衆議院本会議:玉木・希望の党代表の代表質問(上)
自公政治の深層・真相は ?
(kibounotou.jp:2018年1月24日より抜粋・転載)
希望の党代表の玉木雄一郎です。私は希望の党・無所属クラブを代表して、安倍総理の施政方針演説に対して、質問をします。
まず冒頭、昨日発生した草津元白根山の噴火で被害にあわれた方々にお見舞い申し上げるとともに、今なお、深刻な状態にある方々の回復を祈ります。
そして、訓練中、殉職された陸上自衛隊員に心からお悔やみを申し上げます。
■明治維新の礼賛一色は問題
さて、今年は、明治維新から150年にあたります。安倍総理は内閣を挙げてお祭りムードを盛り上げようとしていますが、今年は、戊辰戦争から150年にもあたります。歴史は常に勝者に都合のよい史実を中心に形成されていきます。
日本の近代化を極めて短期間に成し遂げた意義は大きいものの、この150年は、人口増加を前提とした経済成長、そして、中央集権を固定化してきた150年でもあります。
その限界や弊害に直面しているのが現在の日本です。単なる礼賛ではなく、明治維新を客観的、中立的にとらえ、急速な近代化の陰で積み重ねられてきた矛盾や課題に正面から取り組み、これを乗り越えていく新たな構想を示すべきではないでしょうか。
我が党は、「未来先取り政党」として、この「明治レジーム」を乗り越える、人口減少社会における新しい社会像や政策を打ち出していきます。
■格差是正は二の次の安倍政権
「勝てば官軍」という思想は、勝った者が正義との考えであり、「明治レジーム」の考え方とも言えます。
新自由主義的発想で、強い者はより強く、そして負けた者への配慮など一切ない──小泉政権以降の自民党政権、とりわけ、安倍政権では、こうした姿勢が色濃くなっています。
事実、OECDの調査によると、日本では、所得再分配政策を講じた後の方が、格差が拡大するという逆転現象が起き、再分配機能が正しく働いていません。
来年度予算案を見ても、生活保護の母子加算や児童養育加算を削減する一方、海外には多額のお金を配ったり、最新のミサイル導入に何千億もの莫大なお金を使おうとしています。
多くの国民が、素朴におかしいと感じています。スローガンばかりの政策で、格差是正、とりわけ子どもの貧困対策への予算があまりにも少ないのではありませんか。
総理は施政方針演説の冒頭で、「すべての日本人がその可能性を存分に開花できる」時代を切り拓くと明言しましたが、母子家庭の命綱を削るような予算は、これと矛盾します。改めて、総理自身が国民に訴えた言葉の本気度を伺います。
■安易なサラリーマン増税は消費にマイナス
税制改正も問題だらけです。なぜ、所得税が増税となるサラリーマンが年収800万円以上から850万円以上に急に変わったのでしょうか。
官邸の鶴の一声で決まるような税制は極めて不透明ではないですか。総理の所見を伺います。
そもそも、消費への悪影響を心配して消費税増税を2度にわたって延期しておきながら、個人消費を支えるサラリーマン層の所得税増税を毎年行うのは政策的にちぐはぐです。しかも、衆院選の公約には一言も書いてありませんでした。
取りやすいところから取ろうとする安易なサラリーマン増税に、我が党は反対です。むしろ、格差是正のためにも、総所得が1億円を超えると税負担が軽くなる逆累進課税の矛盾を解消するため、株式の譲渡益など金融所得への課税を強化すべきではありませんか。総理の所見を伺います。
■庶民の懐を豊かにしないアベノミクス !
バブルへの警戒も必要 !
アベノミクスも丸5年が経ちました。物価上昇率2%の目標達成時期はなんと6回も先送りされています。物価上昇目標は一体いつ実現するのか、総理の所見を伺います。
華々しい目標を掲げて、できないから先送りし、「道半ば」だからまだやらせてほしいというのは、まるでゴールの無い「永遠の道半ば」政策です。これは安倍総理が繰り返す「政治は結果責任」と真っ向から矛盾するのではありませんか。
確かに株価は好調です。しかし、多くの国民に実感はありません。
昨年12月の日銀調査では「暮らしにゆとり」と答えた人は6.5%で、前回9月から1%近く減少しています。完全雇用状態なのに賃金がなぜ上がらないのか、総理の所見を伺います。
活況を呈する株式市場もいびつな状態が続いています。昨年は、日銀が6兆円も上場投資信託、ETFを買っている一方で、個人はほぼ同額の6兆円を売り越しています。
明らかに「官製相場」の様相が強まっており、日銀の資産残高も500兆円を超えています。
もしマーケットが暴落すれば、日銀が破たんし「最後の貸し手」としての機能を発揮できない懸念もあります。万が一の危機に備え、日銀はETFの買い入れをやめるべきと考えますが、総理の所見を伺います。
■人手不足への対策なくして成長なし !
全国的に、少子高齢化や人口流出による人手不足が恒常化しています。帝国データバンクの調査によれば、私の地元・四国でも、半数の企業で正社員が不足しています。2007年の調査開始以降、初めて5割を超え、深刻な事態です。
特に地方では、今や人手不足への対策こそ、最大の成長戦略、活性化戦略です。女性、高齢者の皆さんにもさらに社会で活躍していただく必要がありますが、地域の現場が外国人労働者に支えられている現実に正面から向き合わなければなりません。
■先送りできない外国人労働者の受け入れ促進 !
現場では、既に外国人頼みが高まっており、製造業における依存度は3%を超えています。特に、地方においては、なくてはならない存在となっています。
安倍総理は、全ての都道府県で有効求人倍率が1を超えた話をよくされますが、実は、昨年初めて、全ての都道府県で在留外国人が増加しました。
この問題に対して、外国人技能実習制度で対応するには限界が来ています。また、労災による死亡と認定された外国人技能実習生が2014年からの3年間で計22人に上り、うち1人は過労死と認定されています。
労災比率も、日本の雇用者平均を大きく上回っています。外国人が、危険な現場で即戦力として使われる現実です。
そこで、一定の要件を満たした場合には、技能実習生に在留資格の更新を柔軟に認めるなど、大幅な制度見直しが必要だと考えますが、総理の所見を伺います。
また、留学生の就労にも様々な問題が指摘されており、見直しが必要ではないでしょうか。
あわせて伺います。外国人の待遇の問題を改善しなければ、中国・韓国との「雇い負け」が生じ、外国人さえ雇えない事態も発生しかねません。
■政府の働き方改革は的外れ !
次に、働き方改革について伺います。坂本光司法政大学教授の著書「日本でいちばん大切にしたい会社」はベストセラーとなりました。「大切にしたい会社」の基準として、過去5年間営業黒字であること、障害者雇用は法定雇用率以上であること、正社員率が65%以上であることなどに加え、1か月の超過労働時間が10時間以下、年次有給休暇の取得率が70%以上、育児休業取得率80%以上など50の項目が示されています。
安倍総理は「生産性革命」を唱えていますが、働く人たちが余裕をもって働き、家族や友人と充実した時間を過ごすことができてこそ、生産性の高い労働が可能になるのではないでしょうか。
まさに坂本先生の言う「人を大切にする会社」を増やすことこそ、生産性向上に繋がるのではないでしょうか。
しかし、安倍政権が行おうとしている政策は、これとは方向性が逆です。残業時間の上限規制として、「月100時間」を認めるとしていますが、これは過労死ラインでもあります。総理はこれで適当とお考えですか。
また残業代ゼロ法案と指摘される「高度プロフェッショナル制度」の導入、裁量労働制の拡大が、労働者のためではなく、人件費削減の観点から導入されようとしており問題です。我々は、これらを法案から分離・削除することが審議入りの前提と考えますが、総理の所見を伺います。
■GDP600兆円は数字の魔術だ !
財政健全化目標は「永遠の道半ば」
2015年9月、安倍総理が突如「アベノミクスは第2ステージに移る」と宣言し、新3本の矢を発表しました。
その1本目として、2020年に600兆円の名目GDP達成を掲げました。
しかし、昨日公表された「中長期の経済財政に関する試算」では、達成時期が先送りされました。経済が絶好調だと胸を張るのになぜ達成できないのですか。
矢は既に折れているのではないでしょうか。総理の所見を伺います。
さらに、GDPの算出方法を見直した際、R&Dの資本化など国際基準対応で24.1兆円、そして、それ以外の「その他」の要素で7.5兆円ものかさ上げが行われています。この「その他」とはいったい何でしょうか。
総理の合理的な説明を求めます。結局、2020年GDP600兆円目標も、数字の魔術に彩られた、達成見込みのない「永遠の道半ば」政策ではないでしょうか。
■財政再建目標を定めずに予算審議を求めることは不誠実
次に、財政健全化について伺います。安倍内閣は、2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成を断念しました。
内閣府の中長期試算では、黒字化が2027年度にずれ込むとされていますが、総理は、次なる財政健全化目標の策定を本年夏に先延ばし、目標が宙ぶらりんの状態です。
財政健全化目標も示さないまま、来年度の予算案を閣議決定し、国会の審議にかけることは、歴代内閣でも例はなく、極めて不誠実かつ無責任です。総理の所見を伺います。
■希望出生率1.8と待機児童ゼロも「永遠の道半ば」
安倍総理は、消費税の使い道を変更して子育て支援に回すこととしていますが、今のまま幼児教育や保育を無償化すれば、さらに待機児童が増え、高所得者ほど恩恵を受けるという「二重の不公平」が助長されてしまいます。
「無償化の前に保育園全入化」を優先すべきではありませんか。総理の所見を伺います。
安倍総理は、アベノミクス新3本の矢の2本目として、2017年度末までに「待機児童ゼロ」を掲げていましたが、昨年、目標を3年先送りしました。
先送りした2020年度までに、待機児童ゼロに必要とされる、保育の受け皿32万人の計算式には、保育園の申込みを諦めた人、すなわち、潜在需要が考慮されていません。民間の試算では、約89万人の受け皿が必要との指摘もあります。
2020年度末に、待機児童は、本当にゼロになるのでしょうか。もし、受け皿目標を見直すことになれば、これもまた「永遠の道半ば」政策になってしまいます。総理の所見を伺います。
■軽減税率導入であいた6千億円の穴は埋まらないまま
安倍総理は、消費税の使い道を変えるということですが、そもそも軽減税率を導入することで予定された税収が約1兆円減ることになっています。
しかも6,000億円は代替財源の手当てがなく、穴が開いたままです。財源の目途もつけずに使い道を変更するのは、結局、赤字国債を増やすだけではないでしょうか。
6,000億円の財源の目途はついたのでしょうか。財源の目途もなく消費税の使い道を変えるなら、高所得者優遇にもなる軽減税率はやめるべきではないでしょうか。総理の所見を伺います。
■介護離職ゼロも「永遠の道半ば」で達成困難 !
アベノミクス新3本の矢の3本目が、介護離職ゼロでした。しかし、むしろ介護離職は増えているのが現状ではないでしょうか。
いつまでに、どのように介護離職をゼロにするのか。総理の所見を伺います。
そもそも、介護離職ゼロは、今般の介護報酬改定で実現できるのでしょうか。さらなる介護職員の待遇改善や認知症対策などにもっと力をいれるべきです。
これもまた、かけ声だけの「永遠の道半ば」政策になるのではないですか。
■農業所得倍増計画も「永遠の道半ば」
2013年末、安倍政権は農業・農村所得倍増計画を掲げました。政権発足から丸5年が経ち、農家の所得は本当に倍増しているのでしょうか。
総理の所見を伺います。折り返し地点の今、無理なスローガンになっていないか検証すべきです。
できないことを掲げて予算要求に使うのは、典型的な「永遠の道半ば」政策です。
また、戸別所得補償の半額部分が廃止されるなど、水田政策の将来が見えないとの不安が農家に広がっています。高級銘柄のコメの輸出が増え、また、飼料用米の作付けを奨励することで主食用米の価格が上がっているのは確かです。
しかし、今のコメ政策では、日本人の農家が、税金をつかって、外国人と家畜のためのコメを作り、日本人は外国から輸入される安い業務用米を食べるような皮肉なことが広がってしまいます。総理の所見を伺います。
我が党は、農業者戸別所得補償制度をベースとして、食の安全や環境に配慮した消費者志向の農業を推進する、新たな直接支払制度を提案します。農家が安心して営農継続できる環境をしっかりと整備していきます。
―この続きは次回投稿します―
(参考資料)
自公政治家・NHK等が誤魔化す、政官業癒着
・長期自民党・自公政権の大悪政・大失政は ?
◆政官業の癒着構造で長年ムダな、多くの公共事業で公的債務(1200兆円超)が増大。
◆地方疲弊・東京と地方の格差拡大、官民格差拡大の責任は、自民党国会議員、自民党系地方議員・首長にある。
◆介護や保育は、施設不足、職員の給与・待遇は劣悪。貧弱な政治で介護や子育てに大きな不満・不安がある!
◆日本の子供、6人に1人が貧困状態に !1人親世帯は、貧困率50%超 !
この数年で過去最悪を更新 !
◆自民党政治悪政の結果、 2040年、市町村約50%、消滅予測 !?
自民党政治の大都市集中・巨大企業優遇政策
の結果、格差拡大、少子高齢化、限界集落激増 !
◆巨額の企業団体献金・裏献金を長期的に最大に収受して政治を
歪めてきたのは自民党である。
◆政権交代できないよう、官房機密費・外交機密費などをフル活用(塩川発言・野中発言・平野発言等)して、マスコミなどを裏から支配し、自民党一党支配を永続させた。政・官・財・マスコミ・御用学者の癒着構造は続いている!
◆検察等司法界の腐敗(人質司法・自供強要・冤罪続出・裏金等)を放置し、自民党、特に清和会は、「政敵(改革者)抹殺」に利用してきた。
◆世界の「年金ランキング」日本は、先進国27カ国のうち、26位 !
☆日本は2016年の幸福度ランキングでは世界・53位 !
◆弱肉強食・格差拡大政治の結果、非正規社員が初の4割突破 !
高齢者再雇用、パート増加 !
◆合計特殊出生率:(2015年)日本:1.43(189位)、 フランス:2.00 、
イギリス:1.92 、 スゥエーデン:1.93、米国:1.88、ニジェール:7.57(世界一位)
☆成人数:1970年は約247万人、2016年は、約123万人で半減した。
☆生産年齢人口:1997年は、約8699万人、2016年は、約7665万人で、1034万人減少した。
安倍首相達は、失業率・就業率が良いと誇大宣伝するが、青年・生産年齢人口が激減している事を隠ぺいしている。
少子高齢化社会・格差拡大にしたのは、自民党・自公政権の弱肉強食・大資本従属・ペテン師政治が原因だ !