中国、尖閣占領の実戦訓練開始…自衛隊は奪還作戦遂行へ
http://biz-journal.jp/2017/12/post_21893.html
2017.12.31 文=相馬勝/ジャーナリスト Business Journal
習近平主席、軍委連合作戦指揮センターを視察(写真:新華社/アフロ)
中国人民解放軍が沖縄県尖閣諸島を攻撃・占領しようとする動きを強めている。中国製で初めての世界最大の水陸両用航空機「錕龍(クンロン=AG600)」の初飛行に成功したのだ。AG600は中国が南シナ海(South China Sea)で造成などを進めている人工島のすべてをその航続距離内に収めており、中国内の基地から尖閣諸島を急襲することが可能となる。すでに中国人民解放軍は昨年、海軍陸戦隊(海兵隊)を創設しており、AG600による尖閣諸島への兵員輸送も現実味を帯びている。
中国国営・新華社通信によると、AG600は翼幅38.8mで、ターボプロップエンジンを4基搭載、定員50人。航続距離は4500kmで2m以上の波に対応した着水能力を有し、最大滞空時間は12時間。同機は12月24日、中国南部広東省珠海の解放軍基地を離陸し、約1時間飛行した。製造元の中航通用飛行機公司の黄領才・設計主任は新華社通信に対し、「初飛行の成功で、中国は大型水陸両用機を開発可能な世界有数の国となった」と述べている。
中国人民解放軍が昨年創設した海軍陸戦隊は、尖閣諸島への急襲作戦も念頭に部隊の育成を進めていることで知られており、AG600の実戦配備が可能になったことで、水陸両用部隊による尖閣諸島への上陸作戦の遂行能力が格段に高まったことは明らか。尖閣諸島占領に大きな戦闘力が加わったことになる。
米国防総省が今年6月に発表した中国の軍事情勢に関する年次報告書によれば、中国人民解放軍は台湾侵攻や南シナ海、東シナ海での島嶼防衛のため、水陸両用部隊による上陸作戦の遂行能力の向上を急いでいる。とりわけ、海軍陸戦隊は昨年、広東省で水陸両用車や小型船舶を運用し、ヘリコプターで特殊部隊を投入する実戦的な強襲揚陸作戦の訓練を実施した、と報告書は明らかにしている。
一方、中国の国産空母については、2020年までに初期的な作戦能力を確保すると予測。潜水艦も同年までに現在の63隻から69〜78隻に増強される見通しで、従来の「近海防御」に加えて「遠海防衛」も行う「混合戦略」の実現に向け、海軍力を強化していると指摘しているほどだ。
こうした動きに対し、日本は平時、海上保安庁と航空自衛隊による警察権の行使により、尖閣周辺の海空域を守っているが、中国人民解放軍の尖閣急襲などに対応するため、陸上自衛隊も来年(18年)、初の水陸両用部隊「水陸機動団」を創設。この部隊は離島に他国が侵攻した場合、迅速に機動展開して奪還作戦に取り組む。
本部は陸上自衛隊相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で、隊員約3000人規模の予定。水陸両用車「AAV7」も配備する。すでに米海兵隊との訓練を続けており、創設に加わる隊員らの練度向上を図っている。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)