日本政治を草の根民主主義で変革するー(植草一秀氏)
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29th Nov 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
イタリア「五つ星運動」リーダーのリカルド・フラカーロ・イタリア下院議員による
市民との対話集会が開催された。
3時間にわたる講演と質疑応答が満席の聴衆とともに熱気あふれるなかで進められた。
極めてハードなスケジュールでのイベント出演を快諾くださった
フラカーロ氏一行のご厚意、ご尽力に心より感謝申し上げたい。
また、素晴らしい通訳をして下さった通訳者ならびにイベントを
企画、実行くださった実行委員会のみなさまに心よりの敬意を感謝の意を表したい。
対話集会は、フラカーロ氏による講演の第一部と、
フラカーロ氏に対する質疑の第二部の編成で実施された。
イタリアの五つ星運動は始動から8年で、
国政掌握を視野に入れるところにまで成長している。
水資源、持続可能な交通、環境、インターネット、持続可能な成長
の五つを課題に掲げている。
五つ星運動は、既存の政治勢力、政党と距離を置いているところに大きな特徴がある。
その出発点は、地域の問題を地域の主権者が考えるということだった。
地域の問題点を洗い出し、その解決策を探った。
その解決策を政治勢力に提示したが、
彼らは、地域住民の提案に正面から向き合うことをしなかった。
この現実に直面して彼らは行動を変えた。
自分たちのことは自分たちで決める。
この行動をスタートさせたのだ。
五つ星運動が重視するのは、直接民主制の導入だ。
現代国家では、間接民主主義が主流になっている。
政治家が上から目線でものごとを決める。
しかし、彼らは主権者である国民に雇われている代理人に過ぎない。
雇われている者が上からものを決めて、
雇っている国民がそれに従属するのはおかしいのではないか。
政治の主人公、主権者は市民であり、
市民が政治を支配することが必要なのではないか。
そのことを、より明確に実現できるのが直接民主制である。
そして、市民のなかから、政治に直接携わる議員を生み出してゆく。
その議員は決して特権階級の者ではない。
政治の主人公、主権者である市民が、市民のなかから政治に携わる議員を輩出する。
そして、その議員が受け取る報酬は、普通の労働者と同じ水準にする。
また、議員は2期を限度として多選を許さない。
つまり、特権的な、上位に位置する職業としての政治家を生み出さないのだ。
彼らが重視してきたのは、インターネットと市民が直接に交流する「広場」であった。
インターネットの活用により、効率の良い情報伝達を実現する。
しかし、意見の調整、意見の相違の克服には、対面の対話が必要である。
そして、情報の伝達には、市民と市民が直接伝達する口から口への伝達が
重要な意味を持つ。
政治活動にお金をかけず、五つ星の活動は、少額の寄付によって成り立っている。
巨大な資本を資金源とすれば、必ず運動は、その資金提供者の方向を向くことになる。
これを回避するために、巨大資本からの資金を拒絶してきた。
彼らはインターネットを通じる国政選挙立候補者の擁立を行ったが、
そのための経費は基本的にゼロであった。
インターネットを活用することにより、
お金をかけない政治活動が可能になったのである。
日本の政治刷新に向けて、
私たちは、どうしても既存の政治勢力、既存の政党を基軸に考えてしまう。
しかし、この既存の政党が柔軟性を持たず、「国民のための政治」よりも、
「我が党のための政治」を重視、優先してしまうという現実が
私たちの前に立ちふさがってきた。
フラカーロ氏は、この障害を取り払う、新しい斬新な発想を提供してくれたと考える。
既存の政党には頼らない、市民による政治刷新が、
この日本でも実現可能なのではないか。
そして、間接民主主義しかないとの暗黙の了解を、
一度根源から疑ってみる必要があるのではないか。
私たちの日本の政治を刷新するための、大いなるヒントを与えてくれた、
極めて意義深いイベントの開催に喝采を送りたい。