚染水、海洋放出は「安全」?
(45)琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
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(47)特産品情報 | 地区別くらし情報 福島地区 | JAふくしま未来
(48)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
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