韓国と北朝鮮は米攻撃を避けるため融和政策をさらに進める 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/228864
2018年5月12日 日刊ゲンダイ
左からトランプ大統領、金正恩委員長、文在寅大統領(C)AP
朝鮮半島を巡る動きは刻々と変化している。
7〜8日にかけて、北朝鮮の金正恩委員長が3月に続いて2度目の中国訪問で、習近平国家主席と会談した。そして、9日にはポンペオ米国務長官が再訪朝した。6月上旬にも行われるとみられる米朝首脳会談に向けて、米韓中の間で激しい駆け引きが続いている。
米国が北朝鮮に求めているのは「完全かつ検証可能、かつ不可逆的な核兵器開発の放棄」であり、「交渉の長期化もしない」という方針である。これに対し、北朝鮮がどう対応するか。これまでに具体策は何ら明らかにしていない。
私は、北朝鮮が「完全かつ検証可能、かつ不可逆的な核兵器開発の放棄」を行うことはないと思っている。
北朝鮮自身が説明していることだが、過去の歴史を見ると、イラクのサダム・フセイン大統領やリビアのカダフィ最高指導者が核兵器開発を放棄した後に、米国に武力攻撃された事例がある。米国が北朝鮮に武力攻撃を絶対行わないことを納得させられない限り、核兵器の放棄はあり得ない。
問題はここからである。米朝会談では次の3つの展開の可能性がある。
@米国が再び、武力攻撃をちらつかせて、北朝鮮に圧力をかけ続ける
A何らかの合意の体裁を整える
B交渉を継続する
ボルトン国家安全保障担当補佐官は「交渉しても意味がない」と主張しているが、現在、交渉の中心を担っているのはポンペオ新国務長官である。CIA長官時代、北朝鮮に乗り込み、金正恩委員長と直接対話した人物だ。ポンペオの北朝鮮入りは、通常の中国経由ではなく、在韓米軍基地から乗り込んだといわれている。この時点で、米国と北朝鮮の間には、我々の知らない意思疎通のルートが存在していることを示している。
仮に「交渉しても意味がない」とトランプ大統領が席を立った時、南北朝鮮はどのように対応することが考えられるだろうか。南北とも米国の武力攻撃を避けたいという思いは同じである。これを避ける道は南北が和平の道を米国の態度と関係なくどんどん進めていくことしかない。世界にその状況を示し、米国以外の国々が理解を示せば、米国が無視して武力攻撃を仕掛けるのは難しいだろう。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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— 改憲阻止へ ツイート共有の変革 (@C6rqlSIxgsuQ1Cd) 2018年5月11日
韓国、北朝鮮は米国の武力攻撃を避けるためにさらなる融和政策を進める
— KK (@Trapelus) 2018年5月11日
北朝鮮自身が説明していることだが、過去の歴史を見るとイラクのサダム・フセイン大統領やリビアのカダフィ最高指導者が核兵器開発を放棄した後に米国に武力攻撃された事例がある
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