イスラエル軍がガザをミサイル攻撃
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2018.08.10 櫻井ジャーナル
イスラエル軍がガザを百数十機のミサイルで攻撃した。ガザ側から同程度のロケット弾が撃ち込まれたことに対する砲撃だとされているが、パレスチナ側によると、戦闘態勢になかった戦闘員がイスラエル軍に殺害されたことに対する報復だという。
勿論、今回のミサイルの撃ち合いはイスラエルによるパレスチナ人を対象にした民族浄化の一場面にすぎない。シオニストはパレスチナを乗っ取るため、1948年4月4日に「ダーレット作戦」を開始、5月14日に「イスラエル建国」を宣言したが、それは前から住んでいたアラブ系住民を殺害し、追放する「ディアスポラ」にほかならなかった。
この「建国」でシオニストは予定した領土を確保できず、1967年の第3次中東戦争で支配地を拡大するが、それでも予定した地域を支配できていない。少なくとも、南はナイル川から北はユーフラテス川までをイスラエルの領土にしようとしていると考えられている。「大イスラエル」の構想だ。当然、イスラエルはガザやヨルダン川西岸にパレスチナ人の国を作らせるつもりはない。シリア領のゴラン高原も自分たちのものだと思っている。
こうした戦略に基づき、イスラエルはガザを海上封鎖してきた。数ある戦術の中で最も残虐だとも言われる兵糧攻めだ。イスラエルはパレスチナ人に対して戦争を続けてきたのである。
そうしたパレスチナ人弾圧に抗議、医療物資を運んでガザへ向かっている「自由船団」のアル・アウダ(帰還)とフリーダムをイスラエル軍は拿捕、乗っていた人びとを拘束した。その際、イスラエル兵はテーザー銃(ワイヤー付きの電気銃)で乗組員の身体を麻痺させ、棍棒で殴打したとされている。
そのイスラエルはシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒し、傀儡体制を樹立させようとしてきた。そのため、アメリカ、サウジアラビア、イギリス、フランスなどと手を組み、サラフィ主義者(タクフィール主義者、ワッハーブ派)やムスリム同胞団を中心とするジハード傭兵を地上軍として送り込んだ。リビアと同じように、地上軍はジハード傭兵、空軍はNATO。
ところが、シリア政府軍、イラン軍、ロシア軍はこの連合軍を粉砕してしまった。中国もシリア政府側について戦うとも言われている。しかも、ジハード傭兵に替わる手先と考えていたクルド勢力もアメリカから離れているとする情報がある。戦闘がアメリカ側のシナリオ通りに進んでいないことが影響している可能性がある。トルコはそうだった。
アメリカやイスラエルにとって平和な状態は好ましくない。中東の支配構造をイスラエル中心に作り替えるためには戦乱が必要だ。イスラエルはガザを戦争の火種と考えているようにも見える。