米国務長官の朝鮮訪問を大統領が止めたが、朝鮮問題は米中問題であり、必然
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2018.08.26 櫻井ジャーナル
アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は8月25日の週に朝鮮を訪問する意向を示していたが、ドナルド・トランプ大統領は訪問するなと指示したという。朝鮮半島の問題と米中関係を一緒にしていると指摘する人がいるのだが、本ブログでは何度も書いてきたように、朝鮮半島の問題の本質はアメリカの対中国戦略にあるわけで、当然のことだ。同じことが沖縄の問題でも言える。
アメリカの対中国戦略とは、中国の属国化にほかならない。1991年にソ連を消滅させることに成功したアメリカ支配層の好戦派、ネオコンは翌年の2月に世界制覇のビジョン、ウォルフォウィッツ・ドクトリンを作成した。アメリカが唯一の超大国になったことを前提にして単独行動主義を打ち出し、残された国の中で最も警戒すべき国として中国を考えてアジア重視を決めた。単独行動主義を決めた直後、日本では国連中心主義に基づく樋口レポートが作成され、ネオコンは激怒してナイ・レポートにつながったわけだ。
そのドクロリン作成の中心になったポール・ウォルフォウィツ国防次官(当時)はその前年、イラク、シリア、イランを殲滅すると語り、アフガニスタン、イラク、シリアへの軍事侵略、イランへの経済戦争へつながる。
しかし、21世紀に入ってロシアが再独立したことでネオコンの戦略は破綻したのだが、ネオコンは「予定」を力尽くで実現しようとする。2014年2月のウクライナにおけるネオ・ナチを使ったクーデターもそうした試みだが、その結果、ロシアと中国を戦略的同盟国にしてしまった。
アメリカ支配層はロシアを脅す目的でミサイルをロシアとの国境周辺に配備しているが、同じように東アジアでは韓国や日本にミサイルを配備しつつある。アメリカは真の意味で朝鮮半島、そして東アジアに平和をもたらそうとは考えていない。
つまり、アメリカ支配層にとって朝鮮半島の「平和」とは、リビアのように軍事侵略で破壊して金正恩を殺すか、ドイツのように朝鮮半島全域を制圧して中国やロシアとの国境地帯にミサイルを配備、軍隊も入れるということだ。勿論、それを中国やロシアは認めない。逆に、それが実現しないならアメリカは平和に反対する。今回のトランプ大統領の発言はこうしたアメリカ支配層の意向を受けてのものだろう。
こうしたアメリカの戦略は、当然、日本にも影響する。中国とロシアが戦略的な同盟関係に入った以上、中国との戦争はロシアとの戦争につながる可能性が高い。自衛隊とアメリカ軍が北海道で軍事演習を行うのは必然だ。