米英仏がミサイル100発超でシリア攻撃 !「第二のキューバ危機」になり得るか ?
軍産複合体の深層・真相は ?
(gunosy.com :2018/04/15より抜粋・転載)
シリアの現地時間で、4月14日午前4時頃、米英仏3か国が、アサド政権に対して軍事行動を行った。
攻撃に参加した3か国は、アサド政権が、現在も保有する首都ダマスカスなどの、化学兵器関連施設に対し、空対地ミサイルなどを用いた、精密攻撃を実施した。
シリア軍も地上から応戦したが、攻撃から間もなくして行われた、米国防総省(ペンタゴン)の記者会見では、標的となった施設の破壊は、完了したと発表されている。
シリア国内で、アサド政権軍が、反体制派を標的にした、化学兵器を使用した疑いが浮上したのが、今月7日で、そこから、僅か1週間で、米英仏は、攻撃に踏み切ったことになるが、アサド政権は、ロシアとイランに支援されており、西側諸国とロシアとの関係が、一気に悪化する懸念も、浮上している。
◆シリアの化学兵器関連3か所が標的に !
現時点で、英米仏による攻撃の規模が、どれくらいであったかの詳細は、判明していないが、攻撃には、巡航ミサイルが使用され、艦船と攻撃機、爆撃機から発射された模様だ。英空軍は、地中海のキプロスにある、軍事基地から攻撃機を出撃させ、空から、巡航ミサイルを、標的に向けて発射したと伝えられている。
フランス軍は、フリゲート艦と戦闘機を、作戦に参加させたと伝えられており、アメリカも、アフリカ東部とアラビア半島に挟まれた、紅海を巡航中の艦船と、B-1爆撃機が、作戦に参加した模様だ。
攻撃から1時間後、ペンタゴンで、マティス国防長官とともに、記者会見を行った、ダンフォース米統合参謀本部議長は、軍事攻撃で標的としたのは、シリア国内の3か所で、首都ダマスカスにある、化学・生物兵器の研究開発施設、中部ホムスにある、化学兵器の貯蔵庫と作戦司令部だったことを、明らかにしている。
マティス長官は、会見で、攻撃に使用された兵器の規模は、「昨年(のシリア攻撃時に使われた巡航ミサイル)と比べて、2倍程度になっている」と語っており、少なくとも、100発以上のミサイルが、使用された可能性を示唆した。
あるペンタゴン高官は、匿名で、ワシントンポストに対し、攻撃に使用された兵器のうち、約100発は、巡航ミサイル「トマホーク」であったと語っている。
昨年4月、米軍は、ホムス近郊にある、シャイラート空軍基地に向けて、59発のトマホークを発射している。
ペンタゴンは、「現時点では今回の攻撃のみ」と限定的な攻撃であったことを強調した。
しかし、攻撃の規模をめぐって、ホワイトハウスとペンタゴンで、コンセンサスが取れていたかに関しては、疑問が残る。CNNは、絨毯(じゅうたん)爆撃を含む、大規模な空爆も視野に入れていた、トランプ大統領に対し、ロシアとの本格的な衝突を懸念した、マティス国防長官が、最後まで抵抗し、化学兵器関連施設への、限定的なミサイル攻撃で、落ち着いたと報じている。
また、アメリカは、ロシアに、シリアへのミサイル攻撃について、2015年に開設した、「衝突回避ライン」を用いて、事前に通告したが、標的の詳細については、情報を流さなかったと、ダンフォース統合参謀本部議長が、会見で明らかにしている。
◆きっかけは、東グータでの化学兵器使用疑惑 !
今回のシリア攻撃のきっかけとなったのは、今月7日にダマスカス近郊にある、東グータ地区のドゥーマで、地元住民らに対して行われた、アサド政権軍の攻撃であった。化学兵器によるものとの、疑いがあり、70人以上が死亡したとされている。
シリア国内で、内戦の負傷者を救助する、活動を行っている、民間組織「ホワイト・ヘルメッツ」の関係者は、シリア軍のヘリコプターが、ドゥーマ上空で、複数の爆弾を投下した直後に、周辺の住民らが、体調の異変を訴え始めたと証言した。
爆弾には、塩素ガスかサリンが詰められていた、可能性があると、指摘していた。
治療を受ける地元住民らの映像が、世界中に配信されると、欧米諸国は、すぐに反応を見せた。
9日になって、トランプ大統領が、ホワイトハウスで、報道陣に対し、「軍と協議し、今後24時間から48時間の間に、重大な決断をするだろう」と語り、シリアにおける、化学兵器使用疑惑を、激しく非難した。しかし、アサド政権は、化学兵器の使用を否定した。
シリアを支援する、ロシアのラブロフ外相は、「(ドゥーマでの化学兵器使用は)仕組まれたものだった」と公言し、欧米諸国による、反ロシア政策の一環であると、主張した。
オランダのハーグに本部を置く、化学兵器禁止機関(OPCW)は、12日、スタッフが、14日からシリアに入り、現地で検証を行うと、発表していたが、ミサイル攻撃は、検証作業の開始前に実行された。
ロシアとイランは、シリアのアサド政権を、さまざまな形で支援しているが、特に、シリアとロシアとの蜜月関係は長く、旧ソ連時代から続いている。中東での、プレゼンスを確立したかったソ連は、兵器の売却を通じて、シリアやエジプトとの関係を構築していた。
1957年には、当時シリア空軍少佐で、後に1970年のクーデターで、大統領に就任する、ハーフィズ・アサド(現シリア大統領バッシャール・アサドの父)が、ミグ17戦闘機の飛行訓練のために、ソ連に10か月ほど滞在していたほどだ。
このように多くの軍人や学生が、1950年代からソ連に留学しており、ロシア人女性と結婚した、シリア人エリートも少なくなかったのだという。
シリアでは、1963年と1970年に、クーデターが発生しているが、シリアは、国内の政治事情に関係なく、冷戦時にも外交方針を変えることなく、ソ連を支援し続けた。現大統領のバッシャール・アサド氏が、大統領に就任してからも、ロシアとは、有効な関係を維持しており、2011年3月から始まったシリア内戦では、アサド政権を支援する目的で、最大4000人程度のロシア軍部隊が、シリアに駐留している。
◆西側諸国とロシアの対立がさらに悪化の懸念 !
限定的な作戦とみられる今回のシリア攻撃だが、いくつかの問題点も露呈した。前述のOPCWは、シリア国内での化学兵器の使用は頻繁に行われていると指摘しており、昨年4月に同機関が明らかにしたところによると、2016年後半から2017年4月までの間に、計45回の使用が確認されている。
化学兵器の使用は、ジュネーブ議定書(1925年)に違反し、他国にとっても大きな脅威となるため、欧米諸国が、素早いアクションを起こしたことは、理解できるものの、化学兵器関連施設を破壊しても、シリア内戦を終わらせ、犠牲者の数を大幅に減らすことは、困難であるというジレンマが、存在する。
2011年に内戦が始まって以来、シリア国内では、少なくとも40万人以上が死亡し、(60万人という説も存在する)、約600万人が、国外へ脱出した。約7年にわたって、多くの死傷者を出してきた内戦だが、化学兵器による、死傷者の数は、全体の割合からすると多くはない。
アサド政権軍が、化学兵器を使えなくなったとしても、多数の市民の犠牲の大元である、シリア内戦自体は、これからも続くという見方が、大勢を占めている。
大国の思惑に、市民が翻弄される構図は、残念ながらまだ続きそうだ。
今回のシリア攻撃は、国連安全保障理事会や、米議会からの承認を得ないまま、実施された。
イギリスでもメイ首相が、議会の承認なしに、攻撃に踏み切ったことに対する、批判が噴出し、釈明に追われている。保守党の一部の議員と野党の労働党から、シリア攻撃には、議会承認が必要だと念を押されていた、メイ首相だが、アメリカの勢いに、押されてしまったのだろうか。
一方、ロシアのプーチン大統領は、米英仏による攻撃について「侵略行為である」と激しく非難した。ワシントンにある、ロシア大使館は、SNS上で、「攻撃は、深刻な結果を引き起こすだろう」と警告を発している。
ロシア国防省は、記者会見で、「少なくとも103発のミサイルが撃ち込まれ、71発を迎撃した」と発表したが、真偽は、定かではない。
トランプ大統領は、シリアで、再び化学兵器が使用された場合には、新たな軍事攻撃の可能性もあることを示唆しており、西側諸国とロシアの対立構造が、さらに深まることは必至だ。ロシアが、ウクライナへの介入を行った、2014年を境に、西側とロシアの対立は、鮮明化した。
現時点では、限定的なシリア攻撃だが、今後の展開次第では、「第2のキューバ危機」を、引き起こす可能性を、危惧する識者もおり、予断を許さない。
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■仲野博文(なかの・ひろふみ) ジャーナリスト。1975年生まれ。アメリカの大学院でジャーナリズムを学んでいた2001年に同時多発テロを経験し、卒業後そのまま現地で報道の仕事に就く。10年近い海外滞在経験を活かして、欧米を中心とする海外ニュースの取材や解説を行う。ウェブサイト(http://hirofuminakano.com/)
(参考資料)
軍産複合体は、ペテンの戦争・戦争脅威でボロ儲けする !
(blog.nihon-syakai.net/blog/: 2008年05月01日より抜粋・転載)
1) 軍産複合体は、米国を、裏から操作して
戦争に向かわせて、利益を貪る略奪集団 !
『アメリカの共和党と民主党』14 ・・・軍産複合体は、ペテンの戦争脅威で儲ける(3/3):
アメリカを裏で操作する軍産複合体(さらに裏から支配する超巨大財閥・デイヴィッド・ロックフェラー・シニア等)、こうした、2度の世界大戦、冷戦〜テロ迄の流れを見てみると、軍産複合体とは、他民族を排除してでも、利益を追求する為に生まれた、アメリカで誕生し、戦争が無くなれば、経済が停滞してしまうアメリカを、裏で操っては、戦争に向かわせて、利益を貪る略奪集団そのものと言えそうです。
しかし、この軍産複合体に依存する、アメリカの経済構造、政治への影響力が無くならなければ、アメリカは、戦争を行い続け、他国に干渉し、その中で一部の軍需産業の利益の為に、世界中の一般市民が、「戦争の犠牲」になり続けてしまいます 。
この軍産複合体の影響力は、今後のアメリカの動向を読み取っていく上でも、重要な視点になりそうです。
現在、アメリカという国家には、大統領を含む国家安全保障会議、CIA、FBI、国防総省、陸海軍統合参謀本部、国務省、各国大使館、NASAがあります。軍需産業には、軍用機、艦船、銃砲、核弾頭ミサイル、エレクトロニクス、宇宙産業がひしめき合っています。
この間に、軍事シンクタンク、全米ライフル協会、石油メジャー、兵器輸出ロビー上院下院議員、地元の労働者等、これらが、
渾然一体とした軍産複合体となり、莫大な金額が捻出され、もはや大統領には、制御しきれない程の集団となっています。
2) 軍産複合体を構成する主な軍需企業と政党との繋がり
まず歴史を俯瞰すると、アメリカ国内における工業を中心とする企業は、一貫して共和党支持の元に発展しました。しかし、金融資本の台頭等で大きくなるに従い、さらなる利益を追求しなければ生きていけない企業は、時代の流れに沿ってその都度その都度利益の上がる側の政党に支持や献金を繰り返します。
20世紀に起こった、四大戦争を見てみると、実は、いずれも民主党政権の時に起きており、メディアで言われるように、一概に、軍需企業は共和党だけを支持しているとは言えなさそうです。
確かに選挙等で支持基盤を得ようと思えば、巨大な工場に膨大な雇用者(支持者)を扱っている軍需産業は、蔑(ないがし)ろに出来ない存在ぢある :roll: 。よって民主党でも軍需産業の影響は強く受けていると言えます。
3) 巨大軍需企業の工場立地と、国からの予算は、完全に一致 !
軍需産業の工場等のある州の支持率と、国からの予算の関係を見てみると、ベトナム戦争が、活発だった、1964−70年代で見ると、カリフォルニア州がトップで、全体の2割以上を占めています。カリフォルニア州内には、B2ステルス製造のノースロップが本拠地や統合前のロッキードもここにあり、多額の賃金が、州内労働者に支払われる、軍需産業は、地元議員にとって、非常に重要なポイントになりました。
軍産複合体のシンクタンクと言われる、「ランド研究所」も此処にあります。第2位が、黒人の人種差別撤廃に最後まで抵抗し続けた、南部保守王国の牙城、ヴァージニア州である。
ワシントンDCの地番になっている、「ペンタゴン」も、実際は、ヴァージニア州にあり、南東に行けば、全米1の海軍基地があります。
第3位は、テキサス州、ブッシュの故郷です。
第4位は、宇宙兵器のエレクトロニクスが結集した州、フロリダ州である。
第5位がメリーランド州、6位がジョージア州、7位ワシントン州、8位ミズーリ州です。これらの巨大軍需企業の工場立地と、国からの予算は、完全に一致します。
つまり、アメリカで政治家として支持を得るには、民主党であろうと共和党であろうと、「軍需企業を潤す事」を念頭に置かなければいけないという事になりました。
しかし、大局で見れば、ソフトパワーと言われる、ウォール街発経済系の流れを汲む民主党よりも単独覇権主義の流れを持つ、「共和党と軍需産業の繋がり」の方が、やはり、
強そうです。