名護とオリンピックと憲法
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2018.02.19 小原 紘(個人新聞「韓国通信」発行人) リベラル21
名護へ 私は「ふるさと納税」
ふるさと納税は過疎と税収不足にあえぐ「ふるさと」を応援する目的から始まった(2008年4月〜)。寄付のお礼に各自治体から地元特産品などがもらえるので話題になった。
2千円を自己負担すれば実質的な負担がないのでふるさと納税をする人が多い。寄付をして儲ける「せこい」発想も見える。
名護市へふるさと納税をしてから4年になる。毎回送られてくるのは礼状と領収書だけ。それでも名護へ寄付をする人は多いようで、「2015年度の寄付(16年3月7日現在)は約2億5778万円(1188件)で14年度より金額が約12倍、件数も約2倍に増えた(2016/3/1付 琉球新報)」。名護市のホームページには寄付した人の名前と金額が「応援メッセージ」とともに掲載される。
<ふるさと納税に希望を託す>
稲嶺氏の敗北を待っていたとばかりに、これまでストップしていた巨額の「基地再編交付金」が政府から交付される。安倍首相は「本当に良かった。名護市民に感謝し、責任を持って応援する」と稲嶺落選に喜びを隠さない。腹立たしい限りだ。確定申告を書きながら空しさがつのる。
それでも、「ふるさと納税」を続けるつもりだ。少し複雑な気持ちだが、寄付はもともと市長個人のためではなく辺野古基地に反対する名護市民への応援だった。今年の応援メッセージに「基地に反対する名護市民ガンバレ!」と書くつもりだ。
憲法を変える
憲法改悪が年内にも国会で発議され、国民投票が行われそうな気配が濃厚だ。何を変えようとしているのかはっきりしないが、焦点として自衛隊と憲法9条の問題が大きく浮上してきた。自民党の最終目標が2012年の「憲法草案」だというのはいうまでもないが、戦争法(安保法制)との整合性を持たせるための9条改廃が焦眉となった。
何故9条を変えることが現実味を帯びだしたのか。
「アメリカは北朝鮮の核とミサイルから日本を守ってくれる。アメリカと一緒に日本が戦うのは当然だ。国を守る自衛隊が憲法違反なのはおかしい」という雰囲気の中で議論をしたら世論は9条変更に傾きそうな気配だ。既にマスコミの論調はその方向で進んでいる。モヤモヤした気分で北朝鮮の「脅威」に踊らされたら9条も危うい。
平昌オリンピックをきっかけに南北対話が進もうとしている。対話には過去幾度となく裏切られてきた韓国だが少しでも希望があれば期待するのは当然だ。「文在寅大統領は北に乗せられている」と韓国の右翼が騒いでいる。日本政府も対話の「自制」を求めるなど極めて冷ややかである。わが国のマスコミも同じ論調に見える。朝鮮半島の分断の歴史と統一への思いを知らなすぎる。まさか南北が仲良くなっては不都合というわけでもないだろうに。
戦争をするなら9条は変えたほうがいい。平和を望むなら9条を変えるべきではない。オリンピックのテーマは「平和」。政治家たちの思惑とは別にアジアの「火薬庫」に世界の平和の目が注がれ、トランプも安倍も「ちょっかい」を出しにくくなった。これまで自衛のための戦力は合憲と主張してきた自民党が今頃になって自衛隊は「憲法違反」だから憲法を変えるというのは「へ理屈」だ。