日銀の「出口戦略」とは、金融政策を「緩和」から
「中立」に戻す「出口」に進む戦略の事である !
自公政治家・NHK等が隠蔽・誤魔化す、
安倍政治・アベノミクスの深層・真相は ?
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2018/08/01より抜粋・転載)
────────────────────────────────────
1)日銀:金利は経済・物価情勢等に応じて、
上下にある程度変動しうるものとする !
日銀は、7月30─31日の金融政策決定会合で、長期金利の誘導目標を「ゼロ%程度」とする方針を維持した一方、「金利は経済・物価情勢等に応じて、上下にある程度変動しうるものとする」と明記した。長期金利の誘導目標が、引き上げられるとの観測が生じていたため、「セロ%程度」の方針が維持されて、長期金利が反落した。
ドル円もドル下落=円上昇を見込んだ、ドル売り持ちの巻き戻しが生じて、逆に、ドルが値を戻した。
しかし、8月1日の市場では、日本国債が売られ、債券利回りが、上昇している。
だが、現時点では、まだ、ドルが下落していない。日銀の「出口戦略」が、意識されている。
2)日銀の「出口戦略」とは、金融政策を「緩和」から
「中立」に戻す「出口」に進む戦略の事である !
「出口戦略」とは「量的金融緩和政策」を終了し、金融政策を「緩和」から「中立」に戻す「出口」に進む戦略のことである。
2007年から2009年にかけて、世界の金融市場を、サブプライム金融危機が襲った。
米国発で、株価が暴落し、金融恐慌の不安が広がった。
この事態に、米国のFRBが、量的金融緩和政策で対応した。
これが「量的金融緩和政策」の出発点で、米国は、異例の金融緩和政策発動で、金融危機を回避した。
3)米国の量的金融緩和政策で、株価が反発し、金融危機が回避された !
米国の量的金融緩和政策で、株価が反発し、金融危機が回避された。連動して、米ドルは下落した。
対日本円では、2011年に1ドル=75円の安値を記録した。
この米国を後追いするかたちで、日本が、2013年から、量的金融緩和政策を、大幅に拡大した。
日本円は、対ドルで下落して、1ドル=78円から1ドル=125円へと推移した。
2012年12月に第2次安倍内閣が発足したが、安倍晋三氏は、円安誘導、インフレ誘導のための金融緩和政策強化を主張した。
2013年の日銀人事では、インフレ誘導を目標に掲げて、日銀幹部を刷新した。
4)黒田総裁等は、2年以内に消費者物価上昇率を
前年比2%以上の水準に引き上げる事を公約した !
黒田総裁、岩田規久男副総裁の日銀新幹部は、2年以内に消費者物価上昇率を前年比2%以上の水準に引き上げることを公約し、量的金融緩和政策を強化していった。
私は、2013年夏に、『アベノリスク −日本を融解=メルトダウンさせる7つの大罪−』
(講談社):http://goo.gl/xu3Us:と題する著書を上梓した。
このなかでインフレ誘導政策について論述した。
5)2013年の著書で、インフレを実現すると公約したが、
その根拠が希薄である事を指摘した !
日銀は量的金融緩和政策実施でインフレを実現すると公約したが、その根拠が希薄であることを指摘した。
詳細は上掲書にあたっていただきたいが、要点をかいつまんで記述すると、日銀が短期金融市場残高を膨張させても、マネーストックが増大する保証はなく、したがって、インフレ率が上昇する保証もないことを強調した。
そして、実際に、黒田−岩田日銀は、インフレ誘導を実現できずに現在に至っている。
本年4月発表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」ではついに、達成時期そのものの表現が削除された。量的金融緩和政策の結果、日銀資産が膨張している。
―この続きは次回投稿します―
(参考資料)
安倍政権は、大資本・富裕層だけを優遇し、
大衆をイジメ・搾取する、大悪政をしてきた !
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2018/07/22より抜粋・転載)
────────────────────────────────────
◆安倍政権下、日本経済は、実感だけでなく、
数字の上でも著しく悪くなっている !
日本経済は実感だけでなく、数字の上でも著しく悪くなっている。
雇用者数は、2013年1月の5513万人から2018年1月の5880万人へと367万人増えた。
しかし、増加した雇用者数の内訳をみると、正規労働者の比率は、26.3%で、非正規労働者が73.7%を占めている。
雇用者数が増えたのは、事実だが、増えた雇用者の4人に3人は、「非正規労働者」なのだ。
◆安倍政権下、増えた雇用者の4人に3人は、「非正規労働者」である !
そして、一人あたりの実質賃金は、第2次安倍内閣が発足したのちの期間だけで、約5%も減少した。
経済全体のパフォーマンスが、東日本大震災・福島原発大事故のあった、民主党政権時代よりも大幅に悪く、一人あたりの実質賃金が、横ばいから5%減少に転じた。
これがアベノミクスの成績表・実態なのだ。
その一方で、はっきりと良くなったのが、大企業の収益である。
◆大資本優遇・安倍政権下、大企業収益だけは、史上最高益を更新してきた !
大企業収益だけは、史上最高益を更新してきた。
したがって、大資本の株主と超富裕層は、アベノミクスを絶賛しておかしくないが、圧倒的多数の労働者は、アベノミクスを糾弾するのが正しいのである。
このまま進めば、日本の労働者階層は完全に日干しにされてしまうだろう。
安倍内閣がこの国会で強行制定した「働かせ方改悪」で、労働者の処遇はますます悪化する。
「働かせ方改悪法」は、過労死水準の長時間残業を合法化し、正規労働者と非正規労働者の格差を是認し、残業代を払わない長時間残業させ放題の新たな制度を導入することの三つを柱とするものだ。
◆安倍内閣は、日本の労働者を、最低のコストで、
使い捨てにする制度を推進してきた !
要するに、安倍内閣は、日本の労働者を、最低のコストで、使い捨てにする制度の創設に全力を注いでいるのである。
したがって、大資本の株主が安倍内閣を支持するのは当然だろうが、一般の労働者、一般市民が安倍内閣を支持することは愚の骨頂である。
実質賃金が、1996年をピークにして、20年間で14%も減少した衝撃の事実を示したが、これと整合的に推移してきたのが、日本の税収構造である。
消費税が導入された、1989年度の国税収入は、約55兆円である。
2016年度の国税収入規模は、約56兆円で、ほぼ同額である。
◆消費税導入後、27年間、高額所得者・大企業の
所得税・法人税を激減させてきた !
この27年間に生じた変化は、所得税の年額が4兆円減り、法人税の年額が9兆円減った一方で、消費税の年額が14兆円増えたことである。
消費税だけが、年額で14兆円もの増税になっている。
法人税は、年額で9兆円もの大減税が実施されてきた。所得税も年額で4兆円の減税になっている。
◆所得がゼロの国民にも負担させる、消費税は、
年額で14兆円もの増税になっている !
消費税は、所得がゼロの国民にも税負担をかけるものだ。
所得税の場合には、年収300万円程度までは、無税である。
所得の少ない人には税金を課さない。なぜなら、生活が立ち行かなくなるからだ。
しかし、消費税は、所得がゼロの市民、年金生活者からもむしり取る税金である。
この消費税を年額で、14兆円も増税してきた。
他方で、法人税は、年額で9兆円も減税してきた。
◆所得税の超過累進税率が改悪されて、
高所得者の税率は減少させてきた !
所得税は、所得が増えるほど税率が上昇することになっている。
超過累進税率という制度が採用されている。
高所得者ほど税金を負担する能力が高いから、高所得者には高い税率を適用するのである。
ところが、実際に調べると、所得が1億円を超えると、税率がどんどん下がっていることが判明している。高額所得者ほど、金融資産からの所得の比率が上がる。
◆利子配当等には、20%の分離課税が認められているため、
富裕層の税負担率が大幅に低下している !
利子配当や、株式譲渡益については、20%の分離課税が認められているため、富裕層の税負担率が大幅に低下しているのだ。
明白な金持ち優遇税制が大手を振ってまかり通っている。
その一方で、生活が成り立たない国民から税金=酷税をむしり取っているのだ。
安倍内閣は、2012年に、5%だった消費税率を、8%に引き上げた。
2019年には、さらに、10%に引き上げる方針を示している。
◆安倍政権は、大資本・富裕層だけを優遇し、
大衆をイジメ・搾取する、大悪政をしてきた !
庶民を殺し、ハゲタカと1%の富裕層だけを優遇する政権、それが安倍内閣である。
したがって、安倍内閣を早期に退場させなければ、大多数の日本国民は日干しにされる。
客観的な統計数値が、この事実を明白に示している。
この事実を知って、なお安倍内閣を支持する一般市民は愚かと言うほかない。
市民が力を合わせて、安倍内閣を退場させ、市民のための政権を樹立するべきである。