福島第一のトリチウム排出量、東電約束10(億Bq/日)は達成できず
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2017/11/19(日) 20:02:54 めげ猫「タマ」の日記
東京電力は2015年1月に福島第一から港湾内へのトリチウム排出量を1日当たり10ベクレルにすると発表しました(1)。(=^・^=)なりに2017年10月中の実績を数値が公表されているデータのみまとめただけで、1日当たり11.3億ベクレルでした。達成していません。東京電力はこの件についての説明はなく、不都合な事は知らんぷりです。
福島第一から海洋には日々放射性物質が流れ込んでいます。幾つかの経路があると思います。
@海側遮水壁からの漏れ(1)
A敷地に降った雨水の海への流出
Bひまわり散水、タンク堰に溜まった雨水(2)(3)
C地下水バイパス(4)
D排水路を流れる汚染排水(6)
Eサブドレン・地下水ドレン(7)
以下に概要を示します。
※(1)(2)(3)(4)(6)(7)(9)にて作成
図―1 福島第一放射性物質流出要因
以下に説明します。
@海側遮水壁からの漏れ
福島第一では海洋への汚染水の流れを減らす為に海側に水を通し難い「壁」・海側遮水壁を設けています(10)。これについて東京電力は汚染水の流れを完全にブロックできず一部はすり抜けて海に流れ出ることがあると説明しています(1)
A敷地に降った雨水の海への流出
福島第一構内ではそれなりの放射線量が観測されています(11)。
※(11)にて作成
図―2 福島第一構内の放射線量
放射線が観測されているので元になる放射能が放置されたままになっているはずです。福島第一に雨が降れば、雨水は汚染され放射能と共に海に流れだします。
Bひまわり散水、タンク堰に溜まった雨水
福島第一で5,6号機ダービン建屋に溜まった水(2)(3)や汚染水タンクの周りに設けられた堰に溜まった「水」は汲み上げて散水しています(12)。
※(12)を抜粋・加筆
図―3 「堰」に溜まった雨水は「散水」するとする資料
いくら敷地内に散水するにしても、散水した水は敷地内に留まる訳がありません。蒸発するか海に流れ出すしかありません。福島第一の水ですので、放射能を含んでいます(2)。さらには海に流れ出すまでに敷地の放射能を巻き込み汚染がパワーアップする可能性が高いと思います。
C地下水バイパス
福島第一の原子炉建屋西側の高台に井戸を掘り、地下水を汲み上げ海に流しています(4)。東京電力は海に流す前に汲み上げた「水」に含まれる放射能を分析し、公表しています。結果をみると確り放射能が見つかっています(13)。
D排水路を流れる汚染排水
福島第一構内にはいくつかの排水路が走っています。東京電力は排水路を流れる「水」の放射性物質濃度を公表しています(6)。以下にこにうちK排水路の放射性物質濃度について示します。
※(6)を集計
図―4 K排水路の放射性物質濃度
図に示す様に確り放射能で汚染されています。汚染された排水が海に流れだせば、海だって汚染されます。
Eサブドレン・地下水ドレン
福島第一では原子炉やタービン建屋のそばに井戸から地下水を汲み上げています(サブドレン)(7)。また海側遮水壁に汚染水が流れ込みますが(10)、放置すると溢れるので汲み上げています(地下水ドレン)(7)。汲み上げた水は浄化装置に通した後で海に流しています。以下に排水に含まれるトリチウムを示します。
※(14)を集計
図−5 サブドレン排水のトリチウム濃度
図に示す様に確り放射能を含んでんいます。これもまた福島の海に流されます。
以上に記載した通り福島第一では色々な経路で海に放射性物質が漏れ出しています。これについて東京電力は2015年1月に海へのトリチウムの放出量を1日当たり10億ベクレルにすると発表しました(1)。
※(1)を抜粋・加筆
図―6「トリチウムの放出量を1日当たり10億ベクレルになる」と公言する東電発表資料
それから3年近くが経ったので1日10億ベクレルが実現できたかた検証してみました。地下水バイパス、排水路およびサブドレン・地下水ドレンについては濃度と流量ないし排水量を公表しています(6)(13)(14)(15)(16)。そこで濃度×排水量でトリチウムの排出量を集計してみました。なを、排水路のトリチウムは週1回の測定ですので、補完しました。以下に10月の累積の排出量を示します。
※(6)(13)(14)(15)(16)を集計
図―7 累積のトリチウム排出量(福島第一)
図に示す様に10月1ヶ月間で約350億ベクレルです。この3つを合計すると352億ベクレルです。1日当たり11.3億べレルです。この3つだけで1日10億ベクレルを超えています。他の要因もあるので実際はもっと多いと思います。この約束は達成していません。東京電力はこの件についての説明はなく、不都合な事は知らんぷりです。
福島第一では海に放射性物質が流れ続けているのでブロックなどされていません。そして想定したトリチウムの1日当たり10億ベクレルが達成されていなので、コントロールもされていません(17)。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
東京電力は廃炉について色々な事を言っています(18)。でも過去に言ったことができたかできなかったかを検証することはあまりない気がします。結局は実現性が無くても適当に言っているだけな気がします。 (=^・^=)は不安なので「買わない」「食べない」「出かけない」のフクシマ3原則を決めています。でもこれって(=^・^=)だけではないようです。
福島県が力を入れている農畜産物に牛肉があります(19)。福島県田村市の牛の飼育頭数は5,668頭で、郡山市の牛の飼育頭数は6,395頭についで2位です(20)。郡山市の人口は33万人台なのに、田村市は3万人台なので非常に牛の飼育が盛んな市です(21)。福島の牛肉は霜降りの鮮やかで、豊かな自然と職人の技で大切に作り上げられた福島県の逸品です(22)。福島県は福島産牛肉は「安全」だと主張しています(23)。福島県田村市のスーパーのチラシには福島産牛肉はありません。
※(24)を引用
図―8 福島産牛肉が無い福島県田村市のスーパーのチラシ
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2340.html
(1)2015年1月16日(いわき市漁協組合員説明会資料)海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 2.21MB)
(2)構内散水に使用している福島第一原子力発電所 5、6号機滞留 ... - 東京
(3)ひまわりさんすい(ひまわり散水)―フクシマ用語辞典105― ( 工学 ) - inu*pot*のブログ - Yahoo!ブログ
(4)地下水バイパス|東京電力
(5)報道配布資料|東京電力
(6)(5)中の「福島第一原子力発電所構内排水路分析結果」
(7)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(8)サンプリングによる監視|東京電力
(9)(8)中の「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータ⇒位置図はこちら」
(10)海側遮水壁|東京電力
(11)福島第一原子力発電所サーベイマップ|東京電力中の「敷地全体⇒敷地全体サーベイマップ【10月13日現在 」
(12)汚染水処理対策委員会(第19回)(METI/経済産業省)中の「資料1 福島第一原子力発電所における汚染水対策の進捗状況(PDF形式:2,684KB)」
(13)(5)中の「福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク分析結果 」
(14)(5)中の「サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果 」
(15)集水タンク・一時貯水タンクの運用状況|東京電力
(16)福島原子力事故に関する更新|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社
(17)「汚染水は完全にブロック」 | 東京電力 福島第一原発事故 関連ニュース | NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今
(18)実施作業と計画|東京電力
(19)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(20)届出情報の統計-目的別索引-牛の個体識別情報検索サービス中の「【平成29年10月31日公表】 (毎年10月31日頃更新)⇒飼養頭数 ⇒牛の種別 ⇒市区町村別 ⇒平成29年9月末時点 ⇒Excel」
(21)福島県の推計人口(平成29年10月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(22)福島牛販売促進協議会
(23)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(24)船引店|店舗・チラシ情報|リオン・ドール