「被曝の森 2018 見えてきた“汚染循環”」 (NHKスペシャル 2018/3/7)
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20180307
東京電力福島第一原子力発電所の事故によって放射性物質で汚染された区域はこの先どうなっていくのか?2016年3月に放送した「被曝の森〜原発事故5年目の記録〜」では、急速に家々を覆っていく植物や、昼間から住宅地に出現するイノシシなど、無人の町が野生に侵食されつつある衝撃の実態を明らかにした。放射性物質の生物影響に関する様々な研究報告も伝え、低線量被曝の謎に迫った。今回の番組はその続編。
去年の春、被災地は新たな局面を迎えた。国による計画除染が終わり、広い範囲で一斉に避難指示が解除された一方で、山間部を中心に「帰還困難区域」として取り残される地域が生まれたのだ。その面積は340km2(東京23区の約半分)。対象となる住民は2万4千人に及ぶ。そうした「帰還困難区域」で、放射性物質はどのような影響をもたらしているのか?科学者による研究は、より深く、より多角化している。これまで調査されてこなかった高線量の森に踏み込み、生態系の中で放射性物質がどのように移動・残留しているのか、解明が進んでいる。科学者たちの挑戦や住民の思いを追いながら、その実態を記録する。
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以下、視聴しての感想である。
この番組に関して、放射能汚染と被ばくに一歩踏み込んで報道したと評価する向きもあるが、
不都合な真実を巧みに隠ぺい・矮小化した御用番組である。
この被曝の森は放射性セシウムが循環するが外部には出て行かないかのような
説明をしているが、これが最大の誤りであり欺瞞である。
森林の放射性セシウムは地下水まで到達せず河川には流出しないというが、
なぜそんなことが言えるのか。
地下水がどこをどう流れているか誰にもわからないのだ。
百歩譲って地下水には到達しないとしても、まとまった量の雨が降れば雨水が表土を洗い、
河川に流れ込む。
阿武隈川など福島の河川の川底は原子炉並みに汚染されているというが、
そういった汚染土砂があちこちから流れ込んで沈殿しているのだ。
イノシシなどの野生動物が帰還困難区域の柵を越えて自由に行き来する映像が出てくるが、
これらの動物も超高濃度汚染されており、帰還困難区域外で糞尿もすれば屍にもなる。
汚染された鳥やハチも自由に移動する。
もうすぐ花粉症の季節になるが、この森から汚染された花粉が大量に舞う。
放射能汚染も生き物のようなもので、常に動いているのである。
事実、民家を除染しても、すぐに山から大量の放射性物質が押し寄せてきて、
すぐに元の状態に戻ってしまうとあちこちで指摘されている。
「被曝の森」の中で汚染が循環するだけで外部に拡散されないというのは
単なる希望的観測に過ぎない。
それを事実であるかのように報道するのは極めて問題である。
森林の土壌汚染がひどく木を間伐しても無意味というのは当たり前で、
今さら驚く内容ではない。
アライグマやニホンザルの染色体異常が見つかったが、その影響については
まだわからないという。
正直、原発事故後7年もたって、たったこれだけの研究成果しか得られないのかと思う。
いや、いろいろ深刻が事実は判明しているのだが、パニックになると困るので
公表・報道しないのかも知れない。
放射性物質がセシウムだけかのような報道も問題だ。
番組に登場する研究室には、おそらくストロンチウムの測定をできる設備も
備わっているのだろうが、測定しようとしない。あるいは測定結果を公表しない。
セシウムの300倍も危険と言われているストロンチウム90の汚染が広範囲に
拡がっていることがわかると困るのだろう。
無知な人はこの番組の内容にショックを受けるかも知れないが、実際はこの何百、
何千倍も深刻である。
こんな程度で驚いていてはいけない。
深刻な事実をオブラートに包んでごまかすNHKの報道姿勢は問題だが、
安倍さまのNHKにしては上出来なのかも知れない。
それはともかく、放射能汚染が森林の中にとどまって循環するという解説は
明らかに間違いであるから、NHKは謝罪訂正すべきだろう。
(関連情報)
「樹木に蓄積、放射性セシウム 5年かけ表層土に移動 (茨城新聞)」
(拙稿 2017/10/28)
http://www.asyura2.com/17/genpatu48/msg/842.html
「『森のセシウム 土壌が遮蔽』 50年前核実験の影響調査 (東京新聞)」
(拙稿 2015/5/3)
http://www.asyura2.com/15/genpatu42/msg/708.html
「スギ雄花に含まれる放射性セシウム濃度の調査結果について (林野庁)」
(拙稿 2015/4/16)
http://www.asyura2.com/15/genpatu42/msg/560.html
「山から押し寄せる放射能 (小澤洋一氏監修)」 (拙稿 2014/8/14)
http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/713.html
http://www.asyura2.com/17/genpatu49/msg/501.html