米中央軍司令官はイスラエルで米軍がシリアからすぐに撤退することはないと伝えた
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201804250000/
2018.04.26 櫻井ジャーナル
アメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官が4月23日にイスラエルを訪問、同国の治安機関や軍のトップに対し、アメリカ軍がすぐにシリアから撤退することはないと語ったと伝えられている。3月29日にドナルド・トランプ米大統領はシリア軍をシリアからすぐに撤退させると発言していた。
このトランプ発言の直後、ニッキー・ヘイリー国連大使は目的を達成するまで、つまりシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒して傀儡体制を樹立するまでアメリカ軍を撤退させないと主張、ワシントン・ポスト紙には、アメリカ軍のシリアからの撤退は同国の石油支配権をイランへ渡すことだと大統領を批判する記事が掲載された。
そうした中、アル・カイダ系のアル・ヌスラと連携しているジャイシュ・アル・イスラムやアル・カイダ系武装集団と一心同体の白いヘルメットは4月7日、ドゥーマで政府軍が化学兵器で住民70名以上を殺したと宣伝しはじめた。例によって証拠は示されず、西側の政府や有力メディアは調査をすることなくシリア政府を批判するキャンペーンを開始する。4月8日にはホムスにあるT4空軍基地をイスラエル軍の2機のF-15がミサイルで攻撃した。
シリアやロシアの政府は化学兵器による攻撃はなかったと主張したが、国際連合の機関であるWHO(世界保健機関)は化学兵器の使用で多くの犠牲者が出ているとする声明を出した。この機関がパートナーと呼ぶ団体の情報に基づく判断のようだが、そのパートナーの中に含まれているMSFMSFは白いヘルメットを訓練している。
そして4月14日早朝、OPCW(化学兵器禁止機関)の調査チームが現地を訪れる直前にアメリカ、イギリス、フランスの3カ国はシリアをミサイル攻撃したのだが、その後にドゥーマへ入って調査したOAN(アメリカのケーブル・テレビ局)の記者やイギリスのインディペンデント紙のロバート・フィスク特派員は化学兵器が使われた痕跡はないと報告している。
また、ロシア系のRTは西側の有力メディアが化学兵器の被害者だとして報道した子どもとその父親を取材、その親子は化学兵器が使用されたという話を否定している。その後OPCWは現地へ入り、やはり化学兵器が使用された痕跡はないとしている。なお、OPCWの現地入りは国連の危険だとする主張で遅れたのだが、これをシリア政府やロシア政府の妨害だとする人もいたようだ。
'They gave dates & cookies to kids at Douma hospital' – father of ‘chem attack’ victim
化学兵器の使用を口実にしてアメリカ軍などが直接シリアを攻撃するというプランは遅くとも2012年8月にできあがっている。その年の12月になると、自暴自棄になったシリアのバシャール・アル・アサド大統領が化学兵器を使う可能性があると国務長官だったヒラリー・クリントンが主張する。そして翌年の1月、アメリカのオバマ政権はシリアでの化学兵器の使用を許可し、その責任をシリア政府へ押しつけてアサド体制を転覆させようとしているとイギリスのデイリー・メール紙が報道した。
2012年8月にはアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)がシリアの反政府軍はサラフィ主義者(ワッハーブ派)、ムスリム同胞団、アル・カイダ系のAQI(アル・ヌスラを実態は同じだとDIAは報告している)であり、バラク・オバマ政権の反政府勢力への支援はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配圏を生み出すことになると報告している。これは2014年以降、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)という形で現実になった。その年にマイケル・フリンDIA局長は解任されている。
シリア占領をアメリカ軍からサウジアラビアなどアラブ各国の軍隊へ交代させようという話も伝えられているが、占領を続けることは難しいだろう。支配階級がアメリカに守られているアラブの国々がカネを出し、アメリカ、イギリス、フランスの軍隊が占領を続ける可能性もある。実際、油田地帯をはじめアメリカはシリア国内に軍事基地を建設、その数は20程度に達しているとも言われている。