確定申告で発覚、年金生活67歳男性の税金は8倍高く取られていた
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180302-00000003-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 3/2(金) 16:00配信
税金を取られすぎているケースは少なくない
2018年最初の年金受給日だった2月15日、年金受給者たちに不安の声が広がった。口座に振り込まれた年金額が前回(昨年12月)から大きく減らされていたからだ。
日本年金機構には多くの苦情電話が寄せられた。年金受給者は毎年、「扶養親族等申告書」(葉書)に妻の収入などを書き込んで日本年金機構に送り返さなければ本来の控除を受けられずに4〜5倍の高い税金を年金から天引きされる。
特に昨年はこの申告書の記入内容が大幅に変更され、マイナンバーなどの記載を求められた。そのため、本人は申告書を送ったつもりでも、内容が不十分で受理されずに送り返されたケースが続出。いきなり高い税金を徴収された受給者が大混乱に陥ったのだ。
〈正しい源泉徴収税額の反映は、原則として4月13日にお支払いする年金にて、平成30年2月支払分と併せ、調整させていただきます。お客様にご心配、ご迷惑をおかけしておりますことに深くお詫び申し上げます〉
日本年金機構はホームページの「大切なお知らせ」でそう謝罪した。
これまで申告書を一度も出していないために高い税金を取られ続けている受給者たちは、自分がどれだけ余分な税金を払わされているかという現実を知り、確定申告でいっぺんに税金を取り戻すチャンスと捉えた方がいい。
専門学校生の娘がいるAさん(67)もその1人。公的年金280万円と企業年金120万円を合わせた年収は400万円。持ち家もあり、悠々自適の年金生活ながら、これまで約22万円の所得税と約20万円の住民税を取られてきた。
そこで税理士の協力でAさんの確定申告書を作成すると、〈医療費42万円、社会保険料38万円、地震保険料1万円〉など各種の控除を差し引いた税額は所得税が10分の1の約2万円、住民税が約5万円となり、35万円も税金が安くなる計算になった。
「税金を8倍も高く取られていたなんて」──数字を見たAさんは絶句した。早速、税務相談会に出向くことになった。確定申告は過去5年間さかのぼって還付を受けることができる。Aさんは年金受給開始からの3年分、ざっと100万円近い税金還付が可能になる。
扶養親族等申告書を提出していない年金受給者の中にはこんなケースはざらにあるはずだ。
確定申告で認められる控除には、医療費や社会保険料以外にも、自宅の「雨漏り」改修費や「シロアリ駆除」、「雪下ろし」の費用なども計上できる(雑損控除)。自宅のバリアフリー化などのリフォームや改装工事の領収証があれば、悩まずに申告会場で相談員(税理士)にどの控除にあてはまるか相談すればいい。
「退職金受け取り時」は多額還付のチャンス
税理士・山本宏氏が語る。
「確定申告で多額の還付金を取り戻せるのは源泉徴収された税金が大きかったときです。たとえば勤続30年で2500万円の退職金を一時金で受け取ると約60万円の所得税が源泉徴収される。こういったときはまとまった還付金を受け取るチャンス。自宅のリフォームを行なって住宅ローン控除を受けたり、社会保険料や医療費のレシートは捨てずに備えておいた方がいい。しっかり確定申告してできるだけ税額を抑えておかないと、翌年の住民税でびっくりするような税金を取られます」
「税を取り戻す」ことが年金生活者にとって最高の生活防衛になる。
※週刊ポスト2018年3月9日号