米朝会談後の円売り、株高?
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/53067557.html
2018年06月13日 在野のアナリスト
昨日の米朝首脳会談、トランプ大統領は金正恩委員長を激賞していましたが、1年半前に同じように激賞されたのが、安倍首相でした。それが今では頻繁に連絡はとれるものの、体のいい財布としか見られておらず、刺したはずのクギもすぐ抜けてしまった。早くも菅官房長官がIAEAの査察再開に向けた初期費用を負担する用意、としましたが、そもそも核不拡散に同意していない北朝鮮が、IAEAの査察をうけるかどうかも疑問です。
しかも問題は、北朝鮮原発はソ連型黒鉛炉である点。日本でも廃炉に向けた研究もすすみますが、すべて軽水炉です。つまり非核化にむけ、原発を廃炉にするとしても日韓にはその技術すらなく、お金をだすだけになりかねません。非核化のコスト…毎年の財政負担を求められるとしたら、それは日本の財政上の懸念になりかねません。
米国では軍需産業の株が急落したように、意外なことに市場は和平にむけた動きとして好感しています。株も為替もほとんど動きませんでしたが、これは中央銀行Weekということも影響したとみられます。ただ最近の為替は、謎の円安ともされる動きをくり返しており、材料がないのに時おり対ドルで大きな円売りが入る。短期スジという話もありますが、株と連動したいつものCTAではないので、その説明には違和感しかありません。
あくまで憶測と噂を交えた個人的な感触では、FOMCで年4回の利上げは織りこみ済み、ただ来年の利上げ見通しを引き下げる、その観測に賭けた動き。もう一つは、欧州は9月で緩和の期限を迎えますが、欧州は再び景気が鈍化しており、年末まで緩和を引き延ばす、という観測に賭けた動きではないか? ただし、これらもピンとこないのは、欧米勢というより国内勢によって、今回の動きは引き起こされていると思われるからです。
気になるのは、以前取り上げたインド太平洋地域に5.4兆円、という話もドル建てでの調達です。ドルで調達してドルで支払うのだから、問題ないと思われがちですが、ドル建ての方が金利が高くつくので、低金利の円建ての方が安く調達できるはずです。元々、こうした資金調達は国内勢が出資するのですから、円建てでも構わないはず。それをドル建てにしたのは、日本の金融機関への支援の名目があるのでは? そして、3年で5.4兆円を用立てるため、せっせと日本の金融機関が円を売ってドルを買っている、と噂されるのです。
またそれに、北朝鮮支援の資金調達が加わるなら、巨大な円売り需要が発生するのかもしれません。しかしこうした動きに持続性はない。ただし、それを裏付ける動きもある。日本は4月機械受注が良好でしたが、法人企業景気予測では4-6月期が悪かった。元々、日本では1-3月期は一過性で悪いものの、4-6月期は回復するシナリオだった。7-9月期には上向く、といっても回復が四半期一つ分、ズレるかもしれない。国内景気は弱く、円が強くなりようがない。原油高も一時より下がったといえ、WTIは65$台なので、これも経常黒字の分を下げてくる。何より法人企業景気予測でも原油をはじめとするコスト高を問題視しており、その解消がないと7-9月期も怪しい、となってしまうのかもしれません。
運用難だから株高、皮肉な結果が今は株価を押し上げる要因なのかもしれません。それは円売り材料も同じ、市場原理には基づかない取引が、今後も増えるのかもしれません。しかしそうしたものも、海外の中央銀行の動きによって覆されるかもしれない。そのときは日本が大きな痛手を被ることでしょう。今は説明のつかない動きが増えており、それが正しい価値なのか? 今の市場は非核化ならぬ非価格化という事態が起きてしまっているのでしょうね。