"安竹同盟"が悪夢。「シャンシャン」と安倍3選が決まる?
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サンデー毎日 2018年1月21日号
牧太郎の青い空白い雲 652
初夢ではないが、可愛い赤ちゃんパンダ「シャンシャン」の夢を見た。
でも、変なのだ。
ハンバーグを美味(おい)しそうに食べている。おかしいぞ? パンダの主食は「竹」だったはずだが? おかしいぞ、おかしいぞ......と思っているうちに目が覚めた。
心理学者のカール・ユングは「夢には意識的な洞察よりもすぐれた知恵をあらわす能力がある」と言ったそうだが......。パンダがハンバーグを食べている「夢」は、何かを教えてくれている?
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パンダはネパール語の「竹を食べる者」に由来する。
ジャイアントパンダは中国四川省、陝西(せんせい)省、甘粛省などの標高1300〜3500メートル、寒冷の竹林に生息する。
一年中、竹が食べられるから餌に困らない。パンダはクマ科だが冬眠しない。一年中、餌があるから冬眠する必要はないのだ。昼夜に関係なく「食べて、ちょっと動いて、寝て、また食べる」の繰り返し。"争いごと"はまるでない。
ただ一つ、問題がある。
笹や竹は60〜120年ぐらいの周期で一斉に枯れてしまう。枯れたら移動すればよいのだが、昨今、人間さまがやたら開発を続けるから竹林は激減状態。パンダは生きづらい。「絶滅危惧種」になった理由もそこにある(現在は危急種)。
パンダがハンバーグを食べる「ヘンな夢」は、ひょっとすると生きる者にとって避けて通れない「生き残り戦争」を暗示しているのかもしれない。
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話はガラリと変わる。
昨年末の永田町。「安竹同盟」が話題になった。
昨年の11月29日、東京のフランス料理店「日比谷松本楼」で、安倍晋三首相、二階俊博幹事長、竹下亘総務会長ら自民党の首脳が食事をした。名目は衆院選の慰労会ということだったが、ちょっと遅過ぎるような気もしたが......。
ご機嫌の安倍さん、昔話に花を咲かせたらしい。祖父の岸信介さんの話はもちろんだが、父・晋太郎(元外務大臣)の話も出た。
「父・晋太郎が膵臓(すいぞう)がんを患って、順天堂医院に入院していた時、清和会幹部以外に竹下(登・元首相)さんも見舞ってくれた。危篤状態の中、竹下さんが耳元で"フレーフレー晋太郎"と声をかけると、ハッと意識を取り戻した。竹下さんが帰った後、しばらくして静かに亡くなった」
そんな話をしたという。
安倍晋太郎と竹下登の両氏は当選同期だ。「安竹同盟」と言われるほど親しい関係にあった。竹下首相の後、晋太郎が総裁選に出馬すれば、竹下派は支援するはずだった。
その話に竹下元首相の弟、竹下亘総務会長はじっと耳を傾けていた――と話題になった。
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竹下派は現在、額賀(ぬかが)福志郎元財務相率いる「額賀派」(平成研究会)である。屈指の名門派閥ではあるが、「ポスト安倍」の有力候補が不在。会長を約7年務める額賀氏は首相側とのパイプが細く人事面で冷遇されている。
引退後も影響力を持つ「参院のドン」こと、青木幹雄元参院議員会長に近い議員にはこれが不満なのだ。
かつての竹下派は「一致結束・箱弁当」の結束力。業界団体とのネットワークと野党懐柔で国会運営を牛耳り橋本龍太郎、小渕恵三の各首相を輩出してきた。
それが......。昨今は石破茂元地方創生担当相ら有力議員の離脱。会長交代待望論が強まっている。もちろん、彼らが押すリーダーは「竹下登の弟・亘」である(本人は消極的、と周囲は言うが)。「竹下派の大政奉還」はありえるのだ。
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2018年、大きな焦点は二つある。
米朝戦争は始まるのか? 安倍3選は実現するのか?である。
安倍3選はまだ霧の中だが、二階幹事長が"安倍総理の後は安倍総理"と推す中、第3派閥の額賀派が「竹下派」になって、「安竹同盟」ができたら3選は決定的になってしまう。
安倍政権で、金持ちはさらに"金持ち"になり、貧乏人はさらに"貧乏"になっている。
それで良いのか?
安倍3選は「悪夢」だ!
だが、下手をすると「シャンシャン」と決まってしまうかもしれない。
今後、冷静に観察しなければならないだろう。
読者の皆さん、覚悟して書かせてもらいます。今年もよろしくお願いします!