18年度税制改正、家計を直撃 軒並み負担増 独身高所得者はため息
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SankeiBiz 12/15(金) 7:15配信
所得税改革に伴う会社員の負担増(写真:SankeiBiz)
2018年度税制改正では、20年1月から年収850万円超の会社員や公務員の所得税が増税となることが決まった。さらに、たばこ税増税のほか、国際観光旅客税と森林環境税の新税創設など、負担増につながる項目が目立つ。19年10月に消費税率10%への引き上げも控える中で、税の重みが、じわりと家計に響いてくることになりそうだ。
◆消費者心理に悪影響
「給料が増えても負担が増えれば、一生懸命、働く意欲がそがれてしまう」
今回の所得税改革に伴い増税の対象となる、都内の商社で働く年収1000万円超の独身の40代男性は、こうため息交じりに話す。
改革では、22歳以下の子供や介護が必要な家族がいる人は増税の対象外となるが、この男性は独身の高所得者のため増税の影響が直撃し、手取りが減る。
政府の試算によると、改革に伴う増税対象は給与所得者の4%に当たる230万人程度。大和総研の是枝俊悟研究員は「独身者に加え、子供を育て終えた後の大企業に勤める50代会社員が主な増税の対象になる」と指摘する。
増税額は、年収900万円で年1万5000円程度、年収950万円で3万円程度、年収1500万円で6万5000円程度となる。年収850万円以下の人の負担は改革後も変わらない。
是枝氏は改革が消費に与える影響について「年収1000万円の人でも自由に使えるお金はほとんど変わらず、消費の落ち込みは考えにくい」とみる。ただ、消費税増税と、所得税増税が重なることで消費者心理に悪影響を及ぼす懸念は否定できない。
◆個人事業主は減税
今回の所得税改革では、誰でも受けられる「基礎控除」が一律10万円引き上げられ、会社に属さない個人事業者やフリーで働く人には減税となる。具体的には「10万円×(所得税率+10%)」分、税金が安くなる。
一方で基礎控除は年収2400万円超で段階的に減るため、フリーなどで働く人でも、2400万円を超えると、逆に増税となる。
自営業者はどうか。改革では、給与所得控除を一律10万円引き下げるのに合わせ、自営業者の所得控除に当たる「青色申告特別控除」が65万円から10万円減らされる。ただし、自営業者らが税務申告を電子経由で行った場合は控除額が10万円上乗せされるため、基礎控除引き上げの恩恵を受けるには、電子申告を行う必要がある。
愛煙家も負担増を強いられる。一般的な紙巻きたばこと加熱式たばこの税率が18年10月から段階的に引き上げられるためだ。嗜好(しこう)性の高いたばこはやめたくてもやめられない人が多い。紙巻きでも加熱式でも、購入し続ければ、家計にずしりと響く。
海外旅行好きの人も負担増となる。出国時に1人1000円を徴収する国際観光旅客税が19年1月に導入されるため。既に日本の主要空港の国際線では空港施設利用料として大人1人1000〜3000円程度を徴収しており、出国時の負担はさらに増す。
このほか、24年度から、民有林整備に使う森林環境税が住民税に年1000円上乗せされて徴収される。今も37府県と横浜市は住民税に300〜1200円を上乗せして同様の税を独自で集めており、該当地域の住民には2重の負担になる。
とりわけ横浜市は、市街地の緑化に使う「横浜みどり税」(年900円)に加え、神奈川県が水源環境保全税(1人当たり平均年約890円)を上乗せ徴収しており、このままなら森林環境税の導入で、3重の負担になる。(西村利也)