台車亀裂、ゆらぐ日本ブランド 激しいインフラ受注競争に影
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180228-00000000-fsi-bus_all
SankeiBiz 3/1(木) 7:15配信
JR西日本の新幹線のぞみで川崎重工業が製造した台車に亀裂が見つかった問題は、日本が官民挙げて推進してきたインフラ輸出にも影を落としかねない。他国企業との激しい受注競争を勝ち抜くためには、高い安全性と品質が不可欠だからだ。政府は2020年に15年比で1.5倍に当たる約30兆円のインフラ受注を目指しているが、日本企業の信頼が揺らげば、この目標が遠のくことになる。
「全てのインド人のために、日本の官民が汗をかく」。昨年9月、日本の新幹線方式を導入したインド高速鉄道の現地での起工式。参加した安倍晋三首相は力強く宣言した。
政府は成長戦略の一環として、鉄道や電力、情報通信など新興国を中心に拡大するインフラ需要の取り込みを狙っている。このため安倍首相を筆頭に“トップセールス”に励むほか、国際協力銀行(JBIC)など政府系金融機関を活用した資金協力を通じ、日本企業の受注を支援する。
インドの高速鉄道では日本の新幹線方式に決まったことで、日立製作所や川崎重工など日本企業の受注が有力視されている。
もっとも、鉄道分野では世界的に受注合戦が激化している。売上高が約4兆円に迫る世界首位の中国中車は、中国政府の後押しを受けて海外進出を加速。昨年9月には、2位の独シーメンスと3位の仏アルストムが鉄道車両事業の統合で合意し、売上高約2兆円の巨大メーカーの誕生が決まるなど、合従連衡による規模拡大も目立つ。
川崎重工など日本企業は技術力や納期の順守で高い評価を築き上げてきた。だが、海外との規模の差が広がりつつある中、品質問題でブランド力が傷つけば、いくら政府の後押しがあっても厳しい受注競争で後手に回りかねない。
鉄道以外の分野でも、昨年後半から神戸製鋼所や三菱マテリアル、東レなど素材メーカーで性能データ改竄(かいざん)、日産自動車やスバルでは無資格検査が相次ぎ発覚。品質の高さで名声を築いた“メード・イン・ジャパン”の信用が根本から揺らいでいる。