中国を軍事的に封じ込めるために必要なフィリピンで米国はテロリストを使い、再植民地化を目論む
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2018.02.24 櫻井ジャーナル
アメリカは2001年10月以降、「不朽の自由作戦」の旗印を掲げながら侵略戦争を続けてきた。その年の9月11日に引き起こされたニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンにある国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃に対する報復だとされているが、調査をする前に「アル・カイダ」というタグを振りかざし、証拠があれば容疑者を引き渡すというアフガニスタンを先制攻撃、存在しない大量破壊兵器を口実にしてイラクを先制攻撃、破壊と殺戮は今でも続いている。その「不朽の自由作戦」の一環としてアメリカは2002年1月からフィリピンでも軍事作戦(途中、不朽の自由作戦-フィリピンから自由の鷲作戦へ名称変更)を展開した。2015年2月に終了したことになっているが、植民地化という目的を達成するまで終えることはないだろう。
2016年6月からフィリピンの大統領を務めているロドリゴ・ドゥテルテは前任者のベニグノ・アキノ3世と違い、アメリカの言いなりになってこなかった。中国を敵視する政策も軌道修正、ロシアに接近している。こうした行動がアメリカの支配層を怒らせたことは間違いないだろう。ドゥテルテによると、2016年9月に彼は情報機関からアメリカが彼を殺したがっているという報告を受けたという。
2017年5月23日にフィリピン南部、ミンダナオ島のマラウィ市をダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)系の武装集団が制圧した。この地域は以前からダーイッシュが活発に動いていて、市内には500名程度の戦闘員がいると見られていた。こうした事態を受け、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領はミンダナオ島に戒厳令をしいた。
このほか、東南アジアではインドネシア、マレーシア、タイなどでサラフィ主義者が活発に動き始め、ミャンマーでアウン・サン・スー・チー派から弾圧されているロヒンギャと呼ばれるイスラム教徒の居住地へ潜り込み始めているとする話も伝わっていた。
そのマラフィ市へアメリカ軍は特殊部隊を派遣した。アメリカ大使館はフィリピン政府から要請に基づていると説明したが、ドゥテルテ大統領はアメリカ側に支援を頼んでいないとしている。「テロリスト」を侵略の口実にするのはアメリカの常套手段。「不朽の自由作戦」の目的もそこにある。
アメリカがフィリピンを植民地にしたのは20世紀の初頭。1899年から1902年にかけての侵略戦争を経て植民地化に成功したのだ。現地での略奪以上に重要だったのは中国侵略の拠点としての役割。言うまでもなく、アメリカはフィリピンへ「解放軍」として来たわけではない。このアメリカを幸徳秋水は帝国主義国の一つに挙げた。今も実態に変化はないのだが、「自由と民主主義」というタグをつけ、世界を我が物顔に闊歩している。行っていることは侵略、破壊、殺戮、略奪。昔と同じだ。
現在、アメリカ軍は太平洋からインド洋をひとつの行動範囲と考えているが、そこでアメリカに従っているのはオーストラリア、インド、そして日本。オーストラリアはアングロ・サクソン系の国であり、インドの現政権はイスラエルと緊密な関係にある。アメリカはこの3カ国だけでなく、フィリピン、ベトナム、韓国を結びつけて「東アジア版NATO」を作り上げようとしていた。韓国のアメリカ離れはクーデターで軍事政権を樹立させない限り止まらないだろう。ベトナムはかつてアメリカに侵略戦争で破壊された国であり、エリートを籠絡できても全体を屈服させることは難しい。