1億3000万円を脱税 大阪たこ焼き店“ボロ儲け”のカラクリ
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2018年7月27日 日刊ゲンダイ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
“粉もん”って、そんなに儲(もう)かるものなのか……。
大阪市の大阪城公園で営業するたこ焼き店「宮本茶屋」の売り上げを申告せず、脱税した所得税法違反容疑で、宇都宮タツ子経営者(72=同市西成区)が大阪国税庁から大阪地検に告発され、26日、同地検に在宅起訴された。
宇都宮経営者は2014〜16年の間、店の売り上げで得た約3億3000万円の所得を申告せず、約1億3200万円を脱税した疑いだ。
3年間の売り上げは、5億円以上あったとみられている。大阪城の管理会社関係者はこう話す。
「宮本茶屋は、とにかく立地が最高なんです。大阪城の本丸に出入りできるのは、北側の極楽橋か南側の桜門の2カ所だけで、宮本茶屋は桜門の目の前で、豊国神社の土地を借りて40年前から営業している。昨年秋に、本丸内に飲食店の入ったショッピングビルができたものの、露店で食べ物を出す店は、この辺りでは同店だけ。まさに独占状態で、多くの観光客が立ち寄ります」
外国人観光客の増加も売り上げアップを後押しした。大阪市によると、本丸にある天守閣の17年度の入館者数は約275万人で、前年比7%増。3年連続過去最高を更新している。3年前の14年度と比べると49%増で、約1・5倍増だ。入館者数の半数が外国人だという。
インバウンドの恩恵を大いに受け、外国人観光客が一皿8個入り600円のたこ焼きを求めて大行列をなし、ここ数年で宮本茶屋の売り上げは激増したというわけだ。
大阪城近郊にある、別のたこ焼き店店主もこう明かす。
「ウチの店もここ2、3年、外国人のお客さんがぎょうさん増えて、日本人客より多くなったわ。ただウチの場合、お好み焼きの方が人気があるかな。宮本サンとこは、たこ焼き以外にも、焼きそばやお好み焼き、ラーメン、ソフトクリーム、かき氷とかいろいろやっとるから、外国人にとっては珍しいんとちゃうかな」
原価が安いぶん、うまみも大きい。
「一般的に食堂やレストランの原価率は、平均すると約40%といわれますが、たこ焼きは約30%です。また宮本茶屋が扱うような“屋台系”の食べ物は、総じて原価率が低いものばかりです」(飲食業界関係者)
72歳の女経営者は、「急激に売り上げが上がり、申告が漏れてしまった。今後は税理士を付け、適正に処理する」などと釈明しているようだが、一皿600円なら、単純に22万皿分を脱税した計算になる。うっかりでは済まされないが、まさか国税に目を付けられているとは思ってもいなかったのだろう。